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3年でエリート公務員辞めた結果…

月間30万PV以上!元国家公務員(総合職・旧1種)による備忘録。通称「さんエリ」

民事訴訟法

第1編 総論

第1章 民事訴訟

第2章 民事訴訟法

第1節 民事訴訟法の意義

281条2項、11条2項、3項

※終局判決後、当事者双方が共に上告する権利を留保して控訴をしない旨の合意(飛躍上告の合意)は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面又はその内容を記録した電磁的記録によらなければ、その効力を生じない

☆終局判決後にされた当事者双方が共に上告する権利を留保する不控訴の合意は、書面又はその内容を記録した電磁的記録によってされなければならない

11条2項

管轄の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない

☆管轄の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関してされなければならない

東京地判昭42.3.28

・係争事実の確定方法について特定の証拠方法を提出することに限定し、それだけによって事実の証明をすべきであるとする当事者間の合意(証拠制限契約)が有効であるかについては争いの存するところであるが、職権証拠調べが原則的に許されない現行民事訴訟制度のもとにあっては、弁論主義が適用され当事者の自由処分が許される事項に限り、裁判所の自由心証主義に抵触しない範囲でこれを許容しても何ら妨げないから、その限度において右合意も適法かつ有効と解する

☆当事者間における特定の者を証人として申請しない旨の合意は裁判所を拘束するが、その者の尋問が完了した後にその尋問の結果を排除する旨の合意をしても、その合意は裁判所を拘束しない

最判昭44.10.17(百選92)

・訴えの取下げに関する合意が成立した場合においては、右訴えの原告は権利保護の利益を喪失したものとみうるから、右訴えを却下すべき

☆裁判外で訴えを取り下げる旨の合意が成立し、被告がその存在を主張立証した場合には、裁判所は当該訴えを却下しなければならない

※期日外に当事者間で行われる和解からは、訴訟の終了の効果は発生しない

☆判例の趣旨によれば、訴訟外で訴えの取下げの合意がされても、それだけでは、訴えの取下げの効力は生じない

大判昭9.2.26

※不控訴の合意は、第一審判決を終局的なものとする訴訟契約の一種であり、判決言渡し前のものであってもその効力が認められるが、当事者の一方のみが控訴しない旨の合意は無効であるとし、必ず両当事者について不控訴を定めなければならない

※判決内容がわからない段階で、当事者の一方のみが控訴しないという片面的な合意をすることは不合理であり不公平である

☆判決の言渡し前にされた当事者の一方のみが控訴しない旨の合意は、無効である

第2編 訴訟の主体

第1章 裁判所

第1節 裁判所の組織

271条

※簡易裁判所の訴訟手続に関する特則として「訴えは、口頭で提起することができる」と規定している

☆簡易裁判所における100万円の貸金返還請求訴訟の訴えは、口頭で提起することができる

272条

※簡易裁判所の訴訟手続に関する特則として、「訴えの提起においては、請求の原因に代えて、紛争の要点を明らかにすれば足りる」と規定している

☆簡易裁判所における100万円の貸金返還請求訴訟の訴えの提起においては、請求の原因に代えて、紛争の要点を明らかにすれば足りる

274条1項本文

・被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない 

☆簡易裁判所における100万円の貸金返還請求訴訟に対して、反訴の提起をすることができる

277条、158条

※277条は、簡易裁判所の訴訟手続に関する特則として、「158条の規定は、……被告が口頭弁論の続行の期日に出頭……しない場合について準用する」と規定する

・原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した……準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる(158条)

☆簡易裁判所における100万円の貸金返還請求訴訟において、被告が口頭弁論の続行の期日に欠席した場合においても、裁判所は、被告が提出した準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した原告に弁論をさせることができる

371条

少額訴訟に関する特則として、「証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる」と規定している

☆簡易裁判所における100万円の貸金返還請求訴訟において、証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限られない

27条前段

・この節(第2節 裁判所職員の除斥及び忌避)の規定は、裁判所書記官について準用する

裁判所書記官は、忌避及び除斥の対象となる

24条1項

・裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる

☆裁判官について忌避の原因があるときは、裁判所は、当事者の申立てがなければ、当該裁判官を職務の執行から排除する旨の決定をすることができない

☆裁判官が自らに除斥の原因があることを知らずに合議体の構成員として訴訟手続に関与した場合、除斥の原因のない裁判官によって構成される裁判所が当該手続をやり直す必要がある

民法143条2項

※満了日は、年においてその起算点に応当する日の前日に満了する 

規則60条2項 

※訴えの提起があったときは、裁判長は、速やかに口頭弁論期日を指定しなければならず、特別の事由がある場合を除き、訴えが提起された日から30日以内の日に指定しなければならない

第3節 管轄

19条1項本文、20条1項

・第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者の申立て及び相手方の同意があるときは、訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない(19条1項本文)

・移送により著しく訴訟手続を遅滞させることとなる時、又はその申立てが、簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申立て以外のものであって、被告が本案について弁論し、若しくは弁論準備手続において申述をした後にされたものであるときは、この限りでない

・17条から19条までの規定は、訴訟がその係属する裁判所の専属管轄(当事者が11条の規定により合意で定めたものを除く)に属する場合には、適用しない(20条1項)

☆第一審裁判所は、訴訟が法令の定めによりその専属管轄に属する場合において、当事者の申立及び相手方の同意があるときでも、訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送する必要はない

☆裁判所は、訴訟についてその裁判所の専属管轄とする旨の合意がある場合でも、訴訟の著しい遅滞を避けるためであれば、その訴訟を他の管轄裁判所に移送することができる

裁判所法33条1項1号

※訴額が140万円を超えない請求について、簡易裁判所の管轄を定めている 

4条1項

※被告の普通裁判籍所在地の裁判所を管轄裁判所と規定している 

18条

・簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる  

22条

・確定した移送の裁判は、移送を受けた裁判所を拘束する(1項)

・移送を受けた裁判所は、更に事件を他の裁判所に移送することができない(2項)

16条2項

・地方裁判所は、訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。ただし、訴訟がその簡易裁判所の専属管轄(当事者が第11条の規定により合意で定めたものを除く)に属する場合は、この限りでない

☆訴訟の管轄を東京簡易裁判所の専属管轄とする旨の合意があるにもかかわらず、Xがこの訴えを東京地方裁判所に提起した場合には、東京地方裁判所は、相当と認めるときは、Yの移送の申立てにより、訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる

☆訴えが地方裁判所に提起された後に、請求の縮減により訴額が140万円を超えないこととなった場合において、被告の申立てがあるときでも、地方裁判所は、決定で、その訴えに係る訴訟を簡易裁判所に移送しないことができる

12条

・被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出しないで本案について答弁をし……たときは、その裁判所は、管轄権を有する

☆被告が第一審裁判所において管轄違いの抗弁を提出するとともに本案について弁論をした場合には、応訴管轄は生じない

※裁判権の種々の作用をどの種の裁判所の役割として分担させるかの定めを、職分管轄という。事件に対する各種の裁判所の基本的な役割を定め、これによって、民事訴訟制度を設営する裁判所側の体制を固めるものである点で、原則として専属管轄である

☆職分管轄については、当事者双方の合意によって異なる管轄裁判所を定める余地はない

274条1項 

・被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴をした地方裁判所に移送しなければならない

☆簡易裁判所は、被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない

第2章 当事者

第2節 当事者能力

最判昭39.10.15

・団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行われ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定している 

最判平14.6.7

・これらのうち、財産的側面についていえば、必ずしも固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではない

☆法人でない社団が、団体としての固定資産ないし基本的財産を有しない場合でも、当該団体に当事者能力が認められる余地がある

最判昭55.2.28

・権利能力なき社団自体は右のような財産について私法上所有権等の主体となることができないのであるから、その点において右請求はすでに失当である 

☆ある土地が法人でない社団の所有に属することの確認を求める訴えにつき、当該団体が原告となる余地はない

最判平6.5.31

・入会権は権利者である一定の村落住民の総有に属するものであるが……、村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、当該入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、これを争う者を被告とする総有権確認請求訴訟を遂行する原告適格を有するものと解するのが相当である

・訴訟における当事者適格は、特定の訴訟物について、誰が当事者として訴訟を追行し、また、誰に対して本案判決をするのが紛争の解決のために必要で有意義であるかという観点から決せられるべき事柄であるところ、入会権は、村落住民各自が共有におけるような持分権を有するものではなく、村落において形成されてきた慣習等の規律に服する団体的色彩の濃い共同所有の権利形態であることに鑑み、入会権の帰属する村落住民が権利能力のない社団である入会団体を形成している場合には、当該入会団体が当事者として入会権の帰属に関する訴訟を遂行し、本案判決を受けることを認めるのが、このような紛争を複雑化、長期化させることなく解決するために適切である

☆ある土地が法人でない社団の構成員全員の総有に属することの確認を求める訴えにつき、当該団体が原告となる余地がある

最判昭47.6.2

・権利能力なき社団の資産はその社団の構成員全員に総有的に帰属しているのであって、社団自身が私法上の権利義務の主体となることはないから、社団の資産たる不動産についても、社団はその権利主体となりうるものではなく、したがって、登記請求権を有するものではない

・新代表者は、……旧代表者に対して、当該不動産につき自己の個人名義に所有権移転登記手続きをすることの協力を求め、これを訴求することができるものと解するのが相当である

・権利能力なき社団の構成員全員の総有に属する社団の資産たる不動産については、従来から、その公示方法として、本件のように社団の代表者個人の名義で所有権の登記をすることが行われており、社団構成員の総有に属する不動産は、右構成員全員のために信託的に社団代表者個人の所有とされるものであるから、代表者は、右の趣旨における受託者たる地位において右不動産につき自己の名義をもって登記をすることができるものと解すべきである

☆法人でない社団の旧代表者の個人名義で登記されている不動産に関し、代表者の交代に伴い、新代表者の個人名義への所有権移転登記手続を求める訴えにつき、新代表者が原告となる余地がある

最判平22.6.29(重判平22民訴6)

・債権者が、構成員の総有不動産に対して強制執行をしようとする場合において、上記不動産につき、当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは、上記債権者は、強制執行の申立書に、当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか、上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきものと解するのが相当である

・通常の不動産に対する強制執行と全く同様の執行手続を執るべきものと解したならば、上記債権者が権利能力のない社団に対して有する権利の実現を法が拒否するに等しい

・構成員の総有不動産につき、当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは、登記記録の表題部に債務名義上の債務者以外の者が所有者として記録されている不動産に対する強制執行をする場合に準ずる

☆法人でない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該団体の代表者の個人名義で登記された不動産に対して強制執行をする余地がある

最判昭31.5.10

・共同相続人の1人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる

・ある不動産の共有権者の1人がその持分に基づき 当該不動産につき登記簿上所有名義者たるものに対してその登記の抹消を求めることは、妨害排除の請求に他ならずいわゆる保存行為に属する

☆判例の趣旨によれば、土地の共有者の1人が不実の登記名義を有する者を被告としてその抹消登記手続を求める訴えを提起することができる

28条前段

・当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法……その他の法令に従う

☆胎児は、不法行為に基づく損害賠償請求権を訴訟物とするときは、当事者になることができる

☆解散した法人は、清算の目的の範囲内では存続するとみなされるから、その限度で当事者となることができる

最判昭43.3.15(百選99)

・土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである

・手続上の不経済と不安定を招来するおそれなしとしない……他面、これを通常の共同訴訟であると解したとしても、一般に、土地所有者は、共同相続人各自に対して債務名義を取得するか、あるいはその同意を得た上でなければ、その強制執行をすることが許されないのであるから、かく解することが、直ちに、被告の権利保護に欠けるものとはいえない

☆判例の趣旨によれば、土地所有者がその所有権に基づいて土地上の建物の共有者を相手方として建物収去土地明渡しを求める訴えを提起する場合には、建物共有者全員を被告にする必要はない 

第3節 訴訟能力

31条本文、民法9条本文、人事訴訟法2条1号、13条1項

※成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない(31条)。しかし、人事訴訟の訴訟手続については、成年被後見人も訴訟能力を有する(人事訴訟法13条1項)

☆成年被後見人が意思能力のある状態で離婚の訴えを提起した場合、この訴え提起は有効であり、補正命令の対象とならない

☆成年被後見人は、日用品の購入に関する訴えを、法定代理人によらずに提起することができない

31条ただし書

※未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができないが、未成年者が独立して法律行為ができる場合は、この限りでない

☆未成年者が営業を許された場合であれば、その営業に関して訴訟行為をするには、法定代理人による必要はない

☆成年被後見人Aを原告とし、その成年後見人Bが提起した貸金返還請求訴訟において、Bを証人として尋問することはできない 

28条、32条1項、民法13条1項4号

※被保佐人は、自ら訴訟行為をするにあたっては、保佐人の同意を得なくてはならない(28条、民法13条1項4号)。しかし、被保佐人は、「相手方の……上訴について訴訟行為をする」(32条1項)には、保佐人の同意を要しない

☆被保佐人が相手方の提起した控訴につき公訴棄却を求める答弁をするには、被保佐人又は保佐監督人の同意を要しない

31条本文、102条1項本文

※未成年者は、「法定代理人によらなければ訴訟行為をすることができない」訴訟無能力者である(31条)

※訴訟無能力者に対する送達は、その法定代理人に対してする(102条1項)

☆未成年者を被告とする訴状等を当該未成年者あてに送達し、未成年者本人がこれを受領した場合、その後、法定代理人が追認すれば、法定代理人に対し更にこれを送達する必要はない

最判昭59.9.28

・当該仮処分の本案訴訟において被告たる会社を代表して訴訟の遂行にあたる者も右代表取締役職務代行者であって職務の執行を停止された代表取締役ではないと解するのが相当である

・株主総会の取締役選任決議の無効確認請求訴訟は、会社の株主総会決議の効力自体を争うものであり、その性質上会社のみが被告となりうるのであって、当該取締役個人は、右訴訟の結果如何によってはその地位を失うことがあるとしても、右訴訟につき被告適格を有するものではなく……、代表取締役が右訴訟の遂行に当たることができるのも、もっぱら会社の代表機関たる地位に基づくのであって、代表取締役個人の権利ないし利益に基づくわけではないのであるから、代表取締役が、仮処分によりその職務の執行を停止されながら、なお代表取締役個人の権利ないし利益の擁護のために会社代表者たる資格において右訴訟の追行にあたることを許さなければならないものとすべき理由はない

☆株式会社の代表取締役の職務の執行を停止し、その職務を代行する者を選任する旨の仮処分が発令されている場合、その取締役を選任した株主総会決議が無効であることの確認を請求する本案訴訟において、当該株式会社を代表すべき者は、当該職務を代行する者である

338条1項3号、342条1項、3項

※再審の訴えは、当事者が判決の確定した後再審の事由を知った日から30日の不変期間内に提起しなければならない(342条1項) 

※「338条1項3号に掲げる事由のうち代理権を欠いたこと……を理由とする再審の訴え」については、342条1項を適用しない(342条3項)

☆法定代理人の無権代理行為の瑕疵を看過してなされた本案判決が確定した場合、その訴訟能力を取得した本人がこの判決の存在を知った日から30日を経過した後でも、再審の訴えを提起することができる

※第1審で訴訟能力の欠缺が看過され、原告たる未成年者の請求を棄却する判決が出された場合、未成年者の控訴を訴訟能力なしとして却下すべきではなく、原判決を取り消し、事件を原審に差し戻して民事訴訟法34条1項に基づく補正を命じさせるべきと解される

