飛行機が厚い雲を抜けると、眼下に美しい街並みが広がった。石造りの家が精緻に並び立つヨーロッパ特有の風景は、温かく、どこか懐かしい。
ドイツに来るのは、これで8度目。仕事で来るのは5度目となる。
腕のいい機長による柔らかな着地とともに、天井のスピーカーから、柔らかな旋律が機内に流れる。G線上のアリア。かつて大バッハを生んだこの国に訪れる者への、歓迎の挨拶なのかもしれない。
この曲を聞くたび、私は思い出さずにはいられない。
かつて、私を暗い穴の底から引き上げ、世界を切り拓いてくれた彼女を。
ただただ魅せられ、焦がれ、恋とも呼べない初恋をした彼女を。
もうどこにもいない、彼女のことを。
はじめに
いきなりですが、少し小説の連載をしてみようかと思います。
もっとも、小説の体を取りますが、一番の目的は、これまで予備試験の勉強の中で蓄積してきた知識をセーブすることです。
自分の中に積み上げた知識を、科目横断的に再構成することで、後から読み直して必要な事項をすぐに思い出せるような小説を書いてみようかなと。
したがって、完全に自分向けに書く小説なので、伝わりにくい部分も出てくるかもしれませんが、興味のある方はお付き合い頂ければ幸いです。
注意事項
既存の法学ガールシリーズとは異なり、あくまでも勉強中の大学院生が自分の理解のために書いているものですので、誤解・誤謬が含まれる場合がございます。
その点御容赦の上、懐疑的にお読みくださいますようお願いいたします。
参考:法学ガールシリーズ
偉大な先生方が作られた、法学ガールシリーズ。
司法試験の問題をテーマに、弁護士有資格者が書かれているので、タイトルのポップな響きとは対象に、大変勉強になります。
法律各科目の試験問題に対して、どのような思考をたどればいいのか、深いところまで掘り進めて解説されているので、初心者〜上級者まで、オススメです。