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司法試験予備試験口述試験過去問の分析(刑事編)

口述試験対策をしなければ 

 ロースクールの定期試験も終わったので、10月末に行われる口述試験に向けた対策をしなければなりません(論文試験の結果が出るのが10月12日なので、そもそも受けられるのかどうかすら分かりませんが)。

 ただ実際、口述試験の対策って、何をしていいのか分からないんですよね。何が過去に問われたのかもわからないし…。

 唯一の手がかりになるのが、これです。

司法試験予備試験法律実務基礎科目ハンドブック〈2〉刑事実務基礎

司法試験予備試験法律実務基礎科目ハンドブック〈2〉刑事実務基礎

  • 作者: 新庄健二
  • 出版社/メーカー: 辰已法律研究所
  • 発売日: 2016/03/01
 

 辰巳が出している、予備試験論文式試験の刑事実務科目向けのテキストなのですが、この本の巻末には、平成23年から平成27年までの口述試験の再現が掲載されているのです。

 そこで、ひとまずここでどのようなことが問われているのかのポイントをまとめるところから始めようかなと思います。

口述試験過去問の分析(刑事編)

実体法

Q. 火災保険金をだまし取る目的で自分の家に放火した場合の罪
A. 家族などがいる場合には、現住建造物放火罪(刑法108条)。いない場合には、他人物非現住建造物放火罪(115条、109条1項)

Q. 事後強盗罪の構成要件
A. ①強盗が、②窃盗の機会に、③(i)取返しを防ぐ目的,(ii)逮捕を免れる目的,(iii)罪責隠滅の目的で、④犯行を抑圧するに足りる暴行・脅迫を加えること

Q. キャッシュカードを盗んだ後、キャッシュカードの暗証番号を聞き出すため、犯行を抑圧するに足りる暴行を加え、暗証番号を聞き出した場合
A. 2項強盗罪。ATMから預貯金の払戻を受ける地位を、財産上の不法の利益として得ているため

Q. 承継的共同正犯

Q. 不作為犯の成立要件

Q. 過失運転致傷と殺人未遂の実行行為をしたが、死の結果との因果関係が不明確な場合の処理

Q. 「トイレに行ってくる」といって代金の支払を免れた場合の2項詐欺罪の成否

Q. 代金の追及を、反抗を抑圧するに足りる暴行によって免れた場合の罪責
A. 2項強盗罪(236条2項)

Q. 強盗致傷罪の条文
A. 240条

手続法

Q. 勾留について不服がある場合に考えられる不服申立ての手段は?
A. 準抗告(勾留理由開示請求、勾留取消請求、勾留の執行停止の申立ては不服申立てではない)

Q. 上記のうちどれが最適か
A. 準抗告

Q. 裁判所が接見禁止決定をしたところ、弁護士が連絡を取る必要が生じた場合、どうすべきか
A. 接見を行う(弁護士は接見禁止にも関わらず接見できる)。

Q. 弁護士による接見の条文は?
A. 39条1項

Q. 接見禁止決定がされている際、母親が被疑者と連絡を取りたいといっている場合の手段は?
A. 裁判所の接見禁止決定に対する準抗告、接見禁止決定の一部解除申立て

Q. 元消防士作成の火災原因報告書の証拠調べ請求に弁護人が不同意の場合、検察官の対応
A. 伝聞例外(321条4項)として証拠調べを請求する(3項は主体が捜査機関に限定されているため✕。作成主体が弁護士の場合には、1項3号)

Q. 321条4項の要件
A. 供述者が公判期日に証人として尋問を受けて、真正に作成されたものであること(作成名義の真正及び内容の真正について)を供述すること

Q. 火災原因報告書の証拠調べの方法
A. 朗読または要旨の告知。図や写真の展示(訴訟関係人に見せる)を行う

Q. 証拠調べに不服がある場合
A. 弁護人は異議申立て(309条1項、規則205条1項)をできる(法令違反がある場合のみ。相当でないことを理由とすることはできない)

Q. 公判前整理手続に火災原因報告書の要旨が提出された場合、本体を見たい弁護人の対応
A. 類型証拠の開示請求(316条の15第1項4号)又は主張関連証拠の開示請求(316条の20)をする

Q. 類型証拠の開示の要件
A. ①類型証拠に当たること、②特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められること、③開示の必要性と開示によって生じるおそれのある弊害を考慮して相当と認めるとき

Q. 類型証拠の開示請求と主張関連証拠の開示請求の優先順位
A. 類型証拠の開示請求(316条の20)

Q. 事後強盗を被疑事実とする捜索差押許可状で、覚醒剤を差し押さえることができるか
A. できない(被疑事実と物との関連性が認められないため)。立会人が所有者、所持者又は保管者である場合、立会人からの任意提出を受けて領置をすることはできる(221条)。また、遺留物ではないため、被疑者の物であっても、それを理由とする領置をすることはできない。