☆法定代理人によらずに未成年者が提起した訴えにおいて、裁判所が請求を棄却する判決をした場合、その者が自ら提起した控訴は、適法である。 

124条1項3号

※当事者能力の喪失を訴訟の中断事由としている

※当事者が訴訟注に補佐又は補助開始の審判を受けても訴訟能力を喪失するわけではないので、手続は中断せず(後見開始の審判を受けたときは中断)、その審級に限り、保佐人又は補助人の同意を要しないで訴訟行為ができるが、上訴するには保佐人又は補助人の同意を要する

☆訴訟の係属中に当事者につき保佐開始の審判がされても、訴訟手続は中断しない

※法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅を訴訟の中断事由としている

☆法定代理人が死亡した場合であれば訴訟手続が中断するが、訴訟代理人が死亡したときには訴訟手続は中断しない

34条2項 

※法定代理人又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠く者がした訴訟行為は、これらを有するに至った当事者又は法定代理人の追認により、行為の時にさかのぼってその効力を生ずる

☆未成年者が法定代理人によらずにした訴訟行為は、その者が訴訟係属中に成年に達したときでも、当然に行為の時に遡って有効とならない 

第5節 訴訟上の代理人

54条1項

※法令により裁判上の行為をすることのできる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる

55条1項

※訴訟代理人は、委任を受けた事件について、反訴、参加、強制執行、仮差押及び仮処分に関する訴訟行為をし、かつ、弁済を受領することができる

☆訴訟委任を受けた訴訟代理人が、委任を受けた事件の相手方から提起された反訴に関して訴訟行為をするには、改めて、反訴に関する訴訟委任を受ける必要はない

最判昭36.11.9

※訴訟代理人がその権限に基づいて選任した訴訟復代理人は独立して当事者本人の訴訟代理人となるものであるから、選任後継続して本人のために適法に訴訟行為をなし得るものであって、訴訟代理人の死亡によって当然にその代理資格を失うものとは解されない

☆訴訟委任を受けた訴訟代理人が適法に訴訟復代理人に訴訟委任をしていた場合、その訴訟代理人が死亡しても、委任を受けた訴訟復代理人は、これにより訴訟代理権を失うことはない

56条

※訴訟代理人が数人あるときは、各自当事者を代理する(1項) 

※当事者が前項の規定と異なる定めをしても、その効力を生じない(2項)

☆複数の訴訟代理人に訴訟委任をした当事者が、各訴訟代理人との間で、各訴訟代理人が単独で訴訟行為をすることができないとの定めをしたときも、各訴訟代理人が単独でした訴訟行為は有効となる

☆当事者に複数の訴訟代理人がいる場合には、各訴訟代理人は、単独で訴訟行為をすることができる

55条2項

※訴訟代理人は、次に掲げる時効については、特別の委任を受けなければならない(柱書)

※訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾又は48条……の規定による脱退(2号)

☆訴訟委任を受けた訴訟代理人が、委任を受けた事項について和解をするには、特別の委任を受けていなければならない

規則23条1項

☆訴訟代理人の権限は、書面で証明しなければならない

59条、36条1項

☆解任による訴訟代理権の消滅は、本人又は解任された訴訟代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない 

☆未成年者が当事者となった訴訟の係属中に、法定代理人となった後見人が辞任した場合、その辞任の通知が相手方にされるまでの間は、相手方は、その後見人に対して訴訟行為をすることができる

58条1項1号

☆当事者が死亡しても、訴訟代理人の訴訟代理権は消滅しない 

☆訴訟代理人の代理権の存否に疑義が生じたときは、裁判所は、職権で調査をしなければならない 

57条

・訴訟代理人の事実に関する陳述は、当事者が直ちに取り消し、又は更正したときは、その効力を生じない

訴訟代理人の事実に関する陳述を当事者が直ちに取消したときは、当該陳述は、その効力を生じないが、法定代理人の事実に関する陳述を当事者が直ちに取り消したときでも、当該陳述は、その効力を生ずる

102条2項

・数人が共同して代理権を行うべき場合には、送達は、その1人にすれば足りる

☆法定代理人が数人ある場合であっても、訴訟代理人が数人ある場合であっても、送達は、その1人にすれば足りる

第3編 第一審手続

第1章 訴訟の開始

第1節 訴えの概念および各種の訴え

民法149条

※訴えの提起による時効中断の効果は、訴えの却下又は取下げにより、遡って消滅する

☆訴状審査の結果として訴状が却下された場合、訴えの提起による時効中断の効力は生じない

規則56条

※裁判長は、訴状の記載について必要な補正を促す場合には、裁判所書記官に命じて行わせることができる

☆補正命令の対象となる事項については、裁判所書記官に命じて補正を促すことができる 

最判昭29.12.16

※給付訴訟を提起できる場合、原則として、確認訴訟は方法選択として有効適切な手段とはいえない。もっとも、基本となる実態関係を前提として、基本関係から派生する可能性のある他の紛争を予防するという確認訴訟の本来的機能が期待できる場合には、確認の利益は否定されない

☆XがYに対して甲土地の所有権に基づきその返還を請求できるときでも、甲土地についてのXの所有権を確認する訴えの利益を認めることができる

最判昭55.2.7(百選46)

※所有権取得の経過来歴に関する事実は、それが相手方の主張する経過来歴事実に関する積極的否認事実にとどまる限りは間接事実であるため、弁論主義の適用対象とはならない

115条1項3号

※確定判決は114条2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人に対してその効力を有する

☆XのYに対する、甲土地の所有権確認を求める訴えについて、Xの請求を棄却する判決が確定した後に、甲土地を占有するYがZに対しその占有を移転したため、XがAに対し、所有権に基づく甲土地の明渡を請求することは、当該判決の既判力により妨げられる

第3節 訴え提起の効果

142条

※裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない

※重複起訴禁止の要件は、当事者及び事件同一性である

☆XのYに対する不動産の所有権確認請求訴訟の係属中に、XがZに対して当該不動産の所有権の確認を求める別訴を提起することは、許される

☆XのYに対する貸金300万円の債務不存在確認請求訴訟の係属中に、YがXに対し当該貸金の返還を求める別訴を提起することは、許されない

☆XのYに対する土地の所有権に基づく所有権移転登記手続請求訴訟の係属中に、YがXに対し当該土地の所有権の確認を求める別訴を提起することは、許される

最判平3.12.17(百選38①)

・係属中の別訴において訴訟物となっている債権を自働債権として他の訴訟において相殺の抗弁を主張することは許されない

・142条が重複基礎を禁止する理由は、審理の重複による無駄を避けるためと複数の判決において互いに矛盾した既判力ある判断がされるのを防止するためであるが、相殺の抗弁が提出された自働債権の存在又は不存在の判断が相殺をもって対抗した額について既判力を有するとされていること(114条2項)、相殺の抗弁の場合にも自働債権の存否について矛盾する判決が生じ法的安定性を害しないようにする必要があるけれども理論上も実際上もこれを防止することが困難であること、等の点を考えると、142条の趣旨は、同一債権について重複して訴えが係属した場合のみならず、既に係属中の別訴において訴訟物となっている債権を他の訴訟において自働債権として相殺の抗弁を提出する場合にも同様に妥当するものであり、このことは右抗弁が控訴審の段階で初めて主張され、両事件が併合真理された場合についても同様である

☆XのYに対する売買代金支払請求訴訟であるA訴訟とYのXに対する貸金返還請求訴訟であるB訴訟とがそれぞれ係属中に、A訴訟の被告Yが、A訴訟において、B訴訟で請求している貸金債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張することは、許されない

大阪高判昭62.7.16(百選37)

・手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に手形訴訟を提起することは、142条の重複基礎の禁止に抵触しないと解するのが相当である

・手形債権者が通常訴訟とは手続を異にする手形訴訟を選び、簡易迅速な審判を求めるならば、その手続の利用によって受ける利益を保護する必要がある

☆XのYに対する手形金債務不存在確認請求訴訟の係属中に、YがXに対し当該手形金の支払を求める別訴を手形訴訟により提起することは、許される

第2章 審判の対象

第1節 訴訟要件

最判昭37.1.19

※株式の発行に関する株主総会特別決議の取消の訴えの係属中に、株式の発行が行われてしまった場合に、訴えの利益は消滅する

新株予約権の募集事項の決定につき株主総会決議を要する場合において、当該決議の取消訴訟が係属中に当該新株予約権が発行されると、当該訴えの利益は失われる

最判平12.2.24

※具体的相続分の価額又はその価額の遺産の総額に対する割合の確認を求める訴えにおいて、確認の利益が欠ける

※それ自体を実体法上の権利関係ということはできず、遺産分割審判事件における遺産の分割や遺留分減殺請求に関する訴訟事件における遺留分の確定等のための前提問題として審理判断される事項であり、右のような事件を離れて、これのみを別個独立に判決によって確認することが紛争の直接かつ抜本的解決のため適切かつ必要であるということはできない

☆共同相続人間において具体的相続分についてその価額又は割合の確認を求める訴えは、確認の利益が欠ける

大判昭6.11.24

※原告がすでに確定した給付判決を有する場合、二重の給付判決を求める利益は原則として否定される。しかしこのような場合でも、時効中断のために他に方法がない場合に限り、再度の給付の訴えを求める利益が認められる

☆確定した給付判決が存在しても、時効中断のため他に方法がないときには、同一訴訟物につき再度給付の訴えを提起する利益が認められる

大判昭15.3.13

※代償請求は、本来の給付の履行不能又は執行不能を条件とする将来の給付請求であるが、本来の給付について履行遅滞にある以上、当然に訴えの利益が認められる

☆物の引渡しが執行不能となる場合に備えての代償請求は、将来の給付の訴えとしてその利益が認められる

最判平7.3.7

※ある財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えにおいて、確認の利益が欠ける

・ある財産が特別受益財産に当たることの確認を求める訴えは、現在の権利又は法律関係の確認を求めるものということはできない

・しかも、ある財産が特別受益財産に当たることが確定しても、その価額、被相続人が相続開始の時において有した財産の全範囲及びその価額等が定まらなければ、具体的な相続分又は遺留分が定まることはないから、右の点を確認することが、相続分又は遺留分をめぐる紛争を直接かつ抜本的に解決することにはならない

☆ある財産が特別受益財産であることの確認を求める訴えは、確認の利益が欠ける

最大判昭56.12.16(百選22)

・不動産の不法占有者に対して明渡義務の履行完了までの賃料相当額の損害の支払を訴求する場合……将来の給付の訴えを許しても格別支障があるとはいえない

・右請求権の基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し、その継続が予測されるとともに、右請求権の成否及びその内容につき債務者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動としては、債務者による占有の廃止、新たな占有権原の取得等のあらかじめ明確に予測しうる事由に限られ、しかもこれについては請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止しうるという負担を債務者に課しても各別不当とはいえない

☆自らの所有する土地を継続的に不法に占有されている者が将来の賃料に相当する額の損害の賠償を求める訴えには、訴えの利益が認められる

☆原告の所有権の確認を求める本訴に対し、反訴として提起された被告の所有権の確認を求める訴えには、訴えの利益が認められる

最判昭31.10.4

・本件確認の訴えはその主張するところ自体において不適法として却下せざるを得ない

・元来遺贈は死因行為であり遺言者の死亡によりはじめてその効果を発生するものであって、その生前においては何ら効率関係を発生せしめることはない。それは遺言が人の最終意思行為であることの本質にも相応するものであり、遺言者はいつにでも既になした遺言を任意取消ししうるのである。従って一旦遺贈がなされたとしても、遺言者の生存中は受遺者においてはなんらの権利をも取得しない

・それゆえ本件確認の訴えは現在の法律関係の存否をその対象とするものではなく、将来被上告人が死亡した場合において発生するか否かが問題となりうる本件遺贈に基づく法律関係の不存在の確定を求めるに帰着する。しかし現在においていまだ発生していない法律関係のある将来時における不成立ないし不存在の確認を求めるというような訴えが、訴訟上許されないものであることは前説示のとおりである

☆遺言者がその生存中に受遺者に対し遺言の無効確認を求める訴えには、訴えの利益が認められない

最判平16.3.25(百選29)

・第2事件の平成7年契約関係被上告人……の上記保険金支払い債務の不存在確認請求に係る訴えについては、第3事件の上告人らの平成7年契約に基づく保険金の支払いを求める反訴が提起されている以上、もはや確認の利益を認めることはできない

債務不存在の確認を求める本訴に対し、当該債務の履行を求める給付の反訴が提起されたときは、本訴の訴えの利益は失われる

最判昭57.9.28

・重婚の場合において、後婚が離婚によって解消されたときは、特段の事情のない限り、後婚が重婚にあたることを理由としてその取消しを請求することは許されない

・婚姻取消の効果は離婚の効果に準ずるのであるから(民法748条、749条)、離婚後、なお婚姻の取消しを請求することは特段の事情がある場合のほか、法律上その利益がない

☆婚姻取消訴訟の継続中に、当該婚姻が離婚により解消されると、訴えの利益が失われる

最判昭61.7.10

※給付の訴えにおいては、訴訟物たる給付請求権をみずから持つと主張する者に原告となる適格があり、原告によってその義務者(請求棄却によって給付義務を免れるという実体的利益の帰属主体)と主張される者に被告たる適格がある。ここでは、給付の訴えという形態をとったこと自体、つまり原告がみずからの給付請求権をその義務者たる被告に対して主張する形をとったことで、すでに原告にも被告にも適格があることになるので、適格の有無の判断は、独立に行われず、被告とされた者に対する原告の給付請求権が存在するかどうかの本案の判断につねに吸収されてしまう(最判昭61.7.10)

☆XのYに対する貸金返還請求訴訟において、Yに金員を貸与したのがXではなくZであることが明らかとなった場合には、Xの訴えは原告適格を欠くものとして却下されず、請求棄却の本案決定がなされる

☆XのYに対する貸金返還請求訴訟において、訴訟物とされている貸金債権をXが訴えの提起後にZに譲渡したことが明らかとなった場合でも、Xの訴えが原告適格を欠くものとして却下されることはない 

最判昭58.10.18

※隣接する土地の所有者同士が最も強い利害関係があり、当事者適格を有する

☆XのYに対する筆界(境界)確定の訴えにおいて、Yが筆界に争いのある隣接土地の賃借人である場合には、Xの訴えが被告適格を欠くものとして却下されることがある

民法423条1項

※債権者代位訴訟は他人の財産管理処分権能に介入するものであるから、その正当化根拠として、被保全権利の存在が要求される。そして、代位権者が被保全権利を有することは訴訟要件と解されている

※債権者代位訴訟の要件事実は、①被保全債権が存在していること(被保全債権の発生原因事実)、②代位債権者にとって自己の債権を保全する必要があること(債務者の無資力)、③代位行使する権利の発生原因である。これらのうち①②はそもそも債権者代位訴訟における当事者適格の基礎となる事実であるので、これらの要件を欠くときには、訴え却下となる。他方、③については訴訟要件ではなく訴訟物にあたるため、③を欠く場合には、訴え却下ではなく、請求棄却となる

☆XがZに対する売買代金債権を被保全債権として、ZのYに対する貸金債権を代位行使して、Yに対して提起した貸金返還請求訴訟において、XのZに対する売買代金債権が存在しないことが明らかとなった場合には、Xの訴えは原告適格を欠くものとして却下される

