3年でエリート公務員辞めた結果…

月間30万PV以上!元国家公務員(総合職・旧1種)による備忘録。通称「さんエリ」

ゆう活2016開始に向けて初年度(2015年)に実際にゆう活を実施した結果と感想を本音で記す

ACOUSTIC HOLIDAYS -Relax Afternoon Selection- (夕方のサンセットを見ながら聴きたい、洋楽ヒットのハッピー・アコースティックアレンジ集)

2016年7月1日から「ゆう活」が開始

 今年もついに「ゆう活」の季節がやってきましたね。

 「ゆう活」とは、勤務時間を1時間〜2時間前にずらすことで、夕方の時間を有効に活用しようというものです。欧米諸国におけるサマータイムと似たようなものであり、いわゆる期間限定の「フレックスタイム」です。2015年から政府が積極的にその実施を呼びかけ、2015年7月〜8月にかけて全省庁で制度が導入されました。

 実際の運用としては、期間中毎日勤務時間を早めるのではなく、「ゆう活」希望日として本人が指定した日の勤務時間をずらすという形で行われました。そうしないと、国会対応や地方自治体への対応などに支障が生じてしまいますからね。初年度ということもあり、制度を普及させるために各省庁においてノルマが定められ、最低でも1週間に1回は「ゆう活」をするように促されました。

 私自身も、7月・8月の2ヶ月(約9週間)の間に10日ほど「ゆう活」を実施しましたよ。

 当時の私は、この「ゆう活」というネーミングを考えた人は天才だなと思ってました。実質的には、朝早くから仕事をし始めることになるので、「ゆう活」の制度はいわゆる「朝活」に近いものがあるのですが、「朝活」と聞くと、朝の辛い時間に大変な思いをしなければいけなそうで、辛そうですよね。でも、「ゆう活」と呼称して「夕方の時間を有効に使えるよ!」とアピールすることで、「楽しそう!!」という印象を持たせるわけです。この目線の逸らし方は秀逸でしたね。私だけでなく、同じ職場の職員もこの言葉の響きに浮き足立っていたと思います。

 で、ですよ。実際の問題は、本当に夕方に楽しい活動をするような「ゆう活」ができたのかってことですよね。

 結論から言うと、

真の意味で「ゆう活」を実施できましたよ!
ただし1日だけ。

です。

 2015年7月1日、高市総務大臣が直接、館内放送で「ワークライフバランス推進強化月間(7月・8月)」を宣言し、「ゆう活」と「テレワーク(自宅で職場同様の仕事をすること)」の実施を呼びかけました。普段、大臣が館内放送で呼びかけるなんてことは一切ないので、かなりの力を入れていたことがわかります。

 ゆう活初日ということで早速、私はその日に「ゆう活」を実施しました! 通常の勤務時間は、午前9時〜午後6時15分でしたが、その日は2時間勤務時間を早めて、午前7時〜午後4時15分としました。初日だったので、職場の周りの方々もすんなり受け入れてくださって、時間通りに退庁し、たまたま地方からきていた友人と銀座で落ち合うことができました。「ゆう活」って素晴らしいなぁ! なんて思ってました。その日だけは。

 1週目はとりあえずその日だけで、周りの社員とローテーションで「ゆう活」を実施するために他の日は通常の勤務時間でした。問題は2週目以降です。

 上で、通常の勤務時間は「午前9時〜午後6時15分」と書きましたが、これはあくまでも「通常」の勤務時間です。今となっては世間に知れ渡っていることかもしれませんが、中央省庁は激務です。当然のように残業時間が200時間とか行くけど、その半分も残業代出ないみたいな。

 「ゆう活」を実施する日だけ業務量が勤務時間に合わせて適正化されるみたいな、そんな都合のいいことがあるはずありません。「ゆう活」実施日であっても構わず、勤務時間を超えて仕事をしなければ処理しきれないほど大量の業務が日々生じているわけです。

 「ゆう活」実施前の私は毎日「午前9時〜翌日午前2時」まで働いていました。

 それが、「ゆう活」の結果どうなったかというと、

「午前7時〜午後12時」

となりました。

 わ〜い、その日のうちに帰れるようになったね!!♫

 なんて、そうやって自分を言い聞かせながら働いてました。

 家から職場までは1時間弱かかるため、午前7時に職場に着くために、毎朝5時に起きて準備をし、6時頃に家を出ていました。

 夜中の1時に家に帰るのに、朝5時に起きなければいけないわけです。

 ショートスリーパーを気取っていた私としてもこれは辛かったですね。

 もちろん、午前9時〜翌日午前2時まで働いていた場合でも午前3時〜午前7時までの睡眠となるので、睡眠時間自体は変わっていないんですが、同じ睡眠時間であっても朝5時に起きるのと朝7時に起きるのとどちらが辛いかっていうと、前者ですよね。

 しかも、前述のように、毎日勤務時間をずらしているわけではなくて、週に1回とか2回とかのペースで「ゆう活」を実施していましたから、毎日の生活のペースが狂って狂って仕方ありませんでした。すんごく辛かった。

 じゃあ毎日やればいいじゃん、って思うかもしれませんが、そうはいかないわけですよ。いつ国会議員からのレク要求があるかわからないし、いつ災害が起こるかもわからない。職場を空っぽにするわけにはいかないのです。

 挙げ句の果てには、国会議員から「「ゆう活」も結構だが、国会運営には支障をきたさないように」なんて発言が出たりした始末(確か議院運営委員会での発言だったかと)。

 というわけで、昨年の「ワークライフバランス推進強化月間(7月・8月)」は、もともと崩れていたワークライフバランスが直らなかった上、生活のリズムまで崩壊した、非常に辛い期間でした。

 でも、別に「ゆう活」の取り組みをやめてほしいというわけではないんですよ。去年は初年度でしたし、その運用の方法に失敗した例が出てくるのは仕方ありません。普段から暇な地方支分部局(財務局とか地方整備局とか地方農政局とか)では定義通りの有意義な「ゆう活」ができたはずだからです。

 2015年度のようなやり方では、中央省庁で何度やっても失敗するでしょう。中央省庁で「ゆう活」を円滑に遂行するためには、ローテーションで勤務時間をずらすのではなく、2ヶ月間なら2ヶ月間、その間は毎日全職員の勤務時間をずらすということをしなければいけないと思います。それは霞が関界隈だけでなく、永田町や全国の自治体においてもです。当該期間中、午後5時過ぎに国会議員からレク要求があった場合に責められるのは「ゆう活」で全職員が退庁している霞が関ではなく、レク要求するのが遅い議員の方が悪いのだと、そういう雰囲気を醸成していかなければならないのです。

 もちろん、そのような運用をしたところで、業務量が減るわけではなく、残業がなくなるわけではありません。しかし、残業続きの毎日でもたまには早めに(午後9時くらいに)帰れる日があります。それが「ゆう活」期間中であれば午後7時くらいに帰ることができるようになるわけですから、それは「ゆう活」とまでは言わないまでも、有意義な「よる活」につながるでしょう。

 数年間政府で試行錯誤し、いずれ「ゆう活」が民間においても広く浸透するといいですね。

 ゆう活初日の2015年7月1日の午後4時頃、太陽が高いうちに業務から解き放たれた開放感は、今でも忘れられませんから!