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オランジーナのCMでバイきんぐ小峠はフランス語で何て言ってる?コマンタレブへの返事【動画】

ポスター Bernard Villemot: Orangina

小峠英二とサロメ・デ・マートが共演するこのCM

 最近流れ始めた、オランジーナのCMが素敵ですね。日本の田舎の学校に、綺麗なフランス人の教師が訪れる光景は、郷愁を感じさせます。

「コマンタレブ」は聞き取れる

 このCMを見た方の多くは、「コマンタレブ」は聞き取れるとおもいます。

 フランス語で書くと、
 Comment allez-vous ?
 ご機嫌いかが?という意味です。

 フランス語"comment"は英語の"how"と同じ疑問詞です。

 フランス語"allez"は"aller"が活用したもので、英語の"go"と同じ動詞です。

 フランス語"vous"は2人称複数を表すと同時に、2人称単体への敬称でもあります。英語の2人称はyouで一つしかありませんが、ラテン語系の言語では、2人称複数に相当する言語を使うことで相手への尊敬を表すことがあります。

 つまり、"Comment allez-vous ?"は、英語の"How are you going ?"(調子どう?)と似たような意味になります。フランス語の子音は基本的に読まないので、"allez"の最後の"z"や"vous"の最後の"s"は読みません。ただし、"Comment"のすぐ後には、母音"a"から始まる"allez"があるため、リエゾン(単語の最後の子音と次の単語の最初の母音がつながること)が生じて、「コマンタレブ」という発音になります。「コマンアレブ」ではありません。もちろん「コマントアレズブス」みたいな発音にもなりません。

 ちなみに、フランス語も英語と同様に、主語→述語の順番になりますが、"Comment allez-vous?"では、疑問視"comment"に動詞"allez"が引っ張られて前に出てきているため、その倒置を示すために述語"allez"と主語"vous"の間にハイフンが引かれています。

バイきんぐ小峠がなんて言っているのかわからない

 ここで、もう一度見てみましょう。

 サロメ・デ・マートが"Comment allez-vous?"と挨拶するのに対し、多くの人は同じく"Comment allez-vous?"を反復しています。ただしそんな中、小峠さんだけ、流暢なフランス語を発して、ドヤ顔をしています(18秒付近)。

 でもでもでも、これがなんて言っているのか、全くわかりません。

 「ジェジェ、メルシー」と言っているように聞こえます。

 メルシーは"Merci."つまり、「ありがとう」なんでしょうが、「ジェジェ」の部分が聞き取れません。

 そこで、このCMの撮影についてちょっと調べてみると、小峠さんはこんなことを語っていました。

ゴニャゴニャ言っていたら、それがOKになった

 そうだったのかい!

 てっきり流暢なフランス語を話している前提で聞いていましたが、ゴニャゴニャ言ったらあんな発音になったらしいです。

 ドヤ顔に騙されました。

 それなら、ということで、ゴニャゴニャ言っている前提で聞いてみると…

 多分、"Je vais bien. Merci."(ジュヴェビアン。メルシー)と言っているんじゃないでしょうか。

 メルシーの直前に、"b"の音と"ӕ"の音と"n"の音が聞こえます。小峠さんの"b"が、"vais"の"v"なのか、"bien"の"b"なのかは定かではありませんが、これで間違いないでしょう。

 "je"は1人称単数、英語の"I"と同じ「私」という意味です。

 "vais"は先ほど上で"allez"の形で出てきた動詞"aller"の活用形です。不規則活用のため、こんなに形が変わっていますが、英語の"go"と同じ意味でした。"ai"は2文字で合わせて「エ」というような発音をします。また、最後の子音"s"は読まないので、"vais"は「ヴェ」となります。

 "bien"は、英語の"well"と同じです。動詞などの用言を修飾する「良い」という意味の副詞です。"ie"の"e"は、"i"の後では「ア」に近い発音になるため、"bien"は「ビアン」となります。

 よって、"Je vais bien."は英語で言うと"I'm going well."となります。

 "Comment allez-vous ?"(How are you going ?)に対して、"Je vais bien. Merci."(I'm going well. Thank you.)と返事しているのです。

 もし違う意見があれば教えていただけると嬉しいです。

 英語ばかりが氾濫する現代社会で、このCMをきっかけに、フランス語が流行るといいですね。