☆Aに対して売買代金債権を有すると主張するXが、Aに代位して、AのYに対する貸金債権に基づき、Yに対して当該貸金の変換を求める訴えを提起したが、AのYに対する貸金債権の弁済期が未到来であることが明らかになった場合、裁判所は、訴えを却下ではなく棄却しなければならない

会社法855条

※株式会社の役員の解任の訴えは、会社と解任の対象となる役員とを被告とする固有必要的共同訴訟である 

最判昭41.4.12

・即時確定の利益があるとはいいがたい

・単に右請求を文言通りに解釈すれば、前記売買契約の無効であること、すなわち、過去の法律関係(ないし事実)の確認を求めるのと異なるところはない。そして、確認訴訟は特段の規定のないかぎり、現在の権利または法律関係の確認を求め、かつ、これにつき即時確定の利益がある場合にのみ許されるべきであるから、前記の請求については、即時確定の利益があるとはいいがたい。原告としては、確認の訴を提起するためには、右売買契約の無効の結果生ずべき現在の権利または法律関係について直接に確認を求めるべきである

☆売買契約の無効確認を求める訴えについて、確認の利益が認められることはない

最判昭47.2.15(百選23)

・いわゆる遺言無効確認の訴えは、遺言が無効であることを確認するとの請求の趣旨のもとに提起されるから、形式上過去の法律行為の確認を求めることとなるが、請求の趣旨がかかる形式をとっていても、遺言が有効であるとすれば、そこから生ずべき現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求めるものと解される場合で、原告がかかる確認を求めるにつき法律上の利益を有するときは、適法として許容されうるものと解するのが相当である

・右の如き場合には、請求の趣旨を、あえて遺言から生ずべき現在の個別的法律関係に還元して表現するまでもなく、いかなる権利関係につき審理判断するかについて明確さを欠くことはなく、また、判決において、端的に、当事者間の紛争の直截的な対象である基本的法律行為たる遺言の無効の当否を判示することによって、確認訴訟のもつ紛争解決機能が果たされることが明らかだからである

遺言の無効確認を求める訴えについて、確認の利益が認められることがある

最判昭61.3.13(百選24)

・遺産確認の訴えは……適法

・共有持分の割合は問題にせず、端的に、当該財産が現に被相続人の遺産に属すること、換言すれば、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであって、その原告勝訴の確定判決は、当該財産が遺産分割の対象たる財産であることを既判力をもって確定し、したがって、これに続く遺産分割審判の手続において及びその審判の確定後に当該財産の遺産帰属性を争うことを許さず、もって、原告の前記意思(遺産分割の前提問題として当該財産が遺産に属するか否かの争いに決着をつけようとする意思)によりかなった紛争の解決を図ることができる

☆ある財産が遺産に属することの確認を求める訴えについて、確認の利益が認められることがある

134条

・確認の訴えは、法律関係を証する書面の成立の真否を確定するためにも提起することができる

☆郵便に付した信書で過去の事実を報告するものが偽造であることの確認を求める訴えについて、確認の利益が認められることはない

☆法律関係を証する書面の成立の真否を確定するために確認の訴えを提起することができる

最判昭30.5.20

・訴訟代理権の有無はそれが問題となる当該訴訟においてこれを審判すべきであり、またそれをもって足るのであって、別訴を提起して訴訟代理権の存否確認を求めることは、確認の利益を欠き許し得ない……そしてこの理は訴訟代理権を証すべき書面の真否確認を求める訴訟についても同様である

※訴訟代理権を証すべき書面の真否確認を求める目的は訴訟代理権の存否を明確にすることにあるのであって、訴訟代理権の存否確認を求める別訴が確認を利益を欠く以上、その存否確定に資すべき訴訟代理権を称するべき書面の真否確認を求める別訴も当然に確認の利益を欠く

☆訴訟で当事者の一方の訴訟代理人につきその訴訟代理権の存否が争われた場合において、別訴として提起された、訴訟代理権を証すべき書面の真否確認を求める訴えについて、確認の利益が認められることはない

最大判昭32.7.20

※国籍を有し続けてきたという過去の事実の確認も、確認判決による国籍承認ことに戸籍の訂正(戸籍法116条)ができるから確認の利益あり

☆自分の戸籍に日本国籍の離脱及び回復に関する記載のある者が、出生による日本国籍を現に引き続き有する旨の確認を求める訴えは、確認の利益がある

最判平11.1.21

・建物賃貸借における敷金返還請求権は、賃貸借終了後、建物明渡しがされた時において、それまでに生じた敷金の被担保債権一切を控除しなお残額があることを条件として、その残額につき発生するものであって……賃貸借契約終了前においても、このような条件付きの権利として存在するものということができるところ、本件の確認の対象は、このような条件付きの確認であると解されるから、現在の権利又は法律関係であるということができ、確認の対象としての適格に欠けるところはない

☆賃借人が、賃貸借契約係属中に、敷金返還請求権の存在の確認を求める訴えは、条件付きの権利の確認を求めるものであり、賃貸人が敷金交付の事実を争って敷金返還義務を負わないと主張しているときは、確認の利益がある

最大判昭45.7.15

・親子関係は、父母の両者又はこのいずれか一方が死亡した後でも、生存する一方にとって、身分関係の基本となる法律関係であり、それによって生じた法律効果につき現在法律上の紛争が存在し、その解決のために右の法律関係につき確認を求める必要がある場合があることはいうまでもない

☆自分と戸籍上の父母との間の親子関係が存しないことの確認を求める訴えは、当該戸籍上の父母が双方とも死亡した後に提起されたときでも、確認の利益がある

第2節 本案判決の対象 

大判大8.2.6

※原告の請求権が弁済期未到来等のため現に行使できないため被告に対し給付の判決をなすことができない場合に、裁判所は進んでその請求権について原告のため確認判決をするに故なきもの

※給付の訴えと確認の訴え両者とも種類を異にする

☆原告が給付判決を求めている場合において、訴訟物とされている請求権のり後期が到来していないことが明らかになったとき、裁判所は、当該請求件の存在を確認する判決をすることができない

最判昭33.3.13

・裁判所は、物の引換請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換えに物の引渡しを命ずべきものと解するを相当とする

☆家屋明渡請求訴訟において、留置権の抗弁が認められるときは、裁判所は、当該留置権により担保される債権の弁済を受けることと引換えに家屋の引渡しを命ずる

最判昭40.9.17(百選77)

※本件訴訟の訴訟物は原告の自認額を除く債務不存在の確認を求める部分である

※判決においてはその訴訟物である債務の存否ないしその限度を明確に判断しなければならず、残存額を明らかにすることなく直ちに請求棄却とすることは本件訴訟の申立ての範囲(訴訟物) についての解釈を誤り、審理不尽にあたる

☆債務の全額である100万円についての不存在確認を求める訴訟において、裁判所は、当該債務の一部である10万円の債務が存在すると認めるときは、100万円のうち10万円を超える債務の不存在を確認し、その余の請求を棄却する

最判昭57.3.9

・共有物分割の訴えにおいては、当事者は、単に共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、分割の方法を具体的に指定することは必要でないとともに、共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著しく価格を損するおそれがあるときには、裁判所は、当事者が申し立てた分割の方法にかかわらず、共有物を競売に付しその売得金を共有者の持分の割合に応じて分割することを命ずることができるものと解するのが相当である

☆共有物分割の訴えにおいて、原告が分割の方法として共有物の現物を分割することを求めているときでも、裁判所は、当該共有物を競売してその売得金で分割する内容の判決をすることができる

第3節 当事者の意思による訴訟の終了ー処分権主義(その二)

147条

※時効の中断又は法律上の期間の遵守のために必要な裁判上の請求は、訴えを提起した時又は143条2項(……)の書面を裁判所に提出した時に、その効力を生ずる

☆訴えの提起による時効の中断の効力発生の時期は、訴状を裁判所に提出した時である

大判昭15.3.15

※債権者代位訴訟においては、代位行使される債権について時効中断効が生じる

261条1項

※訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる

☆訴えは、その一部を取り下げることができる

☆訴えは、控訴審でも取り下げることができる 

☆訴えを取り下げることができるのは、終局判決が言い渡されるまでではなく、判決が確定するまでである

261条2項本文

※訴えの取下げは、相手が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない

☆訴えの取下げは、被告に訴状が送達された時点では、被告の同意を得ずにすることができる

☆訴えの取下げは、相手方が本案について口頭弁論をした後には、その同意なしにすることができない

261条3項

※訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論弁論準備手続又は和解の期日においては、口頭ですることを妨げない

☆訴えの取り下げは、和解の期日において口頭ですることができる

262条1項、267条

・訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、はじめから係属していなかったとみなす(262条1項)

・和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する(267条)

☆請求を放棄した場合と異なり、訴えを取り下げた場合には、確定判決と同一の効力は生じない

☆重複する訴えの場合に、前訴が取り下げられなくても後訴において訴訟上の和解をすることができる

※請求の認諾は裁判所に対する意思表示であることから、原告が欠席していてもできる

☆反訴の提起後に本訴が取り下げられた場合にも、本訴の訴訟資料を反訴の判決の基礎とすることができる

☆第一審判決に仮執行宣言が付された後、控訴審において訴えが取下げられたときは、その仮執行宣言付判決は、その効力を失う

112条1項

※公示送達は、111条の規定(公示送達の方法についての規定)による掲示を始めた日から2週間を経過することによって、その効力を生ずる。ただし、110条3項の公示送達(同一の当事者に対する2回目以降の公示送達)は、掲示を始めた日の翌日にその効力を生ずる

☆訴状が公示送達の方法により送達され、その後、判決も同様に公示送達の方法によって送達された場合には、訴状の公示送達の効力は掲示を始めた日から2週間を経過することによって生じ、判決の公示送達の効力は掲示を始めた日の翌日に生ずる

☆重複する訴えが提起された場合、被告が異議を述べないで本案について弁論をしたときであっても、当該訴えは適法とはならない

137条、133条2項2号、140条

・訴状が133条2項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない(137条1項前段) 

※訴状には、請求の趣旨及び原因を記載しなければならない(133条2項2号)

・1項の場合において、原告が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、訴状を却下しなければならない(137条2項)

☆訴訟物が特定されない訴状は、裁判長の命令にもかかわらず原告がその不備を補正しないときは、裁判長の命令により却下される

☆訴状審査の結果、訴えが不適法でその不備を補正することができないことが判明した場合、裁判長は、直ちに訴えを却下しなければならない

☆XからYに対する、甲土地の所有権確認を求める訴えにおいて、訴状の請求の趣旨欄に「「Xが甲土地の所有権を有することを確認する」との判決を求める」との記載があれば、請求の原因欄に甲土地の所有権の取得原因事実の記載がなくても、そのことは訴状の補正を命じる理由にはならない

☆訴状の審査は、受訴裁判所ではなく、裁判長が行う

☆証拠の引用又は添付の不備は、補正命令の対象とならない

☆訴状審査の結果として訴状に不備があることが判明した場合の補正命令は、裁判所書記官ではなく裁判長が行う

☆訴状における立証方法に関する記載は、訴状審査の対象とならない

☆当事者が法人である場合において、訴状にその代表者の記載があるかどうかは、訴状審査の対象となる

※訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判長は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる(140条)

※裁判長が訴状の不備を看過して137条2項により却下することなく、訴状の副本を被告に送達し、訴訟係属の効果が生じた以上は、裁判長は137条2項によって訴状を却下する権能を失い、裁判所が判決により訴えを却下(140条)しなければならない

☆訴状は、第1回の口頭弁論期日後は、これを却下することができない

訴状が被告に送達された後は、訴状を却下することができない

266条1項

※請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする

☆請求の認諾は、相手方が出頭していない口頭弁論の期日においてもすることができる

32条2項1号

※被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が請求の放棄をするには、特別の授権がなければならない

☆後見人その他の法定代理人が請求の放棄をするには、特別の授権がなければならない

☆相手方が反対給付を履行することを条件にして、請求の認諾をすることはできない

266条2項

※請求の放棄または認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる

☆請求の放棄をする旨の書面が期日外に裁判所に提出されれば、当事者が口頭弁論の期日に出席しなくとも、請求の放棄の効力が生じる

最判昭28.10.15

※訴訟要件の具備は、請求の放棄及び認諾の要件である

請求の認諾は、訴訟要件を欠く訴えにおいてはすることができない

137条3項

※137条2項の訴状却下命令に対しては、即時抗告をすることができる 

☆訴状を却下する命令に対しては、不服を申し立てることができる 

大判昭13.8.9

※第三者の加入により成立した和解も又訴訟上の和解としての性質を失わない

※訴訟上の和解は争いの目的である法律関係の確定を本旨とするものではなく争いそのものの終結を目的とするものである

※訴訟参加の手続を特に要求せず、訴訟上の和解としての効力を有する

☆訴訟上の和解には、当事者以外の第三者も加わることができ、そのためには訴訟参加の手続を経ることを要しない

大決昭6.4.22、大判大14.4.24、大判昭14.8.12

※救済を求める当事者の選択に応じ、期日指定申立てによる旧訴の続行、和解無効の確認の訴え、請求異議の訴えによることを認めている

☆成立した訴訟上の和解について当事者の一方が錯誤無効を主張して和解の効力を争うためには、必ずしも和解が無効であることの確認を求める別訴を提起する必要はない

89条

・裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる

☆裁判所は、訴訟の係属後であれば、第1回口頭弁論期日前であっても、和解を試みることができる

最判昭42.12.26

・相隣者間において境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の境界自体は変動しないものというべきである……したがって、右合意の事実を境界確定のための一資料にすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは許されないものというべきである

☆筆界(境界)確定の訴えにおいて、筆界を定める効果を揺する内容の和解をすることはできない

人事訴訟法27条1項、2項 

※離縁訴訟の係属中に原告又は被告が死亡すると、その訴訟は当然に終了する

☆養子が養親を相手に離縁の訴えを提起し、その訴えに係る訴訟の係属中に養親が死亡したときは、養親の他の相続人は、訴訟を受け継ぐことができない

京都地判昭39.6.26 

・代諾離縁の訴訟において、代諾権者は、養子のために職務上の当事者として訴訟をなしうる(訴訟代理)とともに、養子を代理して訴訟をなしうる(法定代理)と解するのを相当とする

☆養子が15歳未満であるときでも、養親は、養子を被告として離縁の訴えを提起することができ、この場合、離縁後に法定代理人となるべき者が養子のために訴訟行為をすることとなる 

第3章 訴訟準備活動とそのサポートシステム

第1節 現行法における訴訟準備活動のためのサポート・システム

221条2項

☆220条4号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない

222条1項本文

☆文書提出命令の申立てをする場合において、221条1項1号又は2号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難である時は、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる

223条2項

☆裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない 

220条4号ロ

・公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

☆公務員の職務上の秘密に関する文書については、当該文書の提出によって公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあることを理由としてその提出を拒むことができる

223条6項

※裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が220条4イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするために必要があると認めるときは、文書の所持者にその呈示をさせることができる

☆裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものに該当するかどうかの判断をするために、いわゆるインカメラ手続をとることができる 

☆いわゆるインカメラ手続を実施した結果、提出義務がないとして文書提出命令の申立てを却下した裁判所は、当該文書を閲読しなかったものとして本案についての心証を形成しなければならない

