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2017年法科大学院別司法試験合格率ランキング【ロースクールH29】

六法全書 平成29年版

司法試験の結果まとめ

 2017年9月12日、司法試験の結果が発表されました。

 昨今、相次ぐロースクールの閉鎖が騒がれているところなので、司法試験の合格率について、法科大学院別のデータを見ていきたいと思います。

 なお、以下のデータは、司法試験受験生を10名以上排出している法科大学院についてのみ見ています(そうしなければ、1名中1名合格により合格率100%の法科大学院とかが出てきて、データがぐちゃぐちゃになってしまうため)。

予備試験VS法科大学院 

 ロースクール別のデータを見る前にまず、法科大学院に通わなくても司法試験の受験資格を得ることのできる予備試験合格者と、法科大学院合格者との比較から。 

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 2017年における司法試験の受験者は全体で5,967名。そのうち最終合格者は1,543名でした。全体の合格率は、25.9%です。例年、6,000人程度受けてそのうち1500人が受かっているので、傾向は同じですね。

 もっとも、予備試験合格者についてみてみると、72.5%と比較的高い合格率の一方で、ロースクール卒業者については22.5%とかなり差が見られます。

 これだけ見ると、「予備試験合格者がすごく優秀で、ロースクール卒業者は微妙」みたいな感想を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、これは数字でそう見えてしまっているだけです。

 その理由は2つあります。

①予備試験は、合格者がかなり絞り込まれている

②法科大学院はピンからキリまである

 ①の理由については、まさに書いた通りです。司法試験が全体の受験者のうち25%が受かる試験なのに対し、予備試験は受験者のうちたったの4%しか受かることができない試験です。したがって、本当に優秀な人しか受からない試験となっているのです。実際に、今回の司法試験合格者に予備試験を受けさせてみれば、落ちる人が続出すると思います。問題自体は司法試験の方が難しいように思われますが、合格するためのボーダーがすごく高く設定されているからです。

 ②の理由については、後に示すデータをご覧頂ければと思いますが、たとえば、東京大学法科大学院に既習者として入学した学生については、78.6%の割合で司法試験に合格しています。つまり、そこだけ切り取れば、予備試験合格者よりも合格率が高いのです。他方で、ロースクールには、合格者を1人も出せず、0%の合格率となってしまっているような大学院も沢山あります。それらを全体でならすため、平均するとかなり低い合格率となってしまうのです。

全体のデータ

 それでは、平成29年度司法試験の結果について、卒業年度を問わず、また未修者既習者を問わない全体から見てみましょう。

 司法試験の受験資格は、法科大学院を卒業してから5年間なので、平成24年度卒から平成28年度卒の受験生がいますが、それら全体を見てみると、合格率が一番高いのは京都大学法科大学院の50.0%、次に一橋大学法科大学院の49.6%、3位が東京大学法科大学院の49.4%でした。

 京都大学がついに1位に躍り出たという感じですね。

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平成28年度卒(受験1回目)のデータ

 上のデータは、何回も司法試験を受験している方を含めてのデータでしたが、司法試験受験者が一番気になるのは、1回目の受験でどれくらい受かっているのかということでしょう。

 今回は平成29年度の司法試験なので、平成28年度卒業生が1回目の受験をしていることになります。

 ということで、平成28年度卒業生のデータがこちらです。

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 1位:京都大学法科大学院 65.6%
 2位:東京大学法科大学院 63.3%
 3位:一橋大学法科大学院 61.3%

 こちらでもやっぱり、京都大学が強いですね。

 債権法改正も京都大学の潮見先生主導でしたし、京都大学は最近勢いがあります。

既習者の合格率

 司法試験の合格率について検証される際、重要なデータが既習者と未修者の合格率です。

 既習者とは、法学部出身で、法科大学院2年次から入学した学生、
未修者とは、法学部以外の出身等で、法科大学院1年次から入学した学生のことですが、
未修者の合格率が高ければ、それは、法科大学院自体の教育能力が高いということになるからです。

 まずは、既習者についてのデータを見てみましょう。

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 1位:東京大学法科大学院 78.6%
 2位:京都大学法科大学院 71.2%
 3位:一橋大学法科大学院 70.0%

 このデータだけ見ると、東大ロースクールはすごい。予備試験合格者よりも高い合格率となっています。

未修者の合格率

 それでは、肝心の未修者です。

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 1位:京都大学法科大学院&一橋大学法科大学院 35.0%
 3位:慶応大学法科大学院 34.5%

 1位は、同率で京都大学と一橋大学でした。

 既習者の合格率が高いのと対照的に、未修者について東京大学はいまひとつ伸びなかったようです。

終わりに

 以上、法科大学院別に司法試験の合格率を見てきましたが、状況は例年と大きくは変わらないみたいです。合格率0%の法科大学院は、何に問題があるんでしょうね。教授陣なのか、それとも学生なのか(個人的には主要因は学生だと思いますが、負のシナジーが働いている可能性もありますね)。 

 このように、日本の法科大学院の全体像を見る上で、合格率をデータとして俯瞰するのは面白いですが、受験生としては実際のところ、ロースクールの合格率なんて、気にするものではありませんね。

 司法試験は、ロースクールの名前で受けるものではありません。結局は個人の戦いな訳です。特定の法科大学院の学生だから点数が優遇されるとか、そういうことは一切ないので、「自分はトップのロースクールにいるから大丈夫だ」と慢心すべきではありませんし、「自分がいるロースクールは合格率が低いから私も落ちるかも」と心配するのも間違いです。

 ロースクールはあくまでも学習環境のひとつにすぎません。日々机に向かって、司法試験に合格できるだけの力を個々人が養うのが大事です。