リカレント!

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「就活家族」を見てサラリーマン社会の弊害を知る

第一話

 2017年1月開始ドラマの中で、最もシュールなドラマ。

 それが「就活家族 ~きっと、うまくいく~」(テレビ朝日)です。

 主人公は上の画像のとおり、三浦友和(父親)、黒木瞳(母親)、前田敦子(長女)、工藤阿須加(長男)の4人ですが、「就活家族」のタイトルのとおり、それぞれ次のような事情により新しい仕事を探すことになります。

 三浦友和は長年勤めあげてきた日系企業をクビになり、黒木瞳も勤務先である学校の責任を取らされて退職の危機、前田敦子は上司とのソリが合わず自ら会社を辞め、工藤阿須加は大学生としてブラック就活塾の指導の元で就職活動中。

 三浦友和は、これまでのキャリアを使いながら新しい仕事を探しますが、なかなか希望通りのところは見つからず、ハローワークでは「キャリアなんて通用しないんですよ」とか言われる始末。

 そんな状況なのに、三浦友和の失職を知らされていない黒木瞳と前田敦子は、「私たちにはお父さんがいるから、自分たちが仕事を辞めても大丈夫」みたいなことを言い始めます。

 工藤阿須加だけはまだまともですが(ブラック就活塾に騙