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イギリスEU離脱国民投票開始!結果発表は24日12時見込み【BREXIT基礎知識まとめ】

週刊ニューズウィーク日本版 「特集:英国はどこへ行く?」〈2016年6/28号〉 [雑誌]

2016年6月23日14時 イギリスのEU離脱(BREXIT・ブレクジット)に関する国民投票(レファレンダム)が開始!

 本日2016年6月23日15時(日本時間。現地時間は2016年6月23日6時)から、イギリスのEUのEU離脱(BREXIT)を問う国民投票が開始されました。

 16日に起きたジョー・コックス議員(残留派)殺害事件の影響も受けて、事前情報では残留派が有利と報じているところもあります。ブックメーカー(イギリス国内で行なわれている賭け事)においても、8割が残留派にかけているとのことです。

 この記事では、イギリスの国民投票に関する基本事項をまとめました。世界が大きく変わりうる大事な場面を不十分な理解のまま見逃すことがないよう、ここでおさらいしておきましょう。

投票終了時間や結果発表の時間は? 中間発表はいつ?(タイムテーブル・日程表)

 23日15時(日本時間。以下時間表記については全て日本時間)に開始した国民投票は24日6時に終了します。それから投票数の集計を行います。結果発表は、投票区ごとに順次行われますが、一番早いところでは24日8時30分頃に判明することが見込まれています。

 半数の投票区で結果が判明するのは11時〜12時頃。この時点で大まかな方向性が見えてくることでしょう。このあたりで中間発表が盛んに行われます。

 13時頃には8割の投票区の結果が判明し、15時には全ての集計が終了し正式に結果発表がなされるものと考えられています。

 なお、YouGovによる独自の出口調査結果はこちらで紹介しています。

国民投票とは?

 国民投票は、特定の事項について、国民が直接賛成か反対かの2択で票を投じるもので直接民主制的な制度です。半数以上の得票数を得た方が採択されます。

どうして国民投票を行うの?

 そもそも、2015年にデーヴィッド・キャメロン首相が選挙戦の公約で、「当選したらEU離脱を問う国民投票を行う」と約束していました。1975年にヨーロッパにおける共同体(当時はEUの前身であるEC)からの離脱か残留か国民投票をしてから、40年以上が経過し、社会情勢が変わってきたためです。

 また、もともと栄光ある孤立の意識が根強いイギリスは、EUに加盟しつつも、つかず離れずの関係を築いてきました。EU圏内共通通貨であるユーロは導入せず、イギリスポンドを使い続けていますし、ユーロスターなどの陸路でフランスからイギリス国内に入国するためにはパスポートのチェックが必要となります。

 このような背景のもと、従来抱えていた東欧からの移民問題に加え、急増した中東からの移民による問題が、イギリス国民に対して、EUに加盟し続けるのはデメリットが多いのではないかという意識を呼び起こし、国民の真意を問う国民投票を行うこととなったのです。

EU(欧州連合)とは?

 EUは、ヨーロッパに存在する28の国が加盟する、経済的かつ政治的な共同体です。第二次世界大戦の後に形成されたEEC(欧州経済共同体)やECSC等が冷戦中に対ソ連への対策としてEC(欧州諸共同体)に発展しましたが、冷戦後にアメリカに対抗しようと東欧にも力を広げるため、また、より一体性を保つために、通貨や政治的な面での統合を行うマーストリヒト条約を締結してEUが組織されました。単一市場として、EU国内での人や物の移動は基本的に自由となりましたが、イギリスのように一部の国ではその移動に制限を設けている加盟国もありました(スウェーデン、デンマーク等)。

国民投票で問われている内容は?

 国民投票では、"Should the United Kingdom remain a member of the European Union or leave the European Union?"ということが問われています。日本語に訳すと、「イギリスはEUの一員として残留すべきか、それともEUを離脱すべきか」です。

BREXIT・ブレクジットとは?

 BREXITとは、イギリスのEU離脱の略称です。イギリスを表す「Britain」と離脱を表す「exit」を合わせてBREXITと言われています。

 以前、ギリシャのEU離脱が問われた時は、ギリシャを表す「Greece」と合わせてGREXITと呼ばれていました。

投票権を与えられているのは誰?

