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13日の金曜日が仏滅であることなんて無宗教者の僕にとっては14日の土曜日が大安であるのと同じ意味でしかない

日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy (ぴあ書籍)

 昨日2016年5月13日は、13日の金曜日と仏滅が重なって、一部の界隈で盛り上がっていたようだが、そもそもどうして13日の金曜日が不吉な日とされるのか、仏滅がどういう日なのか知っている人はあまり多くない。

13日の金曜日とは

 13日の金曜日が不吉な日として印象が強くなったのは、ジェイソンがチェーンソーを持って暴れまわる映画「13日の金曜日」に直接的な原因があるだろう。同作品はトランスフォーマーのマイケルベイ監督がリメイクしているほどで、日本でも見たことはなくてもタイトルを耳にしたことがない人はいないだろう。 

13日の金曜日(2009) (字幕版) 

 しかし、その起源はキリスト教である。13という数字は、キリストが殺される前、ユダ(裏切り者)が含まれた数字であり、裏切り者がいることを示す数字であることから、マイナスイメージがもたれる。

 それでは、金曜日は何か。それはキリストが処刑された日である。

 こうしてキリスト教徒の間で広まった「13日の金曜日」の不吉さが、映画を通じて日本に伝来し、広まったのである。

仏滅とは

 仏滅は、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の六輝(六曜)の一つで「全てが不吉」という意味である。元々は「全て空しい」という意味から「物滅」と記されていたが、時代と共に「仏も滅亡するような最悪の日」という意味に変化し、「仏滅」となった。

 つまり、もともと六曜自体は仏教と一切関係ないものであったが、日本に伝来してきて仏教文化と並存することで、仏教色を帯びた概念ということである。 

結局は確証バイアス

 結局、13日の金曜日にしても仏滅にしても、確証バイアスに過ぎない。確証バイアスとは、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向を指す心理学用語である。具体的には、「政治家は汚い」という目で見ていると、汚職をしている政治家ばかりが目に入り、それ以外のまっとうな政治家は捨象されるといったものである。

 これと同様に、13日の金曜日や仏滅を「不吉な日」として捉える人には、それらの日に起こる不吉な出来事が目に入り、やはりそれらの日は不吉な日なんだ、という確証を高める、ということである。つまり、キリスト教で不吉な13日の金曜日と、仏教的に不吉な仏滅が重なったところで、何の意味もない。

 ただし、現実には、多くの社会学で共通するように、ある思想が人の行動に影響を与えるため、パリでのテロ事件のように、あえて「13日の金曜日」を選んで、不吉な行動を行う輩も出てくることから、結果的にこれらの日に不吉なことが偏ることについては着目してもいいかもしれない。そう考えると、仏滅の13日の金曜日であった昨日、特に大きな事件もなかったことは、幸いとも考えられる。

 

(参考)

 「13日が金曜日であることなんてぼくにとって14日が土曜日であることと同じ意味しか持たない」と言っていたのはとある戯言遣いである。

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)