風ノ旅ビト
プレイした当時のことを思い出すと、言葉では表現することができない、郷愁のような感情が浮かんでくるゲームがあります。
それは、FF7やグランツーリスモ、バイオハザード、三國無双といった有名所ではありません。
心の中にその情景が強く刻み込まれ、ふとした瞬間にフラッシュバックするそのゲームのタイトルは、「風ノ旅ビト」です。
今となってはそこそこ有名になったこの作品ですが、配信当時、PS3のPSストアでその作品を発見した私は、1000円ちょっとという低価格もあって気軽にプレイをはじめました。
そのゲームの内容は、私の期待を大きく上回りました。
シンプルだけれどもギミックを解いて進んでいくためには必要十分な操作で、砂に覆われた広大なフィールドの中を進んで行くのですが、そのフィールドが極めて美しさに強く心を打たれました。
歩くたびに立つ砂煙、風に揺られてサラサラと流れ行く砂粒に反射する夕日、ときには、その画面を数十分にわたってじっと眺めていたこともありました。
全てのプレイヤーがそうであったように、ゲームの最後、NPCだと思っていた旅の同行人がリアルプレイヤーだと知ったときにはひどく驚きました。多くの難所をくぐり抜けてきた彼とは、それまで言葉を交わすことすらできなかったのですから。
そのようなコペルニクス的転回を受けて、そのゲームを再度はじめからプレイしたことは言うまでもありません。
そんな「風ノ旅ビト」ですが、既にPS4版も配信されています。
できれば、PSVRの発売にあわせて、VR対応の風ノ旅ビトを販売してほしいです。
一人称画面モードでもいいので、あの広大な世界観を歩き回る体験を、是非PSVRでしてみたいです。
かつて、一部にだけしか知られていなかったいわばマイナーなアニメ監督である新海監督が「君の名は。」で大ヒットを飛ばせたような、作品内容そのものの美しさだけで勝負できる時代になったからこそ、風ノ旅ビトの綺麗で圧倒的な世界観が世に知れ渡ってほしいと願うのです。