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【イギリスEU離脱国民投票】出口調査が行われない理由

Brexit: For A New Country (English Edition)

イギリスのEU離脱(BREXIT)に関する国民投票(レファレンダム)で出口調査が行われない理由

 従来、イギリスでも選挙の際にはBBC(英国放送協会。日本のNHKに相当)による出口調査(Exit Polls)が行われていましたが、今回の国民投票にあたってはその出口調査を行わない予定としています。

 その理由は、出口調査に基づく推計結果の算出方法にあります。

 通常時の選挙では、投票所の出口で、投票を終えて出て来た投票者からどちらに投票したかを聞き出し、それを、前回までの選挙におけるデータと照らし合わせて、最終結果を推計します。

 しかし、今回の国民投票に関しては、照らし合わせるべき前回のデータがないのです。参考にすべき1975年のECからの離脱を問う国民選挙は、まさに41年も前のことで、その当時は出口調査自体が行われていませんでした。

 もちろん、今回の国民投票に関しても、出口で有権者からどちらに投票したかを聞き出し、速報値として出すことはできます。しかし、それはあくまでもその日に投票した人たちの意見でしかなく、期日前投票に投票した人達の票を含まないものです。そのような速報値を出したところで、正確性はかなり低いものと考え、費用対効果も悪いことから、今回の国民投票においては出口調査を行わないこととしたのです。

そもそも、投票終了前の出口調査結果の発表は違法

 イギリスの1983年公職選挙法第66条(Section 66 of the Representation of the People Act 1983)において、そもそも、投票が締め切られる前に出口調査の結果を発表することは禁じられています。もし出口調査の結果を公表するとしても、投票終了時刻である23日の22時(現地時間。日本時間は24日6時)に出口調査が発表されることはありません。結局、その夜には投票結果が集計され、翌朝にはどちらが勝つかが判明しているのですから、BBCが暫定でも出口でアンケートをした結果に基づく速報を出さないという判断をしたのも頷けます。

 また、公職選挙法の規制は個人も対象です。投票権者が、フェイスブックやツイッターなど、自らのSNSに、どちらに投票したかを書くのは構いませんが、その結果を数え上げ、公表することは違法とされています。

ただし、一部の報道機関においては独自の非公式な出口調査の結果を発表する可能性も

 公営放送であるBBCによる公式な出口調査は、今回の国民投票で行われませんが、幾つかの報道機関において出口調査が行われ、投票終了時刻である22時(日本時間翌6時)の時点で独自の非公式な出口調査の結果を発表する可能性は十分にあります。

 というのも、今回の国民投票の結果は、イギリス国内だけにとどまるものではなく、世界中に影響を与えるものだからです。日本がまさにそうであるように、投票終了直後に市場が開いているところもあります。

 したがって、投資家に対して判断材料となる情報を与えることができるよう、独自の出口調査結果を報道する可能性があるのです。

 実際に独自の調査を行ったYouGovによる出口調査結果はこちらで紹介しています。

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(情報ソース)

EU referendum: Why is there no exit poll? | UK Politics | News | The Independent