リカレント!

Life is either a daring adventure or nothing.

公務員時代、私の仕事の邪魔をしたもの

 自分が見た夢を人に語ることほど価値がないことはないとは知りつつ、今日見た夢について語りたい。

 それは、今日の昼間のこと。私はいつの間にか、眠りに落ちていた。

 と言っても、私は眠っていることに気づいてはいなかったのだけれど。それくらい、リアリティのある夢だった。そして最悪なことに、それは心の底からうなされるような悪夢だった。

 悪夢には、私の仕事での嫌な部分が凝縮されていた。内容を簡単に述べると次のような感じだ。

 国から県庁に派遣された、その最初の登庁日。配属された県庁の財政課で挨拶を済ませると、いきなり上司のところに一本の電話がかかってくる。それは、気象庁からの連絡。今後、大規模な豪雨になることが見込まれるから、財政課としてもすぐに支出できるように準備しておけというもの。上司は早速、準備をするよう命じ、私は準備に取り掛かる。第一段階として必要な決済を済ませると、次にするべき作業を命じられる。それは、県のお金の支出処理をするために、「CRAZE」というシステムに入力をしろというものだ。CRAZEなんてシステム操作したことがなく、どのように入力をしたものかよく分からない。しかし、私の出元の省庁は、そのシステムを運用している省庁であるから、周りの県庁職員は当然に、私がその操作をできるものと思っている。ここでプライドを捨てて周りに聞けばすぐに済むものであるが、私の矜持が邪魔をして聞くことができない。そんなプレッシャーから、他のラインで関係のない余計な口出しをしてくる職員を論理的に言いくるめたり、あたふたてんやわんやしている間に昼休みのチャイム。周りの職員は、テンパっている私の気持ちも知らず、昼食に出てしまう。そして、私の周りには、誰も頼れる人がいなくなり、「昼休み明けに聞いたらそんなもんもっと早く聞け」と責められるんじゃないかと悶々とする。

 そのタイミングで、幸いなことに私は目を覚ました。

 夢だと気付いて安堵した私は、胸を撫で下ろすとともに、この夢が、公務員時代の体験を完全に写し取っていることに気付いて驚愕した。

 今でもよく反省する点ではあるが、私はプライドが高すぎる人間だった。もちろん、ある程度の誇りと矜持は誰しも持っているべきで、それがあるからこそ、人から見下されないように努力できる。しかし、私は困ったことに分からないことを分からないと言えないそんな最悪な人間だったのだ。

 「後で調べればなんとかなる。」

 そう思って、分からないところは後回しにし、残業中にそれについて調べる。調べるのに数時間かかり、本来残業時間中にやるべきだった仕事が片付かないまま体力的な労働の限界を迎える。それの繰り返しは、私の生活を確実に蝕んでいった。

 日中、周りのわかる人に聞けばすぐに解決した問題が、昼間に聞けないことで、余計な労働を増やしてしまう。

 これはおそらく、高学歴で採用区分が高い人ほど陥りやすい罠である。

 余計なプライドを捨てて、わからないことはわからないと言える、そんな素直さも時には大事なのである。

 ということで、そんな偉そうな口を聞けた人間ではないけれども、私の仕事をしたのは無駄なプライド。新入社員で、無駄なプライドのせいで、周りの職員に頼るのに二の足を踏んでしまっている人は、いっそ、そのプライドを取り払ってみてほしい。そうすれば、今よりも数段、仕事が楽になるはずだ。

プライドが高くて迷惑な人 (PHP新書)