リカレント!

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男性必見!電車内の痴漢冤罪で逮捕されないための最強の手段

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どうしても逃れられない痴漢冤罪の恐怖

 2000年に女性専用車両が導入されてからもう15年以上経ちました。確かに、戸田恵梨香さんとの熱愛報道がなされている加瀬亮さんの出世作「それでも僕はやっていない」が流行っていた当時よりは、痴漢に関するニュースや痴漢冤罪に関する報道は減ってきたように思います。しかし、男性の皆さん、どうでしょうか。通勤通学の最中、満員の車内に女性が乗り込んでくると、緊張しませんか。何かの間違いで、女性が自分のことを痴漢呼ばわりしてきたらどうしようかと。

 そういう時に大事なのは、落ち着いて自分の連絡先を女性に渡し、すぐにその場を立ち去ること、と言われますが、いざそうなった時にうまくできるかわかりません。一歩間違って、駅員や通行人に現行犯逮捕されるかもしれませんし、立ち去った後に女性から法外な慰謝料を請求されるかもしれません。

 そこでこの記事では、痴漢の疑いをかけられた時に、一切のお金を支払わず、また何らの刑罰も受けないで済ませる、いわば「伝家の宝刀」をお伝えします。

※注意:本記事は半分ネタなので、冗談半分に読んでください。

参考にするのは「カバチタレ!」

 今回参考にするのは、2001年に放送されていた、行政書士を主人公とするテレビドラマ「カバチタレ!」です。

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 常盤貴子と深津絵里のダブル主演、その他には山下智久や陣内孝則といった豪華なキャスト陣です。

 大ゴケした櫻井翔と堀北真希の「特上カバチ」の方ではありません。

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「カバチタレ!」第4話の内容

 カバチタレの中で、痴漢冤罪をテーマにしているのは、第4話です。

 大まかに概要を説明すると次の通り。なお、前提として、痴漢の被害については、告訴(被害者が警察に処罰を求めること)がなければ刑事裁判の流れに乗ることはありません。

(概要)
 ある男性(平凡なサラリーマン)が、電車で女子高生に痴漢したとして警察に捕まった。身に覚えがないのに、男性は成り行きで痴漢を認めてしまい、女子高生は慰謝料を寄越せと言い出した。
 男性を救おうと、友人の常盤貴子は女子高生の自宅に訪問し、その女子高生と母親に「1000万円払うから示談してほしい」と勢いで言ってしまう。女子高生らは快諾。
 事情を聞いた行政書士の深津絵里は、常盤貴子や男性とともに、女子校生らの家を再度訪問し、告訴取下書に署名させ、警察に提出。一方で、男性に対しては一切金銭を振り込まないように指示する。
 数日後、振込のないことに怒った女子校生の母親は電話をかけてくるも、深津絵里は民法93条ただし書を用いて、1000万円を払うという約束は無効だと主張する。
 これを受けて母親は再度告訴をしようとするも、一度行った告訴の取消しを覆すことはできなかった。
 以上より、男性は、刑事的な処罰も受けず、一切の金銭を支払うこともなくこの痴漢冤罪騒動を潜り抜けることができたとさ。めでたしめでたし。

どうして1000万円の契約を無効にできたのか(民法93条ただし書とは)

 概要を読んでいてよくわからなかったのは、1000万円の契約を無効にできた理由(民法93条ただし書)でしょう。

 民法には次のように定められています。

民法93条(心裡留保)
 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

 「心裡留保」という耳慣れない言葉がありますが、これは、「表意者が、内心の効果意思と表示行為との不一致を知りながら、故意になす意思表示」のことです。わかりやすく言えば、「思ってもいないことを口にする」ということです。

 このような場合に民法ではその意思表示を有効としています。これが93条本文(1文目)です。意思表示を受ける側(Bさん)からしたら、相手(Aさん)がどのような考えで意思表示をしているかまで見抜くことは通常できませんから、言葉などで表現された内容を信頼するしかありません。この場合に、Aさんが後々「あれは冗談だった」といって約束を反故に出来るようでは、Bさんが不利益を被ります。考えと違うことを口にしたAさんよりも、相手の言葉を信頼したBさんよりの方を保護すべきですから、民法では上記のように定められています。

 しかし、もしBさんが、Aさんの真意を知っていたらどうでしょう。そうであったとしたら、Bさんを保護する必要性はなくなりますよね。

 では、客観的にAさんの真意が見え見えなのに、Bさんが気を抜いていてその真意に気づかなかった場合はどうでしょう。この場合、確かに考えと違う発言をしているAさんも悪いのですが、さすがにBさん気付けよってことになりませんか?もしこれで意思表示の有効を主張されたら、逆にAさんは怖くなって一切のジョークが言えなくなってしまいます。

 そこで、民法は、93条本文の適用範囲を善意無過失(相手の真意を知らず、また、知余地もなかった場合)の場合に限っています。

 カバチタレのドラマの中では、そこを逆手に取りました。

 当時、痴漢の示談金なんて数十万、多くても100万円程度でした。それを1000万円なんて馬鹿げています。そこで、
「1000万円を痴漢の示談で払うなんて発言、冗談に決まってるでしょ。こちらは元から1000万円を払うつもりなく(真意)、1000万円を払うという発言(意思表示)をしたんです。あなただって、平凡なサラリーマンが痴漢の示談のために1000万円払うなんて、本気だと思っていなかった(真意を知っていた)でしょ
 そうであるとしたら1000万円払うという意思表示は無効であり、その意思表示に基づいてなされた1000万円を支払う契約も無効です。よって、1円もあなたに払う義務はありません。」
という構成をとったのです。

 ドラマを見ていると、事実とこの主張の関係が、かなり怪しいところもあるような気もするのですが、まああくまでドラマの世界ですから。しかし、他の痴漢冤罪回避法にない、斬新な切り口ではあると思います。

 だって、この理論が通じるのであれば、故意に痴漢をやった場合であっても、一切の処罰を受けないことにできますから。これを当時テレビで放送していたのは少し衝撃ですね。

悪用厳禁

 痴漢してもこのように逃れられるからといって、これを悪用してはいけません。

 ドラマではそこまで描かれていませんが、女子高生の立場からすると、精神的な損害賠償を求めて民事裁判を起こす余地があります。また、万が一民法93条ただし書の主張が通らなかった場合、莫大な負債を抱えることになります。

 ただ、本当にどうしようもなくなってしまった時のために、頭の片隅に置いておいてもいいかもしれません。