リカレント!

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この主意書がひどい!(「このミステリーがすごい」風)

※本記事は、主意書制度の悪用について記載したものであり、民進党などを貶める意図は一切ありません。
 

 さて、「主意書」ってご存知ですか??

 恐らく国会に馴染みのある人しか知らないと思います。
 主意書とは、国会法第74条の規定に基づき、国会議員が内閣に対し質問する際の文書のことです。
 要するに、国会議員から省庁に来る質問のうち、最も形式張ったものです。
 これが来ると、関係省庁から情報収集し、回答案文を作成し、関係省庁に確認を取り、内閣法制局のチェックを受ける、ということを2,3日でやらなければならず、深夜2時や3時までの作業となることもあります。
 質問の中には、きちんとしたものからそうでないものもあります。
 でも、省庁の側に拒否権はありません。
 こうして、ただでさえ通常業務で忙しい省庁の職員は、一部のナンセンスな政治家に振り回されるのです。
 この制度を悪用するような政治家がいなくなるか、主意書に対する拒否権が与えられない限り、国家公務員における女性活躍は進まないと言っても過言ではありません。
 また、これにより残業代も多く必要となり、税金の無駄遣いに直結します。
 国民の税金が適切に支出されるためにも、制度の改善が求められます。
 
 さて、そんな主意書の中から特に酷いものを紹介します。
 

第190国会質問第220号「国税専門官募集ポスターに関する主意書」(平成二十八年三月二十九日提出 民進党 初鹿明博)

 平成二十八年度の国税専門官募集ポスターに「巨悪と戦うなんて、ドラマの中だけの話。だと思っていた。」というキャッチコピーがつけられています。

一 ここで言う巨悪とは具体的に何をさしているのですか、政府の見解を伺います。

二 国税専門官の業務で「巨悪」と「戦う」業務とはどのようなものを想定しているのですか、政府の見解を伺います。

 右質問する。 

 

 この質問は、見た瞬間に笑ってしまいました。

 そもそも、職員募集のためのポスターって、国民の代表である国会議員が、主意書のレベルで質問すべきものでしょうか。


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 これが問題のポスターです。

 どう思いますか??

 初鹿君と同じように、「巨悪」の意味を問いただしたくなった人はいるのでしょうか。

 もしいるとしたら、彼は民意を反映したということになるのでしょうが、恐らくそんなことはないはずです。

 これに対する答弁がこちらです。

 

衆議院議員初鹿明博君提出国税専門官募集ポスターに関する質問に対する答弁書

一及び二について

 国税庁は内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現等を任務としており、お尋ねの「平成二十八年度の国税専門官募集ポスター」の文言は、当該任務を遂行する国税専門官を目指す若者に向けた抽象的なメッセージであり、特定の業務を想定したものではない。

 

 

 まあ、こう言うしかないですよね。

 ただ、この答弁を作るためにどれだけの労力と税金が投入されたのかと。

 この質問と答弁のやりとりによって何が生み出されたのかと。

 

 こうした政治家のナンセンスな行動が国家公務員の生産性を著しく阻害しているのです。

 

 また、熊本地震へのオスプレイ投入への批判報道に被災者が憤っているというニュースが出たばかりなのに、社会民主党・市民連合の照屋寛徳君は平成28年4月21日に「熊本地震支援にともなう米海兵隊MV22オスプレイ投入に関する質問主意書」を出しているようです。

 この質問内容なども、十分にウォッチしたいですね。