最決平12.12.14

・223条7項は、文書提出命令の申立てについての決定に対しては、申立人とその名宛人である所持者との間で文書提出義務の存否について争う機会を付与したものと解される

☆判例によれば、第三者に対してされた文書提出命令に対し、文書提出命令の申立人ではない本案訴訟の当事者は、即時抗告をすることができない

225条1項

第三者文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、20万円以下の過料に処する

当事者が文書提出命令に従わないとき、裁判所の決定により、過料に処されることはない 

163条本文

・当事者は、訴訟の係属中、相手方に対し、主張又は立証を準備するために必要な事項について、相当の期間を定めて、書面で回答するよう、書面で照会をすることができる

☆当事者照会に対し、相手方が正当な理由なく回答を拒んだときでも、裁判所は、照会をした当事者の照会事項に関する主張を真実と認めることはできない 

186条

※裁判所は、必要な調書を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる

☆調査の嘱託は、裁判所が職権ですることができる 

☆調査の嘱託は、個人に対してすることができない

調査の嘱託の嘱託先が調査に応じない場合でも、制裁は科されない

最判昭45.3.26

・186条に基づく調査の嘱託によって得られた回答書等調査の結果を証拠とするには、裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない

☆判例の趣旨によれば、調査の嘱託の嘱託先が嘱託に応じて書面を裁判所に送付した場合において、裁判所が当該書面を証拠とするには、口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り、当事者の援用を要しない

235条2項

※訴えの提起前における証拠保全の申立ては、尋問を受けるべき者若しくは文書を所持する者の居所又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にしなければならない

☆訴えの提起前に証拠保全の申立てをし、検証の申出をする場合には、検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にしなければならない

234条

・裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる

☆裁判所は、証拠保全として、文書の証拠調べ及び検証をすることができ、証人の尋問をすることもできる

☆裁判所は、申立てがなければ、訴え提起前において、証拠保全の決定をすることができない 

237条

※裁判所は、必要があると認めるときは、訴訟の係属中職権で、証拠保全の決定をすることができる

☆裁判所は、訴えの提起後において、申立てがなくても証拠保全の決定をすることができる

☆裁判所は、訴訟の係属中、職権で、証拠保全をすることができる

236条前段

証拠保全の申立ては、相手方を指定することができない場合においても、することができる 

242条

☆証拠保全の手続において尋問をした証人について、当事者が口頭弁論における尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない

238条

証拠保全の決定に対しては、不服を申し立てることができない

181条1項

・裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要がないと認めるものは、取り調べることを要しない

☆文書提出命令の申立ては、その対象となった文書について証拠調べの必要性を欠くことを理由として却下することができる

最決平11.11.12(百選69)

・ある文書が、……もっぱら内部の者の利用に供する目的で作成され、外部の者に開示することが予定されていない文書であって、……開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には、特段の事情がない限り、当該文書は220条4号二所定の「もっぱら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たる

☆判例によれば、株式会社の社内文書で外部の者への開示が予定されていなものであっても、その文書を開示することにより当該株式会社に看過し難い不利益を生ずるおそれがないときには、文書提出命令の対象となる

最決平16.5.25(百選A23)

・民事訴訟の当事者が、220条3号後段の規定に基づき、刑訴法47条所定の「訴訟に関する書類」に該当する文書の提出を求める場合においても、当該文書の保管者の上記裁量的判断は尊重されるべきであるが、当該文書が法律関係文書に該当する場合であって、その保管者が提出を拒否したことが、民事訴訟における当該文書を取り調べる必要性の有無、程度、当該文書が開示されることによる上記の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし、その裁量権の範囲を逸脱し、又は乱用するものであると認められるときは、裁判所は、当該文書の提出を命ずることができるものと解するのが相当である

☆判例によれば、刑事事件に係る訴訟に関する書類も、文書提出命令の対象となることがある 

商法19条4項、434条

※商業帳簿等については、裁判所は申立てにより又は職権をもって、訴訟の当事者に商業帳簿の提出を命ずることができる 

☆裁判所は、申立てがなくても、訴訟の当事者に、商業帳簿の提出を命ずることができる

第4章 訴訟審理の進行

第1節 手続の進行と停止

最判昭42.2.24(百選A12)

☆原告が被告の住所を知りながらこれを不明としてした申立てに基づき訴状等の公示送達が実施されたため、被告が訴え提起の事実を知らないまま被告敗訴の第一審判決がくだされ、その後、控訴期間を徒過した場合には、当該被告は、控訴を追完することができる

107条

※住所等は知れているが、住所等及び就業場所において交付送達ができない場合、裁判所書記官は、住所等に対して書留郵便等によって送達書類を発送する方法を用いることができる(付郵便送達、1項1号)

※付郵便送達は、その要件を満たす場合にこの方法によって送達されると、発送によって直ちに送達の効力を生じ(3項)、実際に受送達者が書類を受け取ったか否かを問わない

☆被告の住所宛に郵便に付する送達ができる場合において、訴状等を書留郵便で発送すれば、書留郵便の保管期間満了により訴状等が裁判所に返戻されても、訴訟係属の効果には影響がない

最判平19.3.20(百選40)

・受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との間に、その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため、同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が速やかに交付されることを期待することができない場合……当該同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が実際に交付されず、そのため、受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには、当事者の代理人として訴訟行為をした者が代理権を欠いた場合と別意に扱う理由はないから、338条1項3号の再審事由があると解するのが相当である

☆被告のクレジットカードを無断で使用した被告の同居の妻が、当該使用に係る立替金請求訴訟の訴状等が被告の住所において送達された際、被告不在のため、被告に代わってこれを受領した後に隠匿したことにより、被告が訴え提起の事実を知らないまま被告敗訴の第一審判決がくだされ、これが確定したときは、当該判決に対して再審の訴えを提起することができる

100条

裁判所書記官は、その所属する裁判所の事件について出頭した者に対しては、自ら送達をすることができる 

最判昭25.6.23

・訴訟代理人のあるときは、訴訟書類は、その代理人に送達するのを通例とするけれども、この場合においても当事者本人に対する送達を妨げるものではない

☆訴訟代理人を選任している被告につき、第一審判決正本を、当該訴訟代理人ではなく被告本人に送達することは違法ではない

124条1項

・一定の資格を有するもので自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失(5号)

☆当事者である破産管財人が解任された場合、訴訟手続が中断する

☆当事者が支配人によって訴訟追行している場合において、当該支配人が辞任したとき、訴訟手続は中断しない

☆複数の選定当事者のうちの1人が死亡した場合、訴訟手続は中断しない

・当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅(3号)

☆被告が訴訟上の特別代理人によって遂行している場合において、特別代理人が改任されたとき、訴訟手続が中断する

※法人その他の団体の代表者または管理人の代理権消滅(3号、37条)

☆当事者が法人でない社団であって代表者の定めがある場合において、当該代表者が辞任したとき、訴訟手続が中断する

※当事者が死亡した場合、その訴訟の訴訟物となっている権利義務関係を実体法により相続した者がその訴訟を受け継がなければならない(1号)

☆XがYに対して貸金の返還を求める訴えを提起したところ、審理中にYが死亡したため、Yの共同相続人であるZ1及びZ2が訴訟を受継した場合、Z1が死亡しても、Z2との関係では訴訟手続は中断しない。なお、Y、Z1及びZ2に訴訟代理人はいないものとし、また、Z2はZ1の相続人ではないものとする

138条2項、137条

※訴状の送達ができない場合について、137条を準用(138条2項)

・訴状が133条2項(訴状の必要的記載事項)の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない(137条1項)

・前項の場合において、原告が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、訴状を却下しなければならない(137条2項)

☆裁判長が補正を命じても訴状の送達をすることができない場合には、その訴状は、命令で却下される

101条、106条1項、107条1項

・送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする(101条)

※送達場所において名宛人に出会わないときには、使用人その他の従業者、又は同居者で、書類の受領について相当のわきまえのある物に対して送達実施機関が書類を交付することができる(補充送達、106条1項)

※交付ができない場合に、付郵便送達の方法を認めている(107条1項)

113条

・相手方に対する公示送達がされた書類に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載があるときは、その意思表示は、111条(公示送達の方法)の規定による掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす

☆訴状において契約解除の意思表示をしようとする場合、その訴状の送達が公示送達の方法によってされたときは、掲示を始めた日から2週間を経過した時に、契約解除の意思表示が被告に到達したことになる

第2節 手続進行における訴訟主体の役割

90条

※当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない

☆当事者は、訴訟手続に関する規定の違反についての異議を述べる権利を放棄しようとするときは、書面によらず口頭で行うこともできる

責問権あらかじめ放棄することは許されない

☆判決の言渡が公開の法廷で行われなかった場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べないときであっても、異議を述べる権利を失わない

最判昭31.6.19

・訴えの変更についての書面の提出または送達の欠缺は、被告の責問権の喪失によって治癒される

訴えの変更の書面が被告に送達されなかった場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べなければ、異議を述べる権利を失う

最判昭29.2.11

・宣誓せしむべき証人を宣誓せしめずして尋問した場合といえども、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を失ったものというべきである

☆宣誓をさせるべき証人を宣誓させないで尋問した場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べないときは、異議を述べる権利を失う 

第5章 当事者の弁論活動と裁判所の役割(審理の第一段階)

第2節 弁論活動を指導する原則

149条4項

※裁判長又は陪席裁判官が、口頭弁論の期日外において、攻撃又は防御の方法に重要な変更を生じうる事項について釈明権の行使をしたときは、その内容を相手方に通知しなければならない

☆裁判長は、口頭弁論の期日外で一方当事者に対し攻撃又は防御の方法に重要な変更を生じうる事項について釈明権を行使した場合、その内容を相手方に通知する必要がある

最判昭45.6.11

・その訴訟の経過やすでに明らかになった訴訟資料、証拠資料からみて、別個の法律構成に基づく事実関係が主張されるならば、原告の請求を認容することができ、当事者間における紛争の根本的な解決が期待できるにもかかわらず、原告においてそのような主張をせず、かつ、そのような主張をしないことが明らかに原告の誤解又は不注意と認められるようなときは、その釈明の内容が別個の請求原因にわたる結果となる場合でも、事実審裁判所としては、その権能として、原告に対しその主張の趣旨とするところを釈明することが許されるものと解すべきであり、場合によっては、発問の形式によって具体的な法律構成を示唆してその真意を確かめることが適当である場合も存する

・釈明の制度は、弁論主義の形式的な適用による不合理を修正し、訴訟関係を明らかにし、できるだけ事案の真相をきわめることによって、当事者間における紛争の真の解決をはかることを目的として設けられたものである

☆具体的な法律構成を示唆して訴えの変更を促す釈明権の行使は、許されることもある

157条

・当事者が故意又は重大な過失により時機に遅れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる(1項) 

※攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする(2項)

☆攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が釈明をすべき期日に出頭しない場合、裁判所は、その攻撃又は防御の方法を却下することができる

☆当事者が故意又は重大な過失により時機に遅れて提出した攻撃防御方法について、裁判所は、これにより訴訟の完結を遅延させることになると認めたときは、相手方の申立てがなくても、却下の決定をすることができる

151条1項

※裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため、次に掲げる処分をすることができる(柱書) 

※検証をし、又は鑑定を命ずること(5号)

☆裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため、鑑定を命ずることができる

☆調査の嘱託を釈明処分としてすることができる

150条

※当事者が、口頭弁論の指揮に関する裁判長の命令又は釈明権の行使に対し、異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする

☆当事者は、裁判長の釈明権の行使に対して不服があれば、異議を申し立てることができる

最判昭32.2.8

・やむを得ない事由によって反対尋問ができなかった場合には、単に反対尋問の機会がなかったというだけの理由で、右本人尋問の結果を事実認定の資料とすることができないと解すべきではなく、結局、合理的な事由心証によりその証拠力を決しうると解するのが相当である

☆反対尋問を経ていない証言についても、裁判所は、その証言を事実認定の資料とすることができる

☆当事者の一方が提出した証拠により相手方に有利な事実を認定するには、相手方の援用は不要である

最判昭27.10.21

・特段の立証はなくとも裁判所が弁論の全趣旨によりその成立の真正を認めうる

☆口頭弁論の全趣旨のみをもって事実を認定することは、許される

248条

☆損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる 

☆自由心証主義は、職権探知主義による訴訟にも適用される 

92条の2第1項

※裁判所は、争点若しくは証拠の整理又は訴訟手続の進行に関し必要な事項の協議をするに当たり、訴訟関係を明瞭にし、又は訴訟手続の円滑な進行を図るため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、決定で、専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる。この場合において、専門委員の説明は、裁判長が書面により又は口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日において口頭でさせなければならない

☆裁判所は、争点及び証拠の整理をするに当たり、訴訟関係を明瞭にするため必要があると認める場合において、専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させるときは、当事者の意見を聴かなければならないが、同意を得る必要はない

92条の2第2項前段

☆裁判所は、証拠調べをするに当たり、訴訟関係又は証拠調べの結果の趣旨を明瞭にするため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、決定で、証拠調べの期日において専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる

214条1項

※鑑定人について誠実に鑑定することを妨げる事情があるときは、当事者は、その鑑定人が鑑定事項について陳述をする前に、これを忌避することができる

☆鑑定人について誠実に鑑定することを妨げる事情があるときは、当事者は、その鑑定人を忌避することができる

鑑定人の資格は自然人に限られ、官公署や法人を鑑定人とすることはできない

215条1項

・裁判長は、鑑定人に、書面又は口頭で、意見を述べさせることができる

☆鑑定人に書面又は口頭のいずれによって鑑定意見を述べさせるかは、裁判長がその裁量により定める 

規則129条1項本文 

※鑑定の申出をするときは、同時に、鑑定を求める事項を記載した書面を提出しなければならない

☆鑑定の申出は、当事者において鑑定人を指定して行う必要はない

☆裁判所は、鑑定人が正当な理由なく期日に出頭しないときでも、鑑定人の勾引を命ずることはできない

217条

※特別の学識経験により知り得た事実に関する尋問については、証人尋問に関する規定による

☆患者の治療を行った医師にその患者の症状について陳述させるときのように、特別の学識経験により知り得た事実を陳述させる場合には、鑑定人質問ではなく、証人尋問に関する規定による

202条

※証人の尋問は、まずその尋問の申出をした当事者による主尋問、他の当事者による反対尋問がなされた後、その補完として裁判長による補充尋問がなされる(1項)

※裁判長が適当と認めるときには、当事者の意見を聴いて、この順序を変更することができる(2項)

☆裁判長は、適当と認めるときは、証人尋問の順序を変更することができるが、その際には当事者の違憲を聴かなければならない 

☆人証の取調べにおいて、主尋問、反対尋問、再主尋問の順序により尋問が行われた場合、当事者が更に尋問をするには、裁判長の許可が必要である

規則115条2項ただし書 

☆人証の取調べにおいて、当事者は、正当な理由がある場合は、誘導質問や争点に関係のない質問をすることができる  

第3節 口頭弁論の手続

☆当事者は、口頭弁論において、準備的口頭弁論の結果を陳述する必要はない

168条

・裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができる

☆裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認める場合において、事件を弁論準備手続に付するときは、当事者の意見を聴かなければならないが、同意を得る必要はない

☆裁判所は、当事者の同意がなくても、事件を弁論準備手続に付することができる

175条

※裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認める時は、当事者の意見を聴いて、事件を書面による準備手続(当事者の出頭なしに準備書面の提出等により争点及び証拠の整理をする手続きをいう)に付することができる

