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3年でエリート公務員辞めた結果…

月間30万PV以上!元国家公務員(総合職・旧1種)による備忘録。通称「さんエリ」

著作権及び転載不可の明示をしていない限り丸ごと無断転載可能とかいう俺様ルールへの対策

Q&A 引用・転載の実務と著作権法

※本記事は、モノシリンさんによる記事内容訂正(2016年9月29日)の前に書いたものですので御了承ください。

著作権及び転載不可の明示をしていない限り丸ごと無断転載可能???

 今朝、次のような記事を読んだ。

 この記事は、正直、驚愕した。驚いて震えた。心から怖いと思った。

 ブリーフ裁判官こと岡口基一がいまだにブリーフ一丁の写真をツイッターのバナーにしていることについてではない。

 驚愕したのは、当該ブログがパクリサイトから引用していた、次の部分。

 シャンティ・フーラの時事ブログは、大手メディアにはない独自の視点から世界の現状を洞察するために、ブログ上の重要な記事を編集・紹介して、皆さまに提供することを目的としています。インターネットの目的は、基本的に情報の共有であると認識しています。したがって著作者が著作権及び転載不可の明示をしていない限り、記事は基本的に共有、拡散を期待しているものと考えています。本来、転載元を明記して転載記事の全文を表示するのが作法だと考えられますが、多くの場合、長文の記事の全文を読む時間が取れる人はそれほど多くないと思われるため、読者の便利を図って記事を適切に編集・要約しています。さらに時間のない方のために記事の中の重要部分を赤字にし、赤字部分だけを読むことで要点が掴めるように工夫しています。記事に興味を持ち、全文を読む場合はリンク先の元記事に辿れるようにしてあります。

 これは、どうやら次のページからの引用らしい(赤字はモノシリンさんによるもの。下のリンクにはnofollowを入れてあります)。

シャンティ・フーラの時事ブログについて(目的と編集方針) - シャンティ・フーラの時事ブログ

 そもそもこの文章自体、ロジックがしっかりしていない(※)のだが、そんなことはどうでもいい。 

※「著作権及び転載不可の明示をしていない限り」ということは著作権表示をした上で「転載不可」の表示もしなければいけないのかよとか、「『共有、拡散を期待しているものと考えて』いる」→「転載していい」という後半部分のロジックがかかれていないとか。前者にピンとこない場合は「条文の読み方」という本が読みやすくておすすめです。 

 私が憤ったのは、自分勝手な俺様ルールを押し通し、他人の著作物を勝手に自分のものであるかのように丸ごと無断で転載するような運営者の態度である。

 前にこちらの記事で書いたBLOGOSのように、転載元から許可をとっているなら問題はない。

 しかし、モノシリンさんが書いているように、今回のような丸ごと全文転載は、明らかな著作権法違反である。

著作権法
第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

 そもそも、日本はベルヌ条約に加盟しており、著作権法自体も無方式主義が採られているから、著作権発生のために著作権表示をする必要はない

 そのあたりは、寝ログさんの記事(http://nelog.jp/copyrights)が詳しいが、一応関連法令を引用しておくと次のとおりである。

著作権法

(著作者の権利)
第十七条  著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2  著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。 

ベルヌ条約 

第5条

(1)著作権者は、この条約によって保護される著作物に関し、その著作物の本国以外の同盟国において、その国の法令が自国民に現在与えており又は将来与えることがある権利及びこの条約が特に与える権利を享有する。

(2)(1)の権利の享有及び行使には、著作物の本国における保護の存在にかかわらない。したがって、保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約の規定によるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。

(ベルヌ条約は、外務省のサイト(外務省: 条約データ検索)より。)

 法律でこのように定められている以上、シャンティ・フーラの管理人が俺様ルールで人様の記事を丸ごと無断転載することは許されない。

 だから、今回のような騒動を受けて、ブログのフッターに著作権表示を追加したりする必要は全くない

 もし何か対策をしたいのであれば、予め、無断転載をした場合の損害賠償額を合理的な範囲内で明示しておくのはいいかもしれないが。

 今回、モノシリンさんはことを荒立てたくないようなので詳しくは書かないが、万が一同様の被害にあったとき、とるべき手段としては、①Googleに通報、②管理人に削除要請→応じなければサーバー管理会社に削除要請、③内容証明郵便や支払督促といった簡易な手段による不法行為に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求(その際Web魚拓などで証拠を保全)といった手段を取ることが考えられる。

 著作権の侵害行為は、ブログなどをやっているとついついやってしまいがちで自分も気をつけなければならないのだが、ここまで露骨な場合は見逃せない。著作権者本人が同意するのであれば問題ない(万が一その同意が事後的であったとしても)が、そうでなければ厳正に対処すべきではないだろうか。