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3年でエリート公務員辞めた結果…

月間30万PV以上!元国家公務員(総合職・旧1種)による備忘録。通称「さんエリ」

佐賀新聞の記者がテキトーすぎる!

政治・国会・行政

週刊東洋経済 2016年10/29号 [雑誌]( ふたつの仕事でキャリアを磨け 副業のススメ)

公務員の副業に関して調べていたら…

 公務員の副業に関する記事を書こうと情報収集していたところで、次のような記事を見つけました。

賃貸収入7000万円の消防士、兼業で懲戒|佐賀新聞LiVE

 佐賀新聞(佐賀県の日刊地方新聞)による2016年1月20日のWEB記事です。

 承認を受けずに賃貸収入が7,000万円を超えていた消防士が処分されたという記事なのですが、気になるのが次の部分

 公務員の兼業は原則禁じられているが、人事院規則では、年額5百万円以上の賃料収入がある場合、上司の承認を得れば認められるケースもある。しかし、副士長は、この基準を大幅に上回っており、上司の承認を受けず繰り返し収入を得ていたため、兼業に当たると判断された。

 なぜ、地方公務員である消防職員の話なのに、国家公務員に関して定めた人事院規則の話が出てくるのでしょうか…

 参考までに、人事院規則で副業の許可を得ることを定めるべき旨は、国家公務員法に定められています。

国家公務員法 第103条
 第1項 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
 第2項 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。 
(後略)

 一方で、地方公務員の副業規制に関して定めているのは、地方公務員法です。

地方公務員法 第38条
 第1項 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
 第2項 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

 地方公務員法からの委任を受けて、各地方公共団体が定める人事委員会規則で定めることもできますが、佐賀広域消防局はそもそも人事委員会を置いていないようなので、人事委員会規則自体が存在していないものと考えられます。

 つまり、本件消防職員の処分の根拠は、地方公務員法のみに求めるべきなのです。

 それなのに、人事院規則の基準を上回っていたとか書いてしまう佐賀新聞…。

 いくら地方紙とはいえ、記事内容の根幹である処分の根拠については記者がきちんと確認すべきですし、記者が間違っていたとしてもチェックの過程でこんな初歩的な間違いを見落とすのはお粗末すぎます…。

 これくらいの根拠確認、個人が書いてるブログでさえきちんとやるというのに…。

 百歩譲って、同消防局に個別の副業許可基準がなかったために、国家公務員の基準(人事院規則)を参考にしたと推測することもできますが、万が一そうだとしても、それならばそのようにはっきりと書くべきで、誤解を招くような書き方をすべきではありません。記事の中ではどう見ても、人事院規則に消防士が反しているようにしか読めませんから。

 同社のHPによれば、佐賀新聞は、佐賀県内世帯の2軒に1軒で購読されている有力紙です。

 他人の名誉に関わる記事内容であるからこそ、誤りのない正確な報道をしてもらいたいものです。