☆裁判所は、事件を書面による弁論準備手続に付するに当たり、当事者の意見を聴かなければならない

170条2項

・裁判所は、弁論準備手続の期日において、証拠の申出に関する裁判その他の口頭弁論の期日外においてすることができる裁判及び文書(……)の証拠調べをすることができる

☆弁論準備手続期日において、証人の採否の決定をすることができるが、証人尋問をすることはできない

☆裁判所は、弁論準備手続の期日において、文書の証拠調べをすることができる

170条3項

・裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所および当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができる。ただし、当事者の一方がその期日に出頭した場合に限る

☆弁論準備手続においては、当事者双方が期日に出頭することができない場合であれば、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、期日における手続を行うことができない

164条

☆裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、準備的口頭弁論を行うことができ、その際には当事者の意見を聴く必要はない

☆準備的口頭弁論期日では、争点及び証拠の整理に必要であれば、その限度で、書証や人証の取調べをすることができる

165条1項、170条5項

・裁判所は、準備的口頭弁論を終了するに当たり、その後の証拠調べにより証明すべき事実を当事者との間で確認するものとする(165条1項)

※弁論準備手続に民事訴訟法165条1項を準用する(170条5項)

☆裁判所は、弁論準備手続を終結するに当たり、その後の証拠調べにより証明すべき事実を当事者との間で確認するものとされている

165条2項、170条5項

☆裁判長は、相当と認めるときは、弁論準備手続を終結するに当たって、当事者に弁論準備手続における争点及び証拠の整理の結果を要約した書面を提出させることができる

170条5項、158条

※原告又は被告が最初にすべき弁論準備手続の期日に出頭しなかったときは、裁判所は、その者が提出した準備書面に記載した事項を陳述したものとみなすことができる

☆最初の弁論準備手続の期日に当事者の一方が欠席した場合には、その当事者があらかじめ提出した準備書面に記載した事項を陳述したものとみなすことができる

規則95条1項、97条

☆進行協議期日においては、裁判所外で、口頭弁論における証拠調べと争点との関係の確認その他訴訟の進行に関し必要な事項についての協議を行うことができる  

169条1項

☆弁論準備手続は、当事者双方が立ち会うことができる期日において行う

169条2項本文

・裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる

☆裁判所は、弁論準備手続の期日を公開する必要はない

176条3項

・裁判長等は、必要があると認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、争点及び証拠の整理に関する事項その他口頭弁論の準備のため必要な事項について、当事者双方と協議をすることができる 

☆書面による準備手続において、いわゆる電話会議システムを利用することができる

249条2項

裁判官が代わった場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない

☆合議体を構成する3人の裁判官のうちの1人が交代した場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない

249条3項

単独の裁判官が代わった場合又は合議体の裁判官の過半数が代わった場合において、その前に尋問をした証人について、当事者が更に尋問の申出をしたときは、裁判所はその尋問をしなければならない

☆裁判所は、裁判官が代わった場合において、当事者の申出があるときでも、裁判官が代わる前に尋問した当事者本人について、その尋問をする必要はない

控訴審において、第一審で尋問した証人につき当事者が尋問を求めた場合、これを認めなくても、直接主義の要請に反しない

☆合議体を構成する3人の裁判官のうちの2人が交代した場合において、当事者の申出があるときは、裁判所は、裁判官の交代前に尋問した証人を再度尋問しなければならない

☆合議体の審理をその構成員である裁判官の1人が単独裁判官として引き続き審理をするときは、弁論の更新手続は必要ないが、単独裁判官の審理をその裁判官を含む合議体として引き続き審理をするときは、弁論の更新手続が必要である

☆弁論の更新手続をしないままされた判決は、判決に従って判決裁判所を構成しなかったものとして、最高裁判所に対する上告の理由となる

☆裁判官が代わった後の口頭弁論期日に当事者の一方が欠席した場合、裁判所は、出頭した他方の当事者に、当事者双方に係る従前の口頭弁論の結果を陳述させて、弁論の更新手続をすることができる

規則79条1項、83条1項

・答弁書その他の準備書面は、これに記載した事項について相手方が準備をするのに必要な期間を置いて、裁判所に提出しなければならない(79条1項)

※当事者は、準備書面について、79条1項の期間を置いて、直送しなければならない(83条1項)

☆準備書面は、記載した事項につき相手方が準備するのに必要な期間をおいて、裁判所を通じて相手方に送達せず、直送しなければならない

161条3項

相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面……に記載した事実でなければ、主張することができない

☆相手方が口頭弁論期日に出頭した場合には、準備書面に記載のない事項でも陳述することができる

158条

・原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる

☆準備書面は、裁判所に提出されただけでは、判決の基礎とすることができない

☆当事者双方が最初にすべき口頭弁論の期日に欠席した場合には、訴状に記載された事項及び答弁書に記載された事項がそれぞれ陳述されたものとみなされない

☆被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しなかった場合には、原告が出頭していれば答弁書の陳述を擬制することができ、原告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しなかった場合には、被告が出頭していれば訴状の陳述を擬制することができる

276条1項

☆口頭弁論は、簡易裁判所においては、書面で準備する必要はない 

162条

・裁判長は、答弁書若しくは特定の事項に関する主張を記載した準備書面の提出又は特定の事項に関する証拠の申出をすべき期間を定めることができる

☆当事者は、裁判長が定めた期間内に提出しなかった準備書面を、口頭弁論期日において陳述することができる 

263条第1文

・当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、1月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす

☆当事者双方が弁論準備手続の期日に欠席した場合において、1ヶ月以内にいずれの当事者からも期日しての申立てがされないときは、訴えの取下げがあったものとみなされる

263条後段

※当事者双方が、連続して2回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは体積をしたときは、訴えの取下げがあったものとみなされる

129条

※当事者が受継の申立てをしない場合でも、裁判所は、職権によって当事者に対して続行命令を発し、手続の中断を解消することができる

☆裁判所は、訴訟手続の受継の申立てがなくても、訴訟手続の続行を命ずることができる 

132条1項

判決の言渡しは、訴訟手続の中断中であっても、することができる

 ☆被告が口頭弁論終結後に死亡して訴訟手続が中断した場合でも、裁判所は、受継がされる前に判決を言い渡すことができる

251条2項

・判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合においても、することができる

☆判決の言渡しは、当事者双方が判決の言渡期日に欠席した場合においても、することができる

285条本文、124条1項1号・2項、132条2項第1文

※控訴期間は、「判決書……の送達を受けた日」から進行を開始する(285条本文)。もっとも、民事訴訟法は、原告が死亡した場合、訴訟代理人がいるときを除き、訴訟手続は中断すると規定しており(124条1項1号・2項)、この場合「期間は進行を停止」することになる(132条2項第1文)

☆請求を棄却する第一審判決の送達を受けた日の翌日に原告が死亡した場合には、原告に訴訟代理人がいるときを除き、訴訟手続は中断し、控訴期間は進行を停止する 

185条

☆裁判所は、相当と認めるときは、裁判所外において証拠調べをすることができ、その際には当事者の意見を聴く必要はない 

195条

・裁判所は、次に掲げる場合に限り、受命裁判官又は受託裁判官に裁判所外で証人の尋問をさせることができる(柱書)

証人が……正当な理由により出頭することができないとき(1号)

当事者に異議がない時(4号) 

☆裁判所は、当事者に異議がないときは、受命裁判官に裁判所外で証人の尋問をさせることができる

☆証人が正当な理由なく出頭しない場合、裁判所は、受命裁判官又は受託裁判官に裁判所外でその証人の尋問をさせることができない

最判昭26.6.29

・基本たる口頭弁論に関与しない判事でも判決の言渡に関与することを妨げるものではない

☆判決の言渡をする裁判官は、当該判決の基本となる口頭弁論に関与した裁判官でなくてもよい

152条1項

・裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる

☆裁判所は、数個の独立した攻撃又は防御の方法が提出されている場合において、特定の攻撃又は防御の方法に審理を集中したいときは、弁論の制限をすることができる

憲法82条

・裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う(1項)

・裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序または善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる(2項本文)

☆口頭弁論の期日のうち証人尋問の期日について、その公開を停止することができる 

182条

☆証人及び当事者本人の尋問は、できる限り、争点及び証拠の整理が終了した後に集中して行わなければならない 

173条

・当事者は、口頭弁論において、弁論準備手続の結果を陳述しなければならない 

☆弁論準備手続において主張された事実は、弁論準備手続の結果を当事者が口頭弁論で陳述することによって訴訟資料となる

153条

・裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる

☆裁判所は、当事者の申立てがなくても、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる 

第6章 当事者の立証活動と裁判所の事実認定(審理の第二段階)

第2節 立証活動の目標

最判昭41.9.22(百選54)

・被上告人らの前記抗弁における主要事実は「債権の譲渡」であって、前記自白にかかる「本件建物の売買」は、右主要事実認定の資料となりうべき、いわゆる間接事実にすぎない。かかる間接事実についての自白は、裁判所を拘束しないのはもちろん、自白した当事者を拘束するものでもないと解するのが相当である

☆貸金返還請求訴訟において、被告が原告の主張する額の金銭の受領を認める旨の陳述をしたとき、金銭消費貸借契約締結の事実につき裁判上の自白は成立しない

※裁判上の自白が成立するためには、その訴訟の口頭弁論又は弁論準備手続における弁論としての陳述である必要がある

☆貸金返還請求訴訟の原告本人尋問において、被告が抗弁として主張する弁済の事実を原告が認める旨の供述をしても、弁済の事実につき裁判上の自白は成立しない

人事訴訟法19条1項、20条前段

人事訴訟の訴訟手続においては、民事訴訟法179条の規定中、裁判所において当事者が自白した事実に関する部分は適用しない(人事訴訟法19条1項)。

※人事訴訟においては、裁判所は、当事者が主張しない事実を斟酌し、かつ、職権で証拠調べをすることができる(人事訴訟法20条前段)

☆親子関係不存在確認の訴えにおいて、被告が、子の懐胎が可能である時機に両親が別居していたとの原告の主張を認める旨の陳述をしても、この事実につき裁判上の自白は成立しない

☆所有権に基づく建物明渡請求訴訟において、被告が原告との間で当該建物の賃貸借契約を締結した旨の抗弁を主張し、原告がこれを認める旨の陳述をしたときは、賃貸借契約の事実につき裁判上の自白が成立する

☆所有権に基づく建物明渡請求訴訟において、原告が自らすすんで被告との間で当該建物の賃貸借契約を締結した旨の陳述をしたときは、これを被告が援用すれば、賃貸借契約締結の事実につき裁判上の自白が成立する

最判昭52.4.15

書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない

☆当事者が証拠として提出した契約書について、相手方がその成立の真正を認める旨の陳述をした場合でも、裁判所は、証拠によって当該契約書の成立の真正を否定することができる

最判昭33.3.7

・「上告人……の自白は、Aが訴外Bの刑法246条2項に該当する詐欺行為によりなされた点において無効であり少なくとも取り消しうるものである」旨……口頭弁論で陳述され……、右訴外人の「刑法246条2項に該当する詐欺行為」によりて自白するに至った旨の主張は338条1項5号の事由を主張するものであると認められるから、……本件自白の効力を認むべきでなかった

☆自白の撤回は、第三者の刑事上罰すべき行為によって自白をした場合にもすることができる

東京高判平元.3.27

・本件訴訟の進行状況に照らして考えると、答弁書の記載中に……誤記があったとすれば、被控訴人としては、……自白をした後弁論終結に至るまでの間に、これを撤回する機会が十分に与えられていたものというべきところ、その間に右認否の訂正につき何らなの主張をもせず、各別の措置もとらないまま、弁論の終結を迎えているのであるから、その後弁論再開申請とともになされた本件自白の撤回の申出は、訴訟の完結を著しく遅延させ、時機に遅れたものといわざるを得ない。そして、……被控訴人には弁論終結前に右自白を撤回する機会が十分与えられていたと認められる上、その代理人として弁護士が受任していた事実に鑑みると、被控訴人には、自白の撤回の申出が遅れたことについて、重大な過失が損すると解さざるをえない。従って、被控訴人による本件自白の撤回は許されないというべきである

☆自白の撤回は、時機に遅れたものとして却下されることがある

☆自己に不利益な陳述をした当事者は、相手方がその陳述を援用する前において、当該陳述を撤回することができる 

第3節 事実認定の方法

159条

※当事者が相手方の主張事実を争うことを明らかにしない場合には、自白と同様に取り扱う(擬制自白、1項本文)

※自白の擬制について定める1項の規定は、当事者が欠席した場合にも準用される(3項本文)

※その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない(3項ただし書)

☆賃借人に対する建物明渡しと転借人に対する建物明渡しを求める訴えが併合提起された場合、訴状等を受領した転借人が最初の口頭弁論期日に答弁書その他の準備書面を提出しないで欠席したときは、裁判所は、弁論を分離し、転借人に対する建物明渡請求を認容する判決をすることができる

☆公示送達の方法により訴状及び第一回口頭弁論期日の呼出状が送達された場合において、被告が当該期日に欠席したときでも、原告の主張した事実を自白したものとはみなされない

☆口頭弁論の期日において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしなかった当事者も、次回以降の期日において当該事実を争うことができる

大判大10.9.28

・必要的共同訴訟にあらざる場合においても共同訴訟人中1人の提出したる証拠はその内容が他の共同訴訟人に影響を及ぼすときに限りその援用をまたずして右共同訴訟人のために判断の資料となすを妨げず

☆賃借人に対する建物明渡しと転借人に対する建物明渡しを求める訴えが併合提起された場合、賃借人が取調べを申し出た証人が、賃貸人が転貸借について承諾した事実を証言したときは、当該証言は、転借人に対する建物明渡請求についても、転借人の援用を要することなく証拠資料となる

124条、38条

※訴訟は、当事者の死亡によって、相続人などが受継するまで中断する(124条1項1号)。もっとも、訴訟代理人が存在する場合には中断しない(124条2項)

※通常共同訴訟では、共同訴訟人の1人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない(共同訴訟人独立の原則、38条)

☆賃借人に対する建物明渡しと転借人に対する建物明渡しを求める訴えが併合提起された場合、訴訟代理人によって代理されていない賃借人が訴訟の係属中に死亡したときでも、転借人に対する建物明渡請求訴訟は中断しない 

☆賃借人に対する建物明渡しと転借人に対する建物明渡しを求める訴えが併合提起された場合、賃貸人は、本訴提起に先立ち、転借人が建物の占有を他に移転することに備えて、転借人に対し、占有移転禁止の仮処分を申し立てることができる

最判昭41.1.27

・賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は民法612条2項による解除権を行使し得ない

・かかる特段の事情の存在は土地の賃借人において主張、立証すべきものと解するを相当とする

☆賃借人に対する建物明渡請求において、賃借人の転貸借が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があることを基礎付ける事実は、賃借人が主張立証責任を負う

最判昭56.3.20

・当事者の双方が適法な呼出を受けながら口頭弁論期日に出頭しない場合においても、訴訟が裁判をするに熟するときは、裁判所は口頭弁論を終結することが許されるものである

・審理の終結に際し、裁判長が法定において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、122条、251条2項により在廷しない当事者に対してその効力を有し、更に……判決言渡期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しないものと解すべきである

☆判例の趣旨によれば、適法な呼出しを受けた当事者双方が欠席した口頭弁論の期日において弁論を集結し、判決の言渡のための期日を告知したときは、同期日の呼出状を送達することを要しない

244条本文

※裁判所は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟遂行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる

☆裁判所は、当事者の双方が口頭弁論の期日に欠席をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟遂行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる

