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【NHK受信料】PC・スマホ所持世帯からの徴収についてフェイクニュースに騙されそうになった

NHK WORLD TV

きちんと1次ソースに当たりましょう

 久しぶりにインターネットの闇に出会いました。

 内容はこれ。

【悲報】NHKが「問答無用で全PC・スマホ所持世帯から受信料徴収」する方針を決定 - エキサイトニュース(1/2)

【悲報】NHKが「問答無用で全PC・スマホ所持世帯から受信料徴収」する方針を決定 | BUZZAP!(バザップ!)

 この記事を読むと、次のようにもっともらしいことが書いてあります。

・既にテレビの受信料契約を結んでいる世帯に対しては追加負担を求めませんが、契約を結んでいない世帯に対しては受信料を徴収すべきだと提言しました。

・これはつまり、インターネットに接続可能なPCやスマホ、タブレットなどの端末を保有している世帯は問答無用で受信料を徴収するということ。

・現在ネットではAmazon Prime Video、Netflix、Hulu、dTVなど、動画配信サービスが数多く存在しています。これらはいずれも視聴者が選択して対価を払って閲覧する有料サービスとなっており、端末を持っているからといって自動的に金銭を徴収されることはありません。

・テレビはNHKを見ないと主張する人も受信料を払う必要がありますが、PCもスマホもタブレットも動画の視聴のみを目的とする端末ではなく、これらを保持しているからといって強制的に受信料を徴収されるのは筋が通りません

 そこで、「おい、NHKふざけんな!」と思ってひとまず下のようなNHKを攻撃する記事を書いてみました。

※以下、ボツにした下書き

タイトル:【NHK受信料】テレビもPCもスマホもない生活を国民に強制するな

PC・スマホ所持世帯から受信料徴収って…

 NHKの有識者委員会が、2017年7月25日、2019年からのインターネット上での同時配信に際し、PCやスマホ等を所持する世帯からも受信料を徴収すべき旨の最終答申を発表しました。

 これはあくまでも有識者委員会ですので、ただちに実行に移される訳ではありません。

 しかし、公的機関はおおよそ、次のようなステップを踏むのが慣例です。

 ①審議会・有識者委員会等の答申
→②公的機関が答申に基づいて施策を実行 

 後から「きちんと検討したのか」と言われた時に反論できるために、それなりの権威を装った審議会・有識者委員会などで事前検討した上で、それに基づいて具体的な実行に移すというわけですね。

 実際には審議会や有識者委員会を構成した公的機関の意向に沿って答申等が出されるにも関わらず…。

 したがって、有識者委員会でこのような答申が出るということは、事実上の決定と同じです。

絶対に許すな

 今回の最終答申で出された、PC・スマホ等所持世帯からの受信料徴収については、絶対に許してはなりません。

 そもそもテレビ設置世帯における受信契約義務も、NHKという会社との契約を強制的に結ばされるということは、私的自治の原則(契約自由の原則)から重大な問題があります(もっとも、このことについては裁判例(東京高判平成22年6月29日等)は認容していますが…)。

 テレビ設置世帯については本記事のメインテーマではないので、ひとまず、テレビは地上波放送等を見ることを目的としている機器ですし、多チャンネル化が進んでいるといってもNHKのチャンネルが占める割合も多いので、仕方ないということにしましょう。テレビであれば、たまたま民法で面白い番組をやっていないとき、NHKにチャンネルを回して見ることもあるからです。

 一方で、今回新たに徴収の対象としようとしているPCやスマホは、NHK放送を見ることを目的とする機器ではありません。

 確かに、インターネット上での番組同時配信が実現すれば、PCやスマホでその放送を見ることもできるでしょう。

 しかし、PCやスマホを持っているからといって必ずしもNHKの同時配信を見ると確実に言うことはできません。

 PCやスマホを持っていることが、NHK放送の視聴と直結しないにも関わらず、受信料支払い義務を負わせるのは横暴ではないでしょうか。

 今の時代、テレビは持たずにPC・スマホだけで情報収集をしながら毎日を送っている方も多いと思います。テレビを見ずとも、PCやスマホだけで必要な情報を収集することができるからです。

 PC・スマホを持っているだけで受信料が強制的に徴収されるということは、つまり、情報収集手段のない生活を国民に強いるのと同じです。タバコをやめさせたいがためにたばこ税を上げるのと同じ力が、PCやスマホに対しても向けられることになるのです。

 このような悪策は絶対に許してはなりません!

※ボツ案はここまで

 で、問題はこの後ですよ。

 記事を書く前に、1次情報である、NHKの有識者委員会の答申を見なければなと思ってチェックしようと思ったのですが、最初に見たBUZZAPの記事には「NHKの有識者委員会」の正式名称が一切書いてありません。また、答申へのリンク等も貼られていません。

 そこで、色々と探ってみたところ、ありました。これですね。

NHK受信料制度等検討委員会 諮問第1号「常時同時配信における負担のあり方」答申

 この中に、7月25日に出された答申のPDFが掲載されていますが、読んでみると確かにPC・スマホ所持者からの受信料徴収について掲載されています。

 しかし、その中には次のような記載があります。

 受信料型の場合の費用負担者としては、PCやスマートフォン、タブレット等はさまざまな用途を持つ汎用端末であることを考慮すると、PC等のインターネット接続端末を所持・設置したうえで、常時同時配信を利用するために何らかのアクションもしくは手続きをとり視聴可能な環境を作った者を費用負担者とすることが適当である

 つまり、PC・スマホを所持することによって直ちに受信料を支払わなければいけないわけではなく、NHKのインターネット上での番組同時配信を視聴する手続等をとった者に限って、受信料徴収の対象とすることを考えているのです。

 最初に引用した元記事の内容と全然違うのが、お分かり頂けるでしょうか。

 つまり、元記事は1次ソースに当たらず、断片的に聞いた情報だけに基づいて妄想を書き下したことによって、虚偽の情報を社会に撒き散らすことになったのです。

 エキサイトニュースも、こんなフェイクニュースを転載するなよと。

おわりに

 別に私は、NHKの味方をしたくて、本記事を書いた訳ではありません。

 むしろ、今のような強制契約の仕組みをとっているNHKは大っ嫌いです。

 実際に今、家にテレビを置かず、受信料を支払っていませんし…。

 

 しかし、一般論として、相手を批判するには、相手の主張をきちんと理解した上で、それに対して適切な反論をする必要があります。相手の主張を理解せずに、イメージや妄想だけで攻撃すると、国会のどっかの野党のように、的外れな攻撃しかできなくなります。

 テレビ局や新聞の報道が偏向的であることが取り沙汰される今日この頃ですが、インターネット上の情報についても、以前から注意喚起されているとおり、情報リテラシーを持って慎重に接することが重要です。