カレラ・ピノノワール・ジェンセン(Calera Jensen PinotNoir)【ソムリエ(甲斐谷忍)第1巻6話】
私の大好きな「ソムリエ」という漫画があります。
この漫画、原作は「バーテンダー」で有名な城アラキ、絵は「ライアーゲーム」や「ワンナウツ」で大ヒットした甲斐谷忍さんが描かれている、素晴らしいワイン漫画なんです。しかも、監修は「日本で一番マスターオブワインに近い男」と呼ばれていたワイン研究者の堀賢一さんなんです。
絵は甲斐谷忍さん独特の、多少カクカクした動きの絵ではあるのですが、それは慣れの問題。読み進めていくと絵も綺麗になりますし、違和感がなくなります。また、絵の綺麗さやストーリー展開の分かりやすさでは「神の雫」の方が大衆向けですが、ワインの知識や表現に関しては「ソムリエ」の方が本格的です。
大会社の創業者の父とフランス人の継母を持つ天才ソムリエ佐竹城が、子供の頃に継母が水で薄めて飲ませてくれたワインを探し求めるストーリーですが、豊富な知識に裏付けられた佐竹城のソムリエとしての接客は、相手のことを考え抜いたものであり、温かい気遣いにほっこりさせられる場面の多い漫画です。
今なら「ソムリエ」を週刊少年ジャンプ公式アプリで無料で全巻試し読みできるので、読んだことのない方やストーリーを思い出したい方はどうぞ。iPhoneの方はこちらから。
さて、そんなソムリエ第1巻で、今でも手にはいる素晴らしいワインが最初に登場するのは第6話(ブラインドテスト)です。
佐竹城がソムリエを務めるレストランに、大金持ちの経営者ポール・アレクセイが来て、佐竹城に対してブラインドテストを仕掛けます。佐竹城は、エッジにレンガ色を帯びた熟成の色合い、ワインの粘着性の高さ、鮮烈なイチゴやプラムの香りに土臭さや動物的なニュアンスの加わった複雑な香り、ヴェルヴェット(ビロード。上質で滑らかな織物)のような舌触り、高いアルコール分、果実味と高いミネラル分からフランスブルゴーニュの超高級ワインロマネ・コンティ(1本100万円以上)に思い当たりますが、出題者のポール・アレクセイがアメリカン・ウイスキーのバーボンを飲んでいることに気づき、考えを変えます。ポール・アレクセイがフランスを憎んでいることから、フランスのワインを出すはずがないと気付いたのです。
佐竹城が出した答えはアメリカカリフォルニアのワインであるカレラ・ピノ・ノワール・ジェンセンで、見事大正解でした。
賭けに勝った佐竹城は100万ドルの小切手を受け取りますが、「ワインは金で買えてもソムリエのプライドは買えないぜ」と言ってあっさり破ってしまうところもかっこいいんですよね。
このカレラ・ピノ・ノワール・ジェンセンですが、日本でも手に入れることのできる上質な赤ワインです。Amazonでも購入することができます。近年のカリフォルニアワインの当たり年は2012年と2013年なのですが、まさにその当たり年のワインが販売されています。
このワインを作ったジョー・ジェンセンは、ロマネ・コンティ社でワイン造りを学んだアメリカ人です。人工衛星を使ってロマネ・コンティの畑とそっくりな土地をカリフォルニアのマウント・ハーランに見つけてブドウを栽培し、作り上げたのが、カレラ・ピノ・ノワール・ジェンセンです。
ピノ・ノワールは、ボルドーと並ぶフランスの一大銘醸地であるブルゴーニュや、アメリカのカリフォルニアで多く栽培されている品種で、香り高いフレッシュさが特長です。渋みが少ないため、ワインを飲みなれていない人にも飲みやすく、長年熟成させる必要もありません。デキャンタージュ(デキャンタに移し替えること)すると香りが壊れてしまうので要注意。
ブルゴーニュグラスと呼ばれる、横幅の大きいグラスを使うと、より一層その香りを楽しむことができます。
1本100万円以上するロマネ・コンティに近い上質な味わいを、2万円弱で味わうことができるワイン。普段飲みにはちょっと高いですが、大切な日に飲みたいですね。特に当たり年のワインは、ドンドン量が少なくなって価格が高騰してしまうので、購入される場合はお早めにお買い求めください。