リカレント!

Life is either a daring adventure or nothing.

熊本県で戦うヒーロー達へ(黒木華の重版出来と伊坂幸太郎のあるキング)

 世間では、「重版出来」というドラマが流行っているらしい。「じゅうはんでき」ではなく、「じゅうはんしゅったい」と読む。

 怪我でオリンピックの夢を諦めることになった、女子柔道日本代表候補の主人公が、週刊誌の編集部果敢に奮闘する物語で、主演の黒木華さんの明るい演技の素晴らしさもあり、元気の出る前向きな作品になっている。
 タイトルの重版出来とは、初版と同じ版を使用・同じ判型・装丁にて刷りなおすこと。それは、読者に支持されて売れたいう証である。
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 その中で、体育会系らしく無責任に「頑張れ」を連発する主人公に、営業部で燻る若手社員が「俺、頑張れという言葉嫌いなんだよね」と語る場面がある。最終的にその若手社員も「頑張っ」て、担当の単行本を重版出来にし仕事のやり甲斐を見い出すが、このセリフを聞いたとき、とある一文を思い出した。
 

天才とかヒーローはいつだって、無責任な、がんばれ、って声に応えるんだ。

 
 伊坂幸太郎「あるキング」で、プロ野球選手である主人公に発せられる言葉である。
 
 今熊本では、地元の住民最優先で自らの身を顧みずに全力で働く市町村職員、熊本県庁の職員がいる。国の職員だって、人の命を繋げるために全身全霊を尽くしている。彼らはみんなヒーローだ。
 それだけじゃない。家族のために働くお父さんお母さん、全国から派遣された消防・警察・自衛隊、DMATや地元の医師、炊き出しをする企業、みんなヒーローだ。
 今、全国から多くの「頑張れ」の声が熊本に届いていると思うが、あえて私も「頑張れ」というメッセージを、熊本のヒーロー達に伝えたい。
 
 ただ、ワンピースの尾田栄一郎も応援メッセージの中で書いていたように、人間が気を張れる時間は限界がある。
 今は無責任な頑張れしか送ることはできないかもしれないが、現地のヒーロー達が、たまには気を抜いて一休みできるよう、ことが落ち着いたら、責任のある頑張れ、を送ることができるよう、心掛けたい。

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あるキング (徳間文庫)