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3年でエリート公務員辞めた結果…

月間30万PV以上!元国家公務員(総合職・旧1種)による備忘録。通称「さんエリ」

レギュラー0本になっても社会保障インフラに頼れない長谷川豊の憂鬱

はじめての社会保障 -- 福祉を学ぶ人へ 第13版 (有斐閣アルマ)

長谷川豊さんは、自身が困窮したらどうするのだろう 

 あまりこういう話題を取り上げたくないのですが、少し思うところがあったので書かせていただきます。

 某記事で炎上した元アナウンサーの長谷川豊さん。ついにMXの番組からも降板して、レギュラー番組がなくなってしまったようです。

 ここで気になるのが、奥さんと子供3人いらっしゃる、長谷川豊さんの御家族のこと。

 レギュラー降板で収入が減り、長谷川豊さんが困窮するのは自業自得だとしても、この御家族のことは心配です。

 世間で大きな社会的非難を受けている人を父親に持つ子供は、今、きちんと学校に行けているのでしょうか。いじめられたりしていないでしょうか。自分は悪くないのに、完全なとばっちりを受けるのは、とても可愛そうではないかと思います。

 

 さて、私は、修正前の長谷川豊さんの記事をきちんと全文読みました。確かに「死ね」という強いワードにばかり着目してしまいそうになりますが、要するに、自業自得で苦境に陥った人間を、他人の金で助けるなということでしょう。

 長谷川豊さんの記事をよく読んで、その意見に一部理解も示されていたブラックマヨネーズの吉田さんも次のようなツイートをされています。

 確かに、現在の苦しい国家財政の現状及びそれに伴う国民の負担増を見ると、「わざわざ金のかかるようなことをしないでくれ」と言いたくなるのも分かります。

 ただ、「自業自得で苦境に陥った人間を、他人の金で助けるな」という意見が正しいかというと、必ずしもそうではありません。

 その理由は「意図せずに、『自業自得』と呼ばれる環境に陥ってしまうこともある」ということです。

 

 長谷川豊さんは、医学の専門家である医者の意見をもとに、「自業自得」の患者について述べています。

 医者の言う「自業自得」は、一般人にとって「自業自得」なのでしょうか

 まあ、本当に自業自得の方もそりゃあいらっしゃるでしょうね。一般人でも分かるような明らかな肥満だったりとか、食生活が極度に偏っているとか、周りが注意できるレベルなのに、それでもその不健康な生活をやめなかった場合とか。

 ただ、その一方で、一般人の感覚では「当たり前」の生活をしているのに、それが医者から見たら「不健康な生活」で「病気になるのも自業自得」の状態になってしまっている方もいるのではないかと思います。

 よくテレビでも「医学の新常識」とか銘打って、芸能人が大げさに驚いている番組があるじゃないですか。あれと同じで、一般人と医者の理解には、大幅な乖離がある場合があると思います。

 

 一方で、長谷川豊さんは、「自業自得」の状態に陥らないための方策のひとつとして「ランニング」をあげています。

 「ランニング」は、同氏の言が正しいとすれば、「HbA1C」を減らすのに最適な方法かもしれません。

 しかし、ランニングは必ずしもいいことばかりではありません。

 地面に足を叩きつけながら行うランニングは、脚部を消費します。特に、ランニングで膝を痛めてしまう事例は多く、場合によっては歩行困難になってしまうことだってあるでしょう。はたまた、走っている最中に心停止に至る事例も過去多く発生しています。

 ランニングが、膝や心臓に負担がかかる行為だということは、長距離走を経験した人間なら身をもって知っていることですよね。

 長谷川豊さんは、「ランナーは、膝や心臓に負担がかかることを認識してランニングをしたのだから、自業自得で、走っている最中に何が起ころうが、国から医療費を補助すべきではない」とでも言うのでしょうか。

 

 さて、ここで、長谷川豊さんの現在の状況について考えてみましょう。

 長谷川豊さんが、レギュラー番組をすべて降板させられ、将来的な収入を失ったのは、自業自得でしょうか

 現状、世間の多くは、「自業自得である」と言うでしょう。

 一方で、長谷川豊さん自身は、今回の騒動を、ネット住民による陰湿な嫌がらせによるものととらえているフシがあり、「自業自得ではない」と言うように思います。

 私自身も、ネット住民のはしくれなので、このことについて公正なジャッジはできません。

 ただ、私が申し上げたいのは、「自業自得」かどうかなんて、一義的な答えが答えが出るものではないということです。

 

 長谷川豊さんが、現在どれほどの貯蓄があり、どれほどの暮らしをされているのか分からないので、今後の彼とその家族の生活がどうなるのかは分かりません。

 ただ、万が一、生活保護等の社会保障制度に頼らなければ生きていけなくなった場合、世間から「自業自得」と言われる理由で苦境に陥った彼はどうするのでしょうか

 御存知の通り、社会保障制度も国民の税金で賄われています。

 世間からは、「自業自得で困窮に陥った長谷川豊に税金を流すな! 無理だと泣くならそのまま〇〇!」と言われるかもしれません。

 自ら有言実行して、社会保障インフラに頼らずに生きていくのでしょうか。

 

 長谷川豊さんは、税金を納める健常者を「アリ」に、自業自得で病気になった透析患者を「キリギリス」に、例えていました。

 中には、生来のキリギリスもいるでしょう。

 しかし、世の中には、自ら意図したわけではないのに、「アリ」から「キリギリス」に転落してしまう人もいます

 エリザベス救貧法から始まる社会福祉制度は、「国民の誰と誰が入れ替わっても困難がないようにする」という思想で作られています。

 制度を悪用するキリギリスは、可能な限り排除する必要があるとは思いますが、正当にその制度を利用している人まで貶めるのは間違っていると思います

 今回、「自業自得」で苦境に陥ることを身をもって体験した長谷川豊さんには、もう一度、何が悪かったのか、信頼回復してやりなおすためには何ができるかを考え直していただきたいと思います。

 

P.S.

 個人主義を原則として作られている現代日本社会において、今回の件で責任を負うのは、長谷川豊さんひとりで十分です。

 もし今後、彼の家族が助けを求めるのなら、暖かく手を差し伸べるのが、あるべき姿でしょう。

 まかり間違っても、「家族も同罪だ」といった、古くて過激な思想には走られないようにお願いします。