最近、ニュース等で熊本へのふるさと納税について多く報じられています。
もちろん、熊本県の各自治体へのふるさと納税は素晴らしいことですが、本当に被災自治体のことを考える方は、【ふるさと納税を代行している自治体(例:福井県、茨城県境町等)経由でふるさと納税を行う】又は【ワンストップ特例制度の利用は控える】方がいいように思われます。その理由は最後に書きますが、多くの方が陥りがちな盲点だと思うので、ふるさと納税を考えている知り合いがいらしたら広めて頂ければ幸いです。
ふるさと納税とは
ご存知の方も多いと思いますが、ふるさと納税は、都道府県、市区町村への「寄附」の制度です。ふるさと納税として寄付した金額から自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税及び住民税から控除されます。
詳しくはこちら↓
サラリーマンなら確定申告不要!(ワンストップ特例制度)
ふるさと納税って面倒なのでは・・・
なんて思う方もいらっしゃるかと思います。
確かに、制度開始当初は、ふるさと納税制度の利用者が自ら確定申告を行う必要がありました。
しかし、その煩雑さを回避するため、2015年からワンストップ化(手続の省略)が行われました。それにより、サラリーマンの方なら原則として確定申告をせずともふるさと納税のメリットを享受できるようになったのです。
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|トピックス|制度改正について(2015年4月1日)
具体的な手続きは・・・
ふるさと納税の具体的な手続きについては、制度を所管している総務省のHPに詳しくあります。
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ
1 まず、上限額を知ろう
ふるさと納税で、全ての所得税・住民税が控除されるわけではありません。
その対象は、
- 年収500万円(独身) → 61,000円(目安)
- 年収800万円(夫婦+高校生の子供) → 110,000円(目安)
というように、年収や家族構成により変わってきます。
詳しくは、総務省のHPを見た上で、お住まいの市町村にお問い合わせください。
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
なお、公式HPから目安計算用のエクセルシートも配布されています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000254927.xlsx
2 実際に納税(寄付)しよう
上限額がわかったら、実際に納税(寄付)をしましょう。ワンストップ特例制度を使う場合には、その申請用紙を寄付対象の自治体に送る必要があるので御注意ください。
手続の方法については、自治体により異なります。
各自治体の用意した次のHP等を御確認ください。
(なお、現在、各自治体は応急対応で忙しいことが見込まれますので、直接の電話でのお問い合わせ等は控えた方がいいと思います。)
熊本県 ふるさと納税についてのお知らせ
熊本県熊本市 熊本市ふるさと応援寄附金のご案内
熊本県益城町 行政情報 ふるさと納税 / 益城町
熊本県南阿蘇村 ふるさと納税寄附「南阿蘇村ふるさと寄付金」のご案内 - 南阿蘇村ホームページ
熊本地震への義援金もふるさと納税の対象です
また、上記手続以外であっても、熊本地震への義援金として各自治体や日本赤十字社等に寄付したものがふるさと納税として扱われる場合があります。
この場合は原則としてワンストップ特例制度ではなく確定申告が必要になりますが、その際に確認書類として必要な「地方団体が発行する受領書」は、次のいずれかに代えることができるとのことです。
- 当該募金団体が交付する受領書(最終的に被災地方団体又は義援金配分委員会等に拠出されることが明示されているもの)
- 次の①及び②の書類等
① 振込依頼書の控又は郵便振替の半券(いずれも原本に限る。)
② ①に記載された口座が当該義援金等のための専用口座であることが確認できる書類(募金要綱の写し等)
(参考)「災害義援金等に係る「ふるさと納税」の取扱いについて(平成 28 年 4 月 20 日付け総税市第44号)」
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/file/20160420.pdf
直接熊本の自治体にふるさと納税する場合、ワンストップ特例制度の利用は控えるべき
冒頭にも書きましたが、今回の被災自治体の応援のためにふるさと納税をされる方は、利用者の手間を簡便化するワンストップ特例制度の利用を控えるべきです。
なぜならば、ワンストップ特例制度は、ふるさと納税を受けた自治体の職員にとって、莫大な手間になるからです。
どうしてワンストップ特例制度の利用によって、納税者(利用者)は確定申告をしなくていいのか。それは、本来納税者(利用者)がするべき事務を、各自治体の職員が肩代わりしているからです。
ふるさと納税を受けた自治体の職員は、そのふるさと納税をした納税者(利用者)が行った寄付の金額等を、その納税者(利用者)が住む自治体に通知しなければいけません。間違いがあってはいけませんし、その手間はかなりのものです。通常時であれば、他の自治体の住民から寄付を受けるのであるから、寄付を受ける自治体にそういった手間が生じるのも仕方ないと考えることができます。
しかし、ただでさえ対応すべき課題も多く、自治体職員も疲弊している非常時には、いかに被災自治体の負担を減らすかということを最優先で考えるべきでしょう。
特に、被災自治体の方のことを思ってふるさと納税をする方々は、「善意でやったことが実は被災者の負担になっていた」なんてことを決して望まないはずです。
こんな手段も
ふるさと納税のワンストップ特例制度による負担を知っている自治体は、熊本県の自治体のふるさと納税事務を代行する動きがあるようです。
福井県 熊本県へのふるさと納税受け付け 福井県が業務代行、被災地負担軽減 政治・行政 福井のニュース |福井新聞ONLINE:福井県の総合ニュースサイト
茨城県境町 ふるさと納税で熊本の自治体を支援 動き広がる | NHKニュース
このスキームならば、納税者(利用者)はワンストップ特例制度の恩恵を受けつつ、熊本県の自治体に負担をかけずにふるさと納税を行うことができます。この構造を考えた方は素晴らしいと心から思います。
まとめ
以上より、本当に熊本のことを思う人は、是非、次のことを心がけて、被災自治体にふるさと納税を行ってください。
- 福井県等の熊本の事務を代行している自治体経由で、熊本県の自治体に対してふるさと納税を行うと、熊本の自治体に負担をかけず、かつ、納税者側も手間にならない。
- 上に「災害義援金等に係る『ふるさと納税』の取扱いについて(平成 28 年 4 月 20 日付け総税市第44号)」とともに示した、義援金をふるさと納税の扱いにするというのも、被災自治体にとって最も手間にならない。しかし、確定申告が必要なため、1.に示した方法の方が納税者側の手間が少ない。
- 1.、2.の方法をとらず、熊本県の各自治体のHP等に示されたふるさと納税の方法に従う場合も、ワンストップ特例制度を使わず(ワンストップ特例制度関連の書類を送らず)、事後的に確定申告を行う。
- ワンストップ特例制度を利用しない場合は、自治体の職員に「これ添付漏れじゃ・・・」と思わせて手間を取らせるのを防ぐため、ワンストップ特例制度を利用しない旨を明示した紙(様式任意)をあわせて添付する。その際、手戻りのないよう、記載ミス等がないか、何回も確認した上でふるさと納税を行う。
- 現在災害対応中の自治体に対して、電話等でふるさと納税関連の問い合わせをしない。