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絶対にアニメ化できない西尾維新の小説「りすか」が思いの外よかった

新本格魔法少女りすか

 デビュー作戯言シリーズのOVA発売が控えている西尾維新さん。傷物語熱血篇を見た際に次のようなトレーラーを見て、期待に胸ふくらませた方も多いのではないでしょうか。

 個人的には、デジタル環境が今と違いすぎて(当時はスマホもなければ、大衆向けクラウドサービスもない)、玖渚友の卓越っぷりが薄れないか心配していたのですが、公式サイトの作り込みっぷりを見ても、やはり期待せずにはいられません。

 さて、そんな西尾維新さんですが、続々と刊行が続いている「デジタルプロジェクト」も忘れてはなりません。

 みんな大好き大河小説「刀語」と同時に電子版が発売されたシリーズに「りすか」シリーズがあります。

 この小説、私読んでなかったんですよね。

 理由は第一に、「りすか」から連想されるイメージ。

 「りすか」と聞くと、みなさんはどんな言葉を連想しますか??

 私は凡人らしく、とある単語の略称しか思い浮かびませんでした。そして、そんな言葉から連想したのは、「世界」シリーズのような気持ち悪い世界観。

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

 これだけでも読まない理由として十分だったのですが、それにとどめを刺したのが、この表紙でした。 

新本格魔法少女りすか (講談社ノベルス)

 右側の子が「りすか」なのですが、戦場ヶ原さんとか忘却探偵とか巫女子ちゃんとかと違って、パンクな印象です。

  強いて言えば哀川さんには近いのですが(色的な意味で)、彼女のように洗練された漢字はありません。

人類最強の初恋 (講談社ノベルス)

 「小説を表紙で選ぶ」なんてことは極めて愚かなことだとは思うのですが、心理的な影響というのは否定できませんよね。

 小畑健が表紙を書いた「こころ」をつい手に取ってしまうのと同じです。

青い文学シリーズ こころ 完全収録 リージョンコード:3 (台湾盤)

 なんて言い訳を書き連ねてみたものの、結局は手にとってしまった「りすか」シリーズ第1巻。電子決済で一瞬で購入できる環境は恐ろしいですね。

 で、実際に読んでみてどうだったかということ。

 西尾維新の過激な描写を読みすぎているので多少感覚が麻痺しているところもあるのですが、表紙から受けたイメージとは違って、そこまで「パンク」な感じではありませんでした。

 同じく魔法少女の出て来る「伝説」シリーズとは違って、本物の魔法が出てきますし、「りすか」も年相応の可憐な少女でした。

悲鳴伝 (講談社ノベルス)

 文中に挿絵がされているのですが、そこで描かれる「りすか」は、第1巻の表紙と違って可愛らしいです。

 2巻の表紙の方が、イメージに近いかと。

新本格魔法少女りすか(2) (講談社ノベルス)

  魔法の発動の度に自分を傷つけなければならなかったり、最終奥義の発動のためにはあたり一面を血の海にしなければいけなかったりで、シャフトといえどもアニメ化はできなそうな作品ではあるのですが、心がえぐれるほど痛い描写はそこまでありません。

 西尾維新初心者にとってはハードルが高いかと思いますが、物語シリーズや戯言シリーズをある程度読んでいる方にはオススメしたい小説です。もし私と同様に、表紙で敬遠していた方がいらしたら、電子化を機に手にとって見てください!