第4節 証拠調手続

183条

証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合においても、することができる

☆裁判所は、当事者双方が期日に欠席した場合においても、証人尋問を実施することができる

☆証拠調べは、当事者が期日に出頭しない場合にも、することができる

197条1項2号

☆医師は、職務上知り得た事実で黙秘すべきものにつき、証言を拒むことができる

196条2号

※証人は、証言が証人と「後見人と被後見人の関係にある」者の名誉を害すべき事項に関するときは、証言を拒むことができる

☆Aの後見人であるBがその地位を解任された後は、Aは、Bの名誉を害すべき事項につき、証言を拒むことができない

最判平18.10.3(百選67)

・「職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうと解される……。もっとも、ある秘密が上記の意味での職業の秘密に当たる場合においても、そのことから直ちに証言拒絶が認められるものではなく、そのうち保護に値する秘密についてのみ証言拒絶が認められる

199条2項

※証言拒絶についての裁判に対しては、当事者及び証人は、即時抗告をすることができる

☆証言拒絶を認める決定に対しては、当事者は、即時抗告をすることができる

201条4項

※証人は、自己又は自己と196条各号に掲げる関係を有する者に著しい利害関係のある事項について尋問を受ける時は、宣誓を拒むことができる

☆証人は、証人自身が有罪判決を受けるおそれがある事項について尋問を受ける場合には、宣誓を拒むことができる

14条

・裁判所は、管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる 

☆裁判所は、管轄の原因事実について、職権で、証拠調べをすることができる 

223条1項前段

・裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる

☆裁判所は、当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するときでも、証拠調べのため、職権でその提出を命ずることはできない

233条

・裁判所または受命裁判官若しくは受託裁判官は、検証をするに当たり、必要があると認めるときは、鑑定を命ずることができる

☆裁判所は、検証をするに当たり、職権で、鑑定を命ずることができる

人事訴訟法20条前段

人事訴訟においては、裁判所は、当事者が主張しない事実を斟酌し、かつ、職権で証拠調べをすることができる

☆裁判所は、人事訴訟においては、職権で、証拠調べをすることができる

205条、210条 

・相当と認める場合において、当事者に異議がないときは、証人の尋問に代え、書面の提出をさせることができる(205条)

※当事者本人尋問に関する210条は、205条を準用していない

☆地方裁判所は、当事者本人が遠隔地に居住しているなど相当と認める場合において、当事者に異議がないときでも、当事者本人の尋問に代え、書面の提出をさせることはできない

208条

・当事者本人を尋問する場合において、その当事者が、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓若しくは陳述を拒んだときは、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる

☆当事者本人の尋問において、その陳述によって自分が敗訴するおそれのあることは、陳述を拒む正当な理由とならない

210条、203条ただし書

※当事者は、裁判長の許可を受けたときは、書類に基づいて陳述することができる。

☆当事者本人は、裁判長の許可を受けたときは、記憶喚起のため、書類に基づいて陳述することができる

207条1項前段

☆裁判所は、職権で、当事者本人を尋問することができる

☆裁判所は、職権で当事者本人を尋問することができる

207条2項ただし書

※裁判所は、証人及び当事者本人の尋問を行うときは、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる 

☆裁判所は、証人及び当事者本人の尋問を行うときは、当事者から意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる

☆当事者が訴訟能力を欠く場合でも、その当事者本人を尋問することができる

最判昭25.2.28

・書証の成立を認めるということはただその書証の作成名義人が真実作成したもので偽造のものではないということを認めるだけで、その書証に書いてあることが客観的に真実であるという事実を認めることではない

☆A名義で事件の経過を記載した報告書は、Aの意思に基づいて作成されたことが認められても、その内容が真実であるとは推定されない 

229条1項

・文書の成立の真否は、筆跡又は印影の対照によっても、証明することができる

☆作成者をAとして提出されたが、Aの署名も押印もない文書につき、裁判所は、他の証拠を併せて考慮することにより、その文書がAの意思に基づいて作成されたと認定することができる

229条3項

・対照をするのに適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は、対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる

☆当事者が文書の成立の真正を筆跡の対照によって証明しようとする場合において、対象をするのに適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は、対象の用に今日すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる

228条2項

・文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する

☆文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときでも、真正に成立した公文書とみなされない

228条3項

☆公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる

228条4項

・私文書は、本人又は代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する

☆作成者をAとして提出された借用証書につき、Aが借主欄に署名したことは認められるが、署名後に金額欄の記載が改ざんされたとAが主張する場合でも、当該借用書は、真正に成立したものと推定される

☆判例の趣旨によれば、Aの氏名が記された印影が私文書中に顕出されている場合でも、それがAの印章によるものであることが顕出されなければ、その文書は、Aを作成者として真正に成立したものと推定されない

☆作成者をAとして提出された文書にAの署名がある場合には、押印がないときであっても、その文書は、真正に成立したものと推定される

☆私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定される

最判昭32.6.25(百選A21)

・証人尋問終了後は、その申請を撤回することを得ない

 ☆判例によれば、証拠調べが終了した後に当該証拠の申出を撤回することはできない

167条

・準備的口頭弁論の終了後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、準備的口頭弁論の終了前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない

☆争点及び証拠の整理が終了した後でも、新たに証人及び当事者本人の尋問の申出をすることができる

204条

・裁判所は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問をすることができる(柱書)

・証人が遠隔の地に居住する時(1号)

☆裁判所は、証人が遠隔の地に居住するときには、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問をすることができる

第7章 終局判決

第1節 裁判の意義

☆判決も決定も、裁判所による裁判である

250条、119条

※判決は、言渡しによってその効力を生ずる(250条)

※決定及び命令は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる(119条)

☆判決は公開の法廷における言渡しによってその効力を生ずるが、決定は相当と認める方法で関係人に告知することによってその効力を生ずる

87条1項

※当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める

256条1項本文

※裁判所は、判決に法令の違反があることを発見したときは、その言渡し後1週間以内に限り、変更の判決をすることができる

333条

※原裁判をした裁判所又は裁判長は、抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならない

☆適法に即時抗告がされた場合、原裁判をした裁判所又は裁判長は、抗告を理由があると認める時は、その裁判を更正しなければならない

第4節 判決の効力 

最判昭55.10.23

・売買契約による所有権の移転を請求原因とする所有権確認訴訟が係属した場合に、当事者が右売買契約の詐欺による取消権を行使することができたのにこれを行使しないで事実審の口頭弁論が集結され、右売買契約による所有権の移転を認める請求認容の判決があり同判決が確定したときは、もはやその後の訴訟において右取消権を行使して右売買契約により移転した所有権の存否を争うことは許されなくなる

☆売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認請求訴訟において、被告である売主が詐欺を理由として売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し、請求を認容する判決が確定した場合には、売主は自己の所有権の確認を買主に対して求める後訴において当該取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができない

☆売買契約に基づく土地引渡請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、売主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該売買契約につき詐欺による取消権を行使し、その効果を異議の事由として主張することができない

最判昭40.4.2

※相殺は当事者双方の債務が相殺適状に達した時において当然その効力を生ずるものではなくて、その一方が相手方に対し相殺の意思表示をすることによってその効力を生ずるものであるから、当該債務名義たる判決の口頭弁論終結前には相殺適状にあるにすぎない場合、口頭弁論の終結後に至ってはじめて相殺の意思表示がなされたことにより債務消滅を原因として異議を主張するのは民事執行法35条2項の適用上許される

☆貸金返還請求訴訟において、被告である借主が相殺適状にある反対債権を有していたものの、相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が集結し、請求を認容する判決が確定した場合には、借主は、その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、その後にした相殺の意思表示による債務の消滅の効果を請求異議の事由として主張することができる

☆金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、借主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該貸金返還請求訴訟の事実審の口頭弁論終結前に相殺適状にあった貸主に対する債権を自働債権とし、当該貸金返還請求訴訟に係る貸金債権を受働債権とする相殺の意思表示をし、その効果を異議の事由として主張することができる

大判昭14.3.29

※前訴で敗訴の確定判決を受けた借主が前訴で口頭弁論終結前の訴求債権の時効による消滅を後訴において主張することはできない

☆金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、借主は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、当該貸金返還請求訴訟の提起前に完成した当該貸金返還請求訴訟に係る貸金債権の消滅時効を援用して、その時効による消滅を異議の事由として主張することができない

114条1項

※確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する

☆甲土地の所有権を主張するXが、Xからの贈与を原因とする所有権移転登記を有するYに対して贈与の不存在を理由に当該登記の抹消登記を求める抹消登記手続請求訴訟を提起した場合において、判決理由中の判断においてXに甲土地の所有権があるとして、請求を認容する判決が確定したときでも、YはXに対して甲土地の明渡しを求める後訴においてYが甲土地を所有する旨を主張することができる

最判平7.12.15(百選78)

・借地上に建物を所有する土地の賃借人が、賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟の事実審口頭弁論終結時までに借地借家法13条所定の建物買取請求権を行使しないまま、賃貸人の右請求を認容する判決がされ、同判決が確定した場合であっても、賃借人は、その後に建物買取請求権を行使した上、賃貸人に対して右確定判決による強制執行の不許を求める請求異議の訴えを提起し、建物買取請求権行使の効果を異議の事由として主張することができる

・(1)建物買取請求権は、前訴確定判決によって確定された賃貸人の建物収去土地明渡請求権の発生原因に内在する瑕疵に基づく権利とは異なり、これとは別個の制度目的及び原因に基づいて発生する権利であって、賃借人がこれを行使することにより建物の所有権が法律上当然に賃貸人に移転し、その結果として賃借人の建物収去義務が消滅するに至るのである。(2)したがって、賃借人が前その事実新口頭弁論終結時までに建物買取請求権を行使しなかったとしても、実態法上、その事実は同権利の消滅事由にあたるものではなく……訴訟法上も、前訴確定判決の既判力によって同権利の主張が遮断されることはないと解すべきものである。(3)そうすると、賃借人が前その事実審口頭弁論終結時以後に建物買取請求権を行使したときは、それによって前訴確定判決により確定された賃借人の建物収去義務が消滅し、前訴確定判決はその限度で執行力を失うから、建物買取請求権行使の効果は、民事執行法35条2項所定の口頭弁論の終結後に生じた異議の事由に該当する

☆土地の賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟において、被告である借地人が建物買取請求権を行使しないまま口頭弁論が集結し、請求を認容する判決が確定した場合、借地人は、その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて、その後にした建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができる

☆土地賃貸人から提起された借地上に建物を所有する土地賃借人に対する建物収去土地明渡請求訴訟で請求を認容する判決が確定した場合、賃借人は、その後に提起した請求異議の訴えにおいて、建物買取請求権を行使し、その効果を異議の事由として主張することができる

最判昭49.4.26(百選85)

・相続財産の限度で支払を命じた、いわゆる留保付判決が確定した後において、債権者が、右訴訟の第二審口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実(たとえば921条の法定単純承認の事実)を主張して、右債権につき無留保の判決を得るため新たに訴えを提起することは許されない

・前訴の訴訟物は、直接には、給付請求権すなわち債権(相続債務)の存在及びその範囲であるが、限定承認の存在及び効力も、これに準ずるものとして審理判断されるのみならず、限定承認が認められたときは前述のように主文においてそのことが明示されるのであるから、限定承認の存在及び効力についての前訴の判断に関しては、既判力に準ずる効力がある

☆被相続人の貸金債務につき相続人が貸主から提起された貸金返還請求訴訟において、被告である相続人の限定承認の事実が認められ、相続財産の限度での債務の支払を明示する留保付判決が確定した場合には、貸主は、口頭弁論の終結の前に法定単純承認の事実があったとして、限定承認の効力を争い、無留保の判決を得るため、改めて貸金返還請求訴訟を提起することは、許されない 

最判昭37.8.10

・1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合は……一部の請求についての確定判決の既判力は残部の請求に及ばないと解する

・訴訟物となるのは右債権の一部の存否のみであって、全部の存否ではない

最判平6.11.22(百選113) 

・特定の金銭債権のうちの一部が訴訟上請求されているいわゆる一部請求の事件において、被告から相殺の抗弁が提出されてそれが理由がある場合には、まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである

・一部請求は、特定の金銭債権について、その数量的な一部を少なくともその範囲においては請求権が現存するとして請求するものであるので、右債権の総額が何らかの理由で減少している場合に、債権の総額からではなく、一部請求の額から減少額の全額又は債権総額に対する一部請求の額の割合で按分した額を控除して認容額を決することは、一分請求を認める趣旨に反する

最判平10.6.12(百選80)

・金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されないと解する

・数量的一部請求を全部又は一部棄却する旨の判決は、このように債権の全部について行われた審理の結果に基づいて、当該債権が全く現存しないか又は一部として請求された額に満たない額しか現存しないとの判断を示すものであって、言い換えれば、後に残部として請求しうる部分が存在しないとの判断を示すものにほかならない。したがって、右判決が確定したあとにげんこくが 残部請求の訴えを提起することは、実質的には全袖認められなかった請求及び主張を蒸し返すものであり、前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるものというべきである 

給付訴訟において請求を棄却する判決は、確認判決である

☆形成訴訟において請求を認容する判決には、遡及して形成の効果を生ずるものと、将来に向かってのみ形成の効果を生ずるものとがある

☆債務不存在確認訴訟において請求を認容する判決が確定すると、当該債務に係る被告の債権が存在しないことが既判力をもって確定される

☆土地の所有権確認訴訟において請求を棄却する判決が確定したときは、原告が当該土地の所有権を有しないことが既判力をもって確定されるが、被告がその土地の所有権を有することが確定されることはない

☆離婚判決が確定すると、当該判決に基づき戸籍法上の届出がされなくても、婚姻解消の効果が生じる 

最判昭57.3.30(百選A26)

・手形の所持人において、前訴の事実審の最終の口頭弁論期日以前既に白地補充権を有しており、これを行使したうえ手形金の請求をすることができたにもかかわらず右期日までにこれを行使しなかった場合には、右期日ののちに該手形の白地部分を補充しこれに基づき後訴を提起して手形上の権利の存在を主張することは、特段の事情の存在が認められない限り前訴判決の既判力によって遮断され、許されないものと解するのが相当

☆手形の所持人から提起された振出人に対するいわゆる白地手形に基づく手形金請求訴訟において、白地部分が補充されず、請求を棄却する判決が確定した場合、当該手形の所持人は、その後に提起した訴えにおいて、当該白地部分を補充して振出人に対し手形上の権利の存在を主張することができない

251条1項

※判決の言渡しは、原則として口頭弁論終結の日から2ヶ月以内にしなければならない 

民法174条の2第1項 

※商事債権(商法522条)も確定判決によって時効期間が10年に延長される 

最判昭43.9.6 

※建物収去土地明渡及び金銭支払を命じた確定判決を得た債権者が、確定した判決によって強制執行することが具体的事情の下では権利濫用と認められる場合があり、その場合には債務者が請求異議の訴えを提起することができる 

☆不動産登記手続請求訴訟は、形成訴訟ではない 

民法414条2項ただし書

・法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる

☆被告に対して登記手続を命ずる判決が確定したときは、被告は、その確定の時に登記申請の意思表示をしたものとみなされる 

第8章 複雑な訴訟形態

第2節 多数の当事者をもつ訴訟

規則1条1項

※申立てその他の申述は、特別の定めがある場合を除き、書面又は口頭ですることができる

☆補助参加の申出は、書面のほか、口頭ですることができる

43条2項、45条1項本文

※補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる(43条2項)

