より公平な累進課税を
ただの思いつきで言ってみるだけなので、適宜指摘をして欲しいのですが、スポーツ選手や芸能人の話を聞いていて、不憫に思うことがあります。
それは、所得税の累進課税の話です。
御存知の通り、日本では所得税に累進課税の制度が導入されていて、1年間の所得が多い人ほど、より高い税率が課せられます。
以前、「おぎやはぎの愛車遍歴」に、「サーキットの狼」で有名な池沢さとしさんが出演されていた時は、当時1年で2億くらいの収入だったが、税金やらで8割9割持ってかれたという話をされていました。
まあ、さすがに8割9割ということはなくて、話をかなり盛られたのだと思うのですが、サラリーマンとしてコツコツとお金を貯める人もいれば、スポーツやお笑い、漫画なんかで一発当てて大金を稼ぐ人もいるのに、所得税の累進課税はここの公平性が取れていないのではないかなと思うんですよね。
たとえば、サラリーマンが年収1千万円で10年間稼ぎ続け、1億円稼いだとします。このとき、年収1千万円の場合の税率が20%だと仮定すると、1億円にかかる所得税の金額は2千万円となります。
一方で、一発屋芸人が1年間1億円稼ぎ、残りの9年間は無収入で貯金を切り崩しながら生活していたとします。このとき、年収1億円の場合の税率が40%だと仮定すると、1億円にかかる所得税の金額は4千万円となります。
※話を簡単にするため、社会保障とかその他諸々は捨象します。
サラリーマンにしても一発屋芸人にしても、10年間で稼いだ金額は1億円と変わらないのに、一気に稼いだかコツコツと稼いだかで所得税の金額が変わるのは、公平性が保たれていないのではないかと思うのです。
累進課税の制度自体、賛否両論あるものだとは思いますが、ここでは、社会の構造上、富の再配分による格差是正のため累進課税は必要なものとして扱います。その上で、稼いだ期間によって税金の額が変わるのはおかしいと考えているのです。
1年を単位として所得税の税率を決定しているのは、未来の予測ができないからでしょう。
10年後までどうなっているか、所得税を徴収する時には予測がつかないので、1年の区切りで算定しているのです。
しかし、今は分からなくても、10年後にはどうなったか判明しているはずです。
上述の通り、ここでは累進課税の制度自体は肯定しているため、その後多くの所得を獲得し続けた人により高い税率を課することは肯定されます。
一方で、先程の一発屋芸人のように、努力しても収入を得ることができなかった人に対しても、同じ税率を課したままでいいのでしょうか。
納税者の公平性を担保するため、一定期間(例えば10年)経過後、当該期間における収入に基いて、納付した所得税を還付する手続きをとるべきなのではないでしょうか。
一定期間経過後に税金を還付することについては、国の会計年度独立の原則との衝突が発生することが考えられますが、それは積立金等によって回避できることです。
また、「財政難の現状でそんなことできない」という反論は本件には当てはまりません。より公平な課税を目的として、他の税源により補填すべき問題だからです。
スポーツマンにしても同じです。みんながみんな、三浦大輔選手や山本昌選手、イチロー選手のように、長命なスポーツマンではなく、総じて、サラリーマンよりも稼げる時期は限定されています。
生涯で稼ぐ金額はそれほど変わらないとした場合、課される税金に差があっていいのでしょうか。
1億総活躍を唄い、多様な働き方を奨励するのであれば、働き方の違いによる納税金額の公平性も実現すべきではないかと思った本日でした。