Q. 違法収集証拠として証拠能力が否定されるかを判断する基準
A. ①令状主義の精神を没却する重大な違法があり、②およそ証拠として許容することが将来の違法捜査抑止の見地から相当とは認められない場合

Q. 違法な覚醒剤差押え後の強制採尿令状による採尿に係る鑑定書の証拠能力
A. 差押手続と採尿手続が別であると考えれば、証拠能力が認められる余地あり

Q. 共犯者ABのうち、Aの弁護人である場合、Aが犯行を認め、Bが犯行を否認しているときに、Bの証言を証拠とするためにはどのような方法が考えられるか
A. ①被告人質問、②弁論を分離して証人尋問、③取調中の供述調書を請求し証拠調べを求める

Q. 共同被告人が、検察官面前調書と異なる供述をした場合
A. 321条1項2号書面として証拠調べ請求を行う(あくまでも共同被告人は他人であるため、322条ではない)

Q. 2号書面の要件
A. ①相反供述、②相対的特信状況

Q. 供述録取書一般に要求されるもの
A. 被告人の署名押印

Q. 相対的特信状況とは?
A. 尋問での供述よりも書面録取段階の供述のほうが信用性が高いこと。外部的状況から判断する(公判では、関係者がいるため真実を話さない圧力が存在しているとか、取調べは公判よりも前に行われることが多く、事件と時間的に近接していて記憶が鮮明だとか)

Q. 印鑑と預金通帳を預かり、預金を引き出す権限を与えられた者が、無断で預金を引き出し自己のものとしてしまった場合の罪責
A. 横領罪(法律上の占有も横領罪の占有と認められるため)

Q. 盗んだ印鑑と預金通帳を用いて、窓口で現金を引き出した場合の銀行に対する罪
A. 詐欺罪

Q. 誤振込の現金について、何も告げずに預金を引き出した場合の罪責
A. 1項詐欺罪(信義則上の告知義務を前提とした、不作為による欺罔。財産上の損害は、組戻の利益)

Q. 令状による捜索差押えを第三者が妨害した場合の対処
A. 「必要な処分(222条1項、111条)」として減黄回復措置ができる

Q. 被疑者の家宅内に鍵の掛かった第三者の金庫があった場合、捜索差押えができるか?
A. できない。第三者のプライバシーの利益が侵害されるため。被疑者自身の金庫であれば、「必要な処分」として鍵を開けることができる

Q. 被疑者の家宅の敷地内に被疑者の車があった場合、捜索差押えができるか?
A. 管理権が同一なのでできる。公道上にある場合は管理権が同一でないためできない

Q. 警察官による実況見分調書を証拠として提出したけれど、弁護人に不同意とされた場合の対応
A. 321条3項の伝聞例外とすべく、作成者である司法警察職員を証人尋問して、真正な作成を供述させる

Q. 前方不注視の過失について自動車運転過失致死罪の訴因で起訴したものの、不注視という事実が認められず、スピード違反の事実が認められた場合、訴因変更せずにスピード違反を過失として認定することができるか
A. できない。訴因変更は、①審判対象画定の見地と、②被告人の不意打ち防止の観点から考慮するが、不意打ちとなるため。

Q. 訴因変更後に、前方不注視かスピード違反かどちらかわからないが、どちらかの過失があると心証を得た場合の処理
A. 択一的認定については、罪刑法定主義と利益原則から問題になるが、利益原則から否定すべき

Q. 過失運転致死罪で起訴していたが、検察官が保護責任者遺棄致死罪で問うべきであったと思い直した場合の処理
A. 訴因変更を検討する。訴因変更の可否は、公訴事実の同一性から判断する。

Q. 準現行犯逮捕の要件
A. ①212条2項各号の要件を満たすこと、②罪を行い終わってから間がないこと

Q. 緊急逮捕の要件
A. ①死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪であること、②緊急性、③理由を被疑者に告げること、④直ちに逮捕状の請求をすること、⑤罪を犯したと疑うに足りる充分な理由があること、⑥逮捕の理由、⑦逮捕の必要

Q. 再逮捕は許されるか
A. 法が厳格な時間制限を定めた趣旨を没却するため、原則として許されない。しかし、199条3項、規則142条1項8号が再逮捕を予定しているため、再逮捕の必要性と被逮捕者の不利益を比較衡量して、再逮捕の必要性が上回る場合は再逮捕できる。

Q. 勾留から釈放されるための対応
A. 勾留の取消請求。勾留延長については、準抗告(429条1項2号)

Q. 公判前整理手続において、主張関連証拠として請求するために必要なこと
A. 開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項

Q. CD-Rを差し押さえる際、中身を確認する方法
A. 「必要な処分」として中身を確認する。または、111条の2による協力を求める

Q. 逮捕令状が発布されている状況で、令状を所持せずに逮捕することは?
A. 緊急執行

Q. 緊急執行の要件は?
A. ①急速を要すること、②令状が発付されていること、③嫌疑と令状の発付を被疑者に告げること、④できる限り速やかに逮捕状を呈示すること

Q. 被疑者を逮捕した後、最寄りの警察署に連行して、身体や衣服を捜索することが許されるか?
A. 逮捕に伴う捜索として許される。

法曹倫理

Q. 共犯者の弁護をしていたが、供述が別れた状態で、共同正犯として公訴提起された場合の弁護人の対応
A. 両方の弁護人を辞任するべき 

Q. 被疑者から「自分はやったが無罪にしてほしい」と言われた場合の対応
A. 受任を拒否すべき