補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる(45条1項本文)

☆控訴審の終局判決後上告期間が経過する前において、補助参加の申出をすると同時に、上告の提起をすることもできる

☆第一審で補助参加をした参加人が引き続き控訴審で訴訟行為をするためには、控訴審における補助参加の申出をする必要はない

44条1項

※当事者が補助参加について異議を述べた時は、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない

☆補助参加の申出に対しては、被参加人だけでなく、相手方も異議を述べることができる

当事者が補助参加の申出について異議を述べないときは、補助参加人は、参加の理由を疎明する必要がない

☆当事者が補助参加について異議を述べなければ、補助参加人が参加の理由を疎明する必要はない

☆当事者以外の第三者が、独立当事者参加により他人間の訴訟に自ら当事者として参加することができる場合でも、当事者の一方に補助参加することができる 

最判平22.10.19

・本件訴訟において、取消債権者の被保全債権に係る主張が前記事実関係等のとおり交換的に変更されたとしても、攻撃防御方法が変更されたにすぎず、訴えの交換的変更には当たらない

・詐害行為取消権の制度は、債務者の一般財産を保全するため、取消債権者において、債務者受益者間の詐害行為を取り消した上、債務者の一般財産から逸出した財産を、総債権者のために、受益者又は転得者から取り戻すことができるとした制度であり、取り戻された財産又はこれに代わる価格賠償は、債務者の一般財産に回復されたものとして、総債権者において平等の割合で弁済を受けうるものとなるのであり、取り消し債権者の個々の債権の満足を直接予定しているものではない。上記制度の趣旨に鑑みると、詐害行為取消訴訟の訴訟物である詐害行為取消権は、取り消し債権者が有する個々の被保全債権に対応して複数発生するものではない

☆債務者が第三者に無償で譲渡した不動産につき、債権者が詐害行為取消権を行使して所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟を提起する場合において、訴訟係属中に被保全債権を甲債権から乙債権に変更することは、訴えの変更に当たらない

最判昭29.2.26

※控訴審における請求の基礎に変更のない訴えの変更について、相手方の同意がなくても、訴えの変更ができる

・請求の基礎に関する部分について、すでに旧訴に関し第一審の真理がなされているのであるから、真祖についても事実上第一審があったのと同様であり、被告に不当に不利益をこうむらせることはない

☆控訴審における訴えの変更は、請求の基礎に同一性が認められる場合であれば、相手方の同意は必要ない

143条1項

※原告は、請求の基礎に変更がない限り訴えの変更をすることができる(本文)

※訴えの変更は、著しく訴訟手続を遅滞せることとなるときは認められない

☆訴えの変更は、相手方の陳述した事実に基づいてする場合であっても、著しく訴訟手続を遅滞させるときは、許されない

最判昭42.10.12

※相手方の陳述した事実に基づいて訴えを変更する場合でも、これがため著しく訴訟手続を遅滞させる場合には、訴えの変更は許されない

☆訴えの変更は、著しく手続を遅滞させる場合、相手方の同意があるときでも、許されない

最判昭39.7.10

・相手方の提出した防御方法を是認したうえその相手方の主張事実に立脚して新たに請求をする場合、すなわち相手方の陳述した事実をとってもって新請求の原因とする場合においては、かりにその新請求が請求の基礎を変更する訴えの変更であっても、相手方はこれに対し異議を唱えその訴えの変更の許されないことを主張することはできず、相手方が右の訴えの変更に対し現実に同意したかどうかにかかわらず、右の訴えの変更は許される

☆建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えを提起した原告が、請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、この訴えの変更が当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいてされた場合には、許される

☆判例によれば、建物所有権に基づき建物明渡しを求める訴えを提起した原告が、請求を土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求に変更することは、この訴えの変更が当該建物の所有権が自己に帰属する旨の被告の陳述に基づいてされた場合であれば、認められる

大判昭8.6.30

※本案の終局判決に対する上訴の際に上訴裁判所の判断を受けることができるにとどまり、独立して抗告の対象とはならない

※143条4項による訴えの変更を許さない旨の決定は、口頭弁論に基づいてなされる決定である

☆訴えの変更を許さない旨の決定に対しては、独立の不服申立てをすることができない 

45条1項

・補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りではない

☆原告側に補助参加をした補助参加人は、訴えの取下げをすることができない

☆貸主の借主に対する貸金返還請求訴訟において、保証人が借主側に補助参加した場合、借主が、参加申出よりも前に、請求原因事実の一部を自白し、これを撤回することができない場合であれば、保証人はその自白に係る事実を争うことができない

☆被参加人が訴訟外で解除権を行使すれば、被参加人が訴訟においてその事実を主張しなくても、補助参加人は、その事実を主張することができる

45条2項

・補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない

☆貸主Xの借主Yに対する貸金返還請求訴訟において、Yの連帯保証人ZがYに補助参加した場合、Yが自白をすれば、Zは、その自白に係る事実を争うことができない

45条3項

・補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる

☆当事者が補助参加について異議を述べた場合でも、補助参加人は、補助参加を許す旨の裁判が確定するまでの間に、訴訟行為をすることができる

45条4項

補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても当事者が援用したときは、その効力を有する

最判昭37.1.19(百選A34①)

・補助参加人は……被参加人……のために定められた控訴申立期間内に限って控訴の申立てをなし得るものと解する

・補助参加人は……補助参加の性質上、当該訴訟状態に照らし被参加人のなしえないような行為はもはやできないものである

☆補助参加人への第一審判決正本の送達の日から2週間以内であっても、その前に被参加人が控訴を提起することのないまま控訴期間が経過していれば、補助参加人は、控訴を提起することができない

☆判例の趣旨によれば、補助参加人がする上告の提起は、被参加人が上告を提起することができる期間内にしなければならない

最判昭57.7.1

・使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がある場合には、その者が入会部落の構成員であるかどうかを問わず、各自が単独で、その者を相手方として自己の使用収益権の確認又は妨害の排除を請求することができる

※入会権の内容である使用収益を行う権能は、入会部落の構成員たる資格に基づいて個別的に認められる権能であって、入会権そのものについての管理処分の権能とは異なり、本来、各自が単独で行使することができるものである

☆入会集落の構成員の一部は、入会地についての使用収益権に基づいて、入会地への立入りを妨害する者に対し、その排除を求める訴えを提起することができる

最判昭46.10.7(百選A31

・いわゆる共有権(数人が共同して有する1個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である

※共有者全員の有する1個の所有権についての争いは、共有者全員が法律上利害関係を有するから、その判決は全員に矛盾なく、また、合一に確定する必要がある

☆A及びBが共有する甲土地について、第三者Cに対し、甲土地がA及びBの共有に属することの確認を求める訴えは、Aが単独で提起することができない

最判昭40.5.20 

・共有持分権の及ぶ範囲は、共有地の全部に渡る(249条)のであるから、各共有者は、その持分権に基づき、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができる

☆A及びBが共有する甲土地について、第三者Cに対し、Aが甲土地の共有持分権を有することの確認を求める訴えは、Aが単独で提起することができる

最判昭36.12.15 

・所有権移転登記義務の履行という債務は、いわゆる不可分債務であるから、たとえ上告人主張のごとく、上告人の外に共同相続人が存在するとしても、被上告人は上告人1人に対して右登記義務の履行を請求しうるものであって所論のごとく必要的共同訴訟の関係に立つものではない

☆AがBから甲土地を買い受けた場合において、その所有権移転登記がされる前にBが死亡し、C及びDがAに対して所有権移転登記手続きをする義務をBから共同相続したときは、Aは、C又はDのいずれか一方を被告としてB名義で登記されている甲土地につき所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる

最判平11.11.9

境界の確定を求める訴えは、隣接する土地の一方又は双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴え、又は訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解される

☆Aが所有する甲土地とB及びCの共有に属する乙土地とが筆界(境界)を挟んで隣接する場合において、Aが境界確定の訴えを提起するときは、B及びCの双方を被告としてこれを提起しなければならない

人事訴訟法17条1項

※人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは、136条の規定にかかわらず、一の訴えですることができる

☆配偶者の不貞行為を理由として離婚の訴えを家庭裁判所に提起する場合には、原告は、被告に対する当該不貞行為による慰謝料請求併合することができる

請求の併合の要件

①数個の請求が、同種の訴訟手続によって審判されるものであること(136条)

②各請求について受訴裁判所に管轄権のあること

③各請求の間に関連性の不要

☆土地の所有者が地上建物の所有者に対して建物収去土地明渡しを求める訴えを当該土地の所在地を管轄する裁判所に提起する場合には、原告は、被告に対する貸金返還請求を併合することができる

単純併合:併合された他の請求が任用されることと無関係に、各請求のすべてについて審判を求める併合の態様である。この場合には、裁判所は、各請求について必ず判決をすべきである。たとえば、売買代金請求と貸金請求というように、請求の内容が相互に無関係な場合はもちろんこれに当たるが、土地明渡請求明渡しまでの賃料相当の損害請求というように相互に関連のある場合もこれに入る。また引渡し請求とその将来の執行が不能の場合のための代償請求とを併合する場合も同様である

☆土地の明渡請求と当該土地の明渡しまでの賃料に相当する額の損害の賠償請求とが一の訴えでされた場合には、裁判所は、各請求について判決をする必要がある

☆不特定物の引渡しの請求とその執行不能の場合における代償請求とが一の訴えでされた場合において、裁判所は、前者の請求を認容するときでも、後者の請求について判決をする必要がある

予備的併合:第一次(主位)の請求が任用されないことを慮って、その認容を解除条件としながら、第二次(副位)の請求についてもあらかじめ審判を申し立てる場合の併合である。裁判所は、第一の請求を認容するときは、副位請求について審判する必要がなくなるが(訴えの取下げがあったと同様)、主位請求を棄却するときは、副位請求についても審判しなければならない。数個の請求が相互に両立しない場合にかぎって許される。たとえば、売主が代金請求をしながら、売買が無効と判断されることを慮って、引渡した目的物の返還を予備的に請求する場合、また目的物の占有権原を明らかにするために、所有権確認請求をし、予備的に賃借権確認請求をする場合に認められる。……各請求が両立する関係にあってとくに順位をつける必要のない場合にまで、このような条件付申立てを含む併合形態を認める趣旨ではない。当事者が仮に各請求を予備的に併合した形の訴えを提起しても、単純併合として取り扱うべきである 

☆請求の予備的併合及び選択的併合においては、弁論を分離することは許されない

☆消費貸借契約に基づく貸金100万円の支払請求と、仮に当該契約が無効であるときには不当利得として同額の支払を求める請求とが一の訴えでされた場合において、裁判所は、前者の請求を認容するときは、後者の請求について判決をする必要はない  

最判昭29.6.8

・所論の請求拡張については原審において上告人が異議を述べた形跡がないから原審がこれを許容したのは何ら違法ではない

※たとえ請求の基礎に変更があっても、相手方が異議なく応訴した場合には、これを許すべきである

☆判例の趣旨によれば、訴えの変更は、請求の基礎に変更があるときでも、相手方が異議を述べなかったときであれば許される

☆判例によれば、控訴審における訴えの変更に対して相手方が異議なく応訴した場合には、請求の基礎に変更があるときであっても、当該訴えの変更は許される

最判昭32.2.28(百選33)

※訴えの変更により新訴の提起があっても、旧訴につき適法な訴えの取り下げまたは請求の放棄がない限り旧訴の係属は消滅しない

☆判例の趣旨によれば、いわゆる訴えの交換的変更においては、旧請求について訴えの取下げ及び相手方の同意又は請求の放棄がなければ、旧請求の訴訟係属は消滅しない

※請求の原因を変更するというのは、旧訴の係属中原告が新たな権利関係を訴訟物とする新訴を追加的に併合提起することを指称する

☆判例の趣旨によれば、ある土地の所有権確認請求訴訟において、原告が初め被告からのその売買による取得を請求し、後にその時効による取得を主張することは、訴えの変更に当たらない

人事訴訟法18条

・人事訴訟に関する手続においては、民事訴訟法143条1項……の規定にかかわらず、……原告は、請求又は請求の原因を変更することができる

離婚請求に当該婚姻の取消請求を追加することは、請求の基礎の変更にかかわらず、許される 

☆貸金返還請求訴訟の係属中に、当事者が死亡したときは、その者の相続人は、相続の放棄をしない限り、当事者となる

49条 

・訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張して、47条1項(独立当事者参加)の規定により訴訟参加したときは、その参加は、訴訟の係属のはじめにさかのぼって時効の中断又は法律上の期間の遵守の効力を生ずる

☆貸金返還請求訴訟の係属中に、訴訟物とされている貸金債権を譲り受けた者は、参加承継の申立てをして訴訟を承継する義務を負わない

☆貸金返還請求訴訟の係属中に、訴訟物とされている貸金債権を譲り受けた者が適法に参加承継をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断の効力を生ずる

48条

※訴訟承継がされた場合に、従来の原告又は被告が訴訟脱退を行うにあたっては、相手方に対して承諾を得る必要がある

☆貸金返還請求訴訟の係属中に、訴訟物とされている貸金債権を譲り受けた者が適法に参加承継をしたときは、参加前の原告は、相手方の承諾を得なければ訴訟から脱退することができない

50条1項

※訴訟の係属中に、訴訟の目的である義務につき第三者への承継があった場合には、当事者が当該第三者に対し訴訟を引き継がせるため、訴訟承継の申立てを行うことができる

☆貸金返還請求訴訟の係属中に、訴訟物とされている貸金債権に係る債務を第三者が引き受けたときは、原告は、当該第三者に対して、訴訟引受の申立てをすることができる

4条4項

・法人その他の社団又は財団の普通裁判籍は、その主たる事務所又は営業所により、事務所又は営業所がないときは代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる

☆株式会社がその事業を停止し、その事務所又は営業所が存在しなくなったときは、当該株式会社の普通裁判籍は、代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる

35条1項、37条

・法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる(35条1項)

※法定代理及び法定代理人に関する規定は、法人の代表者に準用される(37条)

株式会社に代表者がない場合において、当該株式会社に対し訴えを提起しようとする者は、遅滞のため損害を受けることがあることを疎明して、特別代理人の選任を申し立てることができる

☆親権者が未成年の子に対して、動産の引渡しを求める訴えを提起する場合、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任の申立てをすることができる

103条1項

※法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる

211条

・この法律中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用する。ただし、当事者本人を尋問することを妨げない

☆株式会社を訴訟において代表している代表取締役を尋問するには、当事者本人の尋問の手続きによらなければならない

☆法定代理人は当該訴訟において証人となることができないが、訴訟代理人は当該訴訟において証人となることができる

253条1項5号、37条

※判決書には、当事者及び法定代理人を記載しなければならない(253条1項5号)

※法定代理人に関する規定は法人の代表者に準用される(37条)

判決書には、株式会社の代表者を記載しなければならない

☆法定代理人は判決書の必要的記載事項であるが、訴訟代理人は判決書の必要的記載事項ではない

145条1項

・裁判が訴訟の進行中に争いとなっている法律関係の成立又は不成立に係るときは、当事者は、請求を拡張して、その法律関係の確認の判決を求めることができる。ただし、その確認の請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が11条(管轄の合意)の規定により合意で定めたものを除く)に属するときは、この限りでない

