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Jo Cox〜イギリスEU独立問題で政治家を射殺するなんてやりすぎ

イギリスの歴史が2時間でわかる本 (KAWADE夢文庫)

イギリスの庶民院(下院)議員ジョー・コックスさんが射殺された事件

 日本では不倫や知事降ろしのスキャンダルばっかり報道している毎日ですが、世界ではそんなことに目もくれず、もっと重大な問題が起きています。

 イギリスのEUからの独立が日に日に熱を増していく中、なんと、EU残留を支持していた政治家が射殺されてしまう事態にまで発展しました。

 英文の記事中にあるMPというのは、the Member of Parliamentの略で、議会の構成員の意味です。

 射殺されたのは、Jo Cox(ジョー・コックス)さん。41歳。労働党の議員で、庶民院(下院)に所属していました。6月16日、ウェスト・ヨークシャー州リーズにあるBirstall Library(バーストール図書館)で国民投票をめぐる集会の準備をしていたところ、銃撃を受け、その後ナイフで刺された上、死亡に至ったとのことです。

 犯人は現場の近くのMarket Streetで逮捕されました。

 目撃者の一人によると、犯人は犯行前、「Put Britain first!!」と叫んでいたとのことです。イギリスを第一に考えろ!ということで、EUから独立して、自国最優先でことを進めろという意味だったのでしょうか。ブリテン(イングランド)を優先して、北部アイルランドやスコットランドを優先するな!ということだったのかもしれません。

 労働党の当主であるCorbyn氏は、恐ろしい殺人事件だとし、「愛すべき同胞」を失ってしまったとして、次のような発言をしています。

 Jo Coxは、我らが民主主義の核心たる公務を遂行している最中に殺されてしまった。大衆の意見に耳を傾け、自らの意見を述べている最中にだ。近いうちに、どうして彼女が殺されたのか、質疑も出ることだろう。しかし、今我々が考えるべきは、妻を失ってしまったJo Coxの夫と、2人の幼い子供のことである。子供達は、母親のいない状態で成長しなければならないが、いずれ、母親が行い、達成し、支持してきたものを誇ることになるだろう。

 国民投票という民主主義の最たるものを行おうとしている時に、このような暴力的な手段を用いるなんて、民主主義の冒涜でしかありません。自らの願いを実現させるために用いるべきは言論であり、拳銃ではありません。イギリスのEU独立問題が、民族問題を含めた根の深いものになっているからといって、このような事件が起きてしまったことは、とても嘆かわしいことです。

 こんな事件が起きたのでは、イギリスがEUから独立するにしろしないにしろ、禍根を残すことになるでしょう。

 そんなことは、今回の犯人が所属していた独立支持派にとっても好ましくないはずです。

 今回の事件が起こったイギリスでも、日本と同様に民間人の銃の携帯は原則として禁じられています。

 今後日本でも、民主主義を行っていく上で、同じような事件が起こらないよう、民主主義の根本を見つめ直す必要があると思います。