 投票権は、イギリスに住む18歳以上のイギリス人、アイルランド人、旧植民地(コモンウェルス)出身者並びに過去15年間海外からの電子投票に登録したイギリス国籍保有者に与えられます。通常の選挙と異なり、貴族院の構成員や、ジブラルタルに住む市民も投票することができます。アイルランド・マルタ・キプロスを除いたEU市民は投票権を有していません。

投票方法は?

 通常の選挙と同様に、投票券が郵送されてくるため、投票日当日に投票券を持って投票所に行き、ブースでどちらに投票するかを記載(賛成か反対か、自分の意見に合致する方に「×印を記入する」。日本とは異なり、×印に「否定」の意味合いはない)した上で投票箱に投票します。投票日当日に都合がつかない場合は、期日前に郵送で投票することもできます。

イギリスがEUを抜けることに賛成しているのは誰か

 事前調査によれば、イギリス国民の間で離脱に賛成している人と反対している人は半々です。2014年欧州議会選挙でイギリス割り当て73議席中24議席を獲得したイギリス独立党(UK Independence Party, UKIP)は、イギリスのEU離脱を訴えながら、イギリス国内の前の総選挙で13%の得票数を獲得しています。また、保守派の議会議員の一部(5人の閣僚や労働党議員を含む)も離脱派に属していることを表明しています。

イギリスがEUに残留することに賛成しているのは誰か

 キャメロン首相は、EUに残留することに賛成し、閣僚の16人も彼に賛同しています。保守党はこの国民投票について中立の立場をとることを誓っていますが、その多くは残留派寄りです。アメリカのオバマ大統領も残留すべきだと主張していますし、フランスやドイツ等のEU加盟国も残留を望んでいます。また、元イングランド代表のサッカー選手、デイヴィッド・ベッカムも、彼のマンチェスターユナイテッド時代のEU諸国出身者について触れながら、残留を主張しています。残留派は、EUとしての結束をより強めることを主張し、また、独立によりイギリスの世界的な地位が低下することを懸念しています。

国民投票キャンペーンの主体は誰か

 国民投票については、離脱派の「Britain Stronger in Europe」と残留派の「Vote Leave」がキャンペーンを行っています。

全ての票が平等にカウントされるの?

 投票された票は全てそのまま数え上げられ、その合算が多かった方の意見が採用されます。また、最小投票数などもないため、投票率が低かろうと、より多く票を獲得した意見が採用されることになります。

離脱派が勝利した場合はどうなる?

 離脱派が勝利して英国がEU離脱手続に着手したからといってすぐにEUを離脱できるわけではありません。これまでEU諸国からイギリスに入国していた人や、イギリスに進出していた企業の保護のため、2年間は経過措置がとられます。経過措置中の2年間は現状通りですが、その後EU法等の適用を受けなくなります。

残留派が勝利した場合はどうなる?

 残留派が勝利した場合は、EUに残留し続けます。再度の国民投票が行われるかについて、キャメロン首相は、"If we vote to stay, we stay and that’s it."(国民が残留に投票するのであれば、イギリスは残留する。それだけだ)と発言しており、再度の国民投票を否定しています。しかし、イギリス独立党党首のNigel Farage(ナイジェル・ファラージ)は、「52%対48%などの僅差で残留派が勝利した場合には、再度の国民投票を行う決意がある。もし国民の3分の2以上が残留に賛成ならば、再度の国民投票は諦める」と述べています。

私見

 私自身の考えとしては、残留派が勝つと考えています。また、残留派が勝ったほうが好ましいと考えています。イギリスが戦うべきはEUではなくアメリカや中国であり、それらの大国に対抗するためにはEUとしての結束が不可欠だからです。かつて日本が鎖国により世界から取り残されたように、イギリスのEU離脱は世界におけるイギリスの力を弱体化させることになるでしょう。

 結果についても判明し次第お伝えしたいと思います。

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(情報ソース)

The UK's EU referendum: All you need to know - BBC News

Brexit Referendum Timeline: When Will Districts Report Results?

When will we know the result of the Brexit vote? - MarketWatch