☆中間確認の訴えは、その確認の請求につき他の裁判所の専属管轄とする旨の合意があっても、許される

☆中間確認の訴えによって、当事者間に争いがある訴訟要件の存否の確認を求めることはできない

中間確認の訴え控訴審で提起する場合、相手方の同意は不要である

☆他の裁判所の法定の専属管轄に属する請求は、中間確認の訴えの対象とすることができない

143条2項、145条3項

・請求の変更は、書面でしなければならない(143条2項)

※143条2項を145条1項(中間確認の訴え)の規定による請求の拡張について準用する(145条3項)

☆地方裁判所における中間確認の訴えは、書面でしなければならない

☆中間確認の訴えに対する裁判は、中間判決ではなく終局判決である 

人事訴訟法12条2項

※第三者の提起する婚姻取消しの訴えにおいては、訴訟物は、第三者の婚姻取消権であるが、被告適格の基礎となる婚姻関係の主体たる夫婦を共同被告とする固有必要的共同訴訟が成立する

☆XがY及びZに対してYとZの婚姻の取消しを求める訴えを提起した場合、当該訴訟において、裁判所は、弁論を分離することができない

41条1項・2項、39条

※同時審判申出共同訴訟は、共同訴訟関係の成立を論理的前提として、法律上併存し得ない関係にある共同被告に対する請求について、原告が事実審の口頭弁論終結時までにその旨の申出をなすことによって成立する(41条1項、2項)

※同時審判の申出がなされても共同訴訟関係自体は通常共同訴訟にほかならず、共同訴訟人独立の原則(39条)が妥当するため、各当事者は請求の放棄・認諾など訴訟上の地位の処分を自由になしえ、その効果は他の共同相続人に及ばない

☆XがYの代理人Zとの間でYが所有する甲土地を買い受ける契約を締結したと主張して、Yに対する売買契約に基づく甲土地の所有権移転登記手続請求と、Zに対する無権代理人の責任に基づく損害賠償請求とを併合して訴えを提起し、第一審の審理中に、弁論及び裁判を分離しないでするよう申出をした場合でも、Zだけが請求を認諾すればその効力を生ずる

47条4項前段、40条1項

※独立当事者参加訴訟においては、40条1項から3項までの規定(必要的共同訴訟についての規定)が準用される(47条4項前段)

※二当事者間でされた行為であっても、他の当事者にも有利な訴訟行為は全員のために効力を有する(40条1項) 

☆甲土地の所有者であるXが、Yが甲土地を無断で占有しているとして、Yに対して、所有権に基づく甲土地の明渡を求める訴えを提起したところ、当該訴訟の第一審係属中に、Zが、甲土地をXから譲り受けたと主張して、Yに対して甲土地の明渡を求めて当該訴訟に参加した場合、Yが、Zとの関係で、Yが甲土地を占有していることを認めると、Xとの関係でも同じ事実を認めたものとして扱われる

39条

※通常共同訴訟においては、共同訴訟人独立の原則(39条)により、共同訴訟人のひとりがなした上訴などの訴訟行為の効力は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない

※交通事故の加害者を共同被告とする、共同不法行為に基づく損害賠償請求訴訟は、通常共同訴訟である

☆一つの交通事故の被害者であるXが、Y1とY2とを共同被告として、共同不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起し、第一審においてY1及びY2のいずれに対する請求も認容する判決がされた場合、Y1が控訴をしても、第1真判決中のY2に対する請求を認容した部分は確定が遮断されない 

最判昭39.1.23、最決平13.1.30

※42条にいう「利害関係」とは、法律上の利害関係を指し、単に事実上の利害関係を有するにとどまる場合は含まれない(最判昭39.1.23)

※法律上の利害関係を有する場合とは、当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合をいう(最決平13.1.30)

☆Xは、その所有する建物をYに賃貸し、Yは、Xの承諾を得てその建物をZに転貸した。その後、Xが、Yの債務不履行を理由にYとの建物賃貸借契約を解除したとして、Zに対し、建物の明渡を求める訴えを提起した場合、Yは、Zに補助参加することができる

最判昭48.4.24(百選108)

・同一訴訟物を目的とする訴訟の係属にかかわらず債務者の利益擁護のため訴えを提起する特別の必要を認めることができるのであり、また、債務者の提起した訴えと右代位訴訟とは併合審理が強制され、訴訟の目的は合一に確定されるのであるから、重複起訴禁止の理由である審判の重複による不経済、既判力抵触の可能性及び被告の応訴の煩という弊害がない

☆Aに対して売買代金債権を有すると主張するXが、Aに代位して、AのYに対する貸金債権に基づき、Yに対して当該貸金の返還を求める訴えを提起した場合、Xの主張する売買代金債権が弁済によって消滅したと主張するAは、当該訴訟に独立当事者参加をすることができる

大阪地判昭45.5.28

・訴訟の当事者……間においてはさておき、代位債務者……との関係においては……当事者適格看過の判決はその効力をこれに及ぼすに由なきものと解すべき

☆Aに対して売買代金債権を有すると主張するXが、Aに代位して、AのYに対する貸金債権に基づき、Yに対して当該貸金の返還を求める訴えを提起し、訴えの提起前にXのAに対する売買代金債権が消滅していたにもかかわらず、AのYに対する貸金債権の不存在を理由に請求を棄却する判決がされ、その判決が確定した。この場合、AはYに対する訴えを提起して当該貸金の債権の存在を主張することを妨げられない

第9章 大規模訴訟等に関する特則

第4編 上級審手続

第1章 上訴一般

285条

※控訴は、判決書又は254条2項の調書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前に提起した控訴の効力を妨げない

☆第一審の判決の言渡し後その判決書又は判決書に代わる調書の送達を受ける前において、控訴を提起することも許される

293条1項

※被控訴人は、控訴権が消滅した後であっても、口頭弁論の終結に至るまで、附帯控訴をすることができる

☆裁判所に対し控訴権を放棄する旨の申述をした者が附帯控訴をすることも、許される

261条1項、292条1項

・訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる(261条1項)

・控訴は、控訴審の終局判決があるまで、取り下げることができる(292条1項)

☆訴えの取下げは、判決が確定するまで行うことができるが、控訴の取下げは、控訴審の終局判決があるまでしか行うことができない

292条2項 

※292条2項は、訴えの取下げには相手方の同意を要するとする261条2項本文を準用していない

控訴の取下げには、相手方の同意要しない

被控訴人が附帯控訴をしているときでも、その同意なく控訴の取下げをすることができる 

263条前段、292条2項

・当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、1月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす(263条前段)

・第263条の規定は、控訴の取下げについて準用する(292条2項)

☆控訴審において、当事者双方が口頭弁論の期日に欠席した場合において、1ヶ月以内に期日指定の申立てをしないときは、控訴の取下げがあったものとみなされる

332条

即時抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内にしなければならない 

☆即時抗告期間は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間である 

☆抗告審手続は、厳格な二当事者対立構造は採らない

※通常抗告は、抗告を提起すべき期間が限定されず原裁判の取消しを求める利益がある限りいつでも提起できる

25条4項

・除斥又は忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない

☆忌避の申立てを認容する決定に対しては、不服を申し立てることができない

☆裁判官に対する忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない

21条

※移送の決定及び位相の決定を却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる

☆移送の申立てを却下する決定に対しては、不服を申し立てることができる

最決平12.3.10(百選A24)

※文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる(223条7項)

※証拠調べの必要性がないことを理由とする申立却下に対しては、一般に証拠調べの必要性の判断は受訴裁判所の裁量であることから(181条1項)、即時抗告は認められない

☆文書提出義務がないことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、不服を申し立てることができる

44条3項

※1項(補助参加についての異議)の裁判に対しては、即時抗告をすることができる

☆補助参加の申出を認める決定に対して、不服を申し立てることができる

282条

※訴訟費用の負担の裁判に対しては、独立して控訴をすることができない

☆訴訟費用の負担の裁判に対しては、独立して不服を申し立てることができない 

☆訴訟費用の負担の裁判に対しては、独立して控訴をすることができない

第2章 控訴審手続

第2節 控訴の提起

300条

控訴審においては、反訴の提起は、相手方の同意がある場合に限り、することができる(1項)

※相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは、反訴の提起に同意したものとみなす(2項)

☆控訴審において、反訴の提起の相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは、反訴の提起に同意したものとみなされる

293条2項

※附帯控訴は、控訴の取下げがあったとき、又は不適法として却下されたときはその効力を失う(本文)

※例外として、控訴の要件を備えるものは、独立した控訴とみなされる(ただし書)

☆附帯控訴は、控訴の取下げがあったときは、控訴期間内に提起されたものであれば、その効力を失わない場合がある

最判昭40.3.19

※所有権移転登記及び抵当権設定登記の抹消登記手続を求める訴訟において、第一審判決が、訴えの利益がないとして被上告人らの請求を棄却し、形式的には上告人が全部勝訴の判決を得たかのような外観を呈する場合においても、被上告人ら主張の前記登記抹消登記請求権の存在しないことの確認を求めるため上告人は、更に、第一審判決に対し控訴の利益を有する

☆被告が第一審で請求棄却を求めた場合において、訴えを却下する判決が言い渡されたときは、被告には控訴の利益が認められる

最判昭61.9.4(百選112)

・訴求債権が有効に成立したことを認めながら、被告の主張する相殺の抗弁を採用して原告の請求を棄却した第一審判決に対し、原告のみが控訴し被告が控訴も附帯控訴もしなかった場合において、控訴審が訴求債権の有効な成立を否定したとき……控訴審としては被告の主張した相殺の抗弁を採用した第一審判決を維持し、原告の控訴を棄却するにとどめなければならない

※114条2項によれば、控訴審が訴求債権の有効な成立を否定したときに、第一審判決を取り消して改めて請求棄却の判決をすることは、控訴した原告に不利益であることが明らかであるから、不利益変更禁止の原則(304条)に違反して許されない

☆第一審判決が予備的相殺の抗弁を認めて原告の請求を棄却したのに対し、原告が控訴し、被告が控訴も附帯控訴もしない場合において、控訴裁判所が原告の請求債権はそもそも存在しないと判断するときは、控訴裁判所は、第一審判決を維持し、控訴を棄却しなければならない

大判昭8.2.7

※控訴審としては、第一審における訴訟手続の経過をも通観して、時機に遅れているか否かを決すべきであり、第一審の口頭弁論に出頭しながら、そこで提出することのできた攻撃防御方法を、控訴審の第一回口頭弁論において初めて提出した場合、時機に遅れたものとなりうる

※157条1項の文言が何らの制限を加えていない

※控訴審が第一審の続審である 

☆裁判所は、控訴審の第一回口頭弁論期日において初めて提出された攻撃又は防御の方法を、時機に遅れたものとして却下することができる

最判昭32.12.13(百選A38)

・第一審において、全部勝訴の判決を得た当事者(原告)も、相手方が該判決に対し控訴した場合、附帯控訴の方式により、その請求の拡張をなし得る

☆一部請求であることを明示した訴えにおいて全部勝訴した原告は、被告が控訴をしたときは、附帯控訴により残部について請求を拡張することができる

最判昭26.10.16

・原判決(第一審を取り消し差し戻した控訴審判決)はこれを終局判決と解するのを相当とし、これに対し……直ちに上告することができる

※第一審を取り消し差し戻した控訴審判決によって、事件は原審級を離脱する

☆控訴審が原判決を取り消し、事件を原審に差し戻す判決をした場合には、当該差戻判決に対して上告をすることができる

最判昭31.4.3(百選110)

※請求に関して全面勝訴した当事者は、それが原告であれ、又被告であれ、原則として控訴の利益が認められない

※判例は、原審における当事者の申立てと比べて原裁判が質的又は量的に小さい場合に上訴の利益があるとする形式的不服説を採っている

※形式的不服説によっても、予備的相殺で勝訴した被告には控訴の利益が認められる 

最判昭29.1.28

・たとえ本案の裁判と共に費用の裁判に対し上訴が申し立てられた場合においても、上訴が不適法であるとされ、若しくは本案に対する上訴が理由なきものとされ、従って本案の裁判が変更されないようなときは、費用の裁判も又変更すべきではなくこの点に関する不服の申立ては許されない

・訴訟費用の裁判に対しては独立して上訴をなすことを得ない(282条、313条、331条)。これは、訴訟費用の裁判が本案の裁判に付随してなされるものであることに鑑み、この裁判と離れて費用の裁判のみの当否を上訴審で判断させることを回避したものにほかならない 

301条1項 

※控訴審において、裁判長は、当事者の意見を聴いて、攻撃若しくは防御の方法の提出等をすべき期間を定めることができる

☆控訴審においては、裁判長は、攻撃防御方法を提出すべき期間を定めることができるが、その際には当事者の意見を聴かなければならない

第3節 控訴審の審理

296条2項

※当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない

☆控訴審の口頭弁論期日において、当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない

☆当事者は、控訴審において、第一審の口頭弁論の結果を陳述しなければならない

第4節 控訴審の終局判決

287条1項

☆控訴が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、第一審裁判所は、決定で、控訴を却下しなければならない 

302条2項

☆第一審判決がその理由によれば不当である場合においても、他の理由により正当であるときは、控訴裁判所は、控訴を棄却しなければならない 

第3章 上告審手続

312条

・上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる(1項)

※重大な手続違反があることを理由とする上告(絶対的上告理由、2項)及び判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反を理由とする上告(3項)も認められている 

第4章 公告手続

第5章 特別上訴

第5編 再審手続

338条1項2号

・法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと

☆終局判決が確定したときでも、その判決に関与した裁判官について除斥の原因があることを理由として、その判決に対し、再審の訴えをもって不服を申し立てることができる 

第6編 略式訴訟手続

第1章 少額訴訟手続

368条

※簡易裁判所においては、訴訟の目的物の価額が60万円以下の金銭の支払いの請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる(1項本文) 

※少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない(2項)

☆訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えは、簡易裁判所における少額訴訟によらないこともできる

第2章 督促手続

386条1項

☆支払督促は、債務者を審尋しないで発する

395条前段

※適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす

☆裁判所書記官が支払督促を発した場合において、債務者による適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求について訴えの提起があったものとみなされる

第3章 手形訴訟及び小切手訴訟手続

350条

※手形による金銭の支払の請求及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求を目的とする訴えについては、手形訴訟による審理及び裁判を求めることができる(1項)

※手形訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴状に記載してしなければならない(2項)

☆手形による金銭の支払の請求は、手形訴訟によらないこともできる

353条1項

☆手形訴訟においては、原告は、口頭弁論の終結に至るまで、被告の承諾を要しないで、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる  

第7編 訴訟費用

第1章 民事訴訟とその費用に関する規律

第2章 訴訟費用の負担

67条1項

※裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない。ただし、事情により、事件の一部又は中間の争いに関する裁判において、その費用についての負担の裁判をすることができる

☆裁判所は、終局判決において、当事者の申立てがなくても、訴訟費用の負担について裁判をしなければならない

☆訴訟費用の負担の裁判の対象となる訴訟費用には、当事者が任意で選任した訴訟代理人である弁護士に対して支払う報酬は含まれない

82条1項

※訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力のない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る

☆訴訟上の救助の決定は、申立てですることができるが、職権ですることはできない

61条、62条

※訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする(61条)

※裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の身長若しくは防御に必要であった行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる(62条)

☆訴訟費用は、敗訴の当事者が負担するのが原則であるが、裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張又は防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる

68条

※当事者が裁判所において和解をした場合において、和解の費用又は訴訟費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する 

63条

☆当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより……訴訟を遅滞させたときは、裁判所は、その当事者に、その勝訴の場合においても、遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる

第3章 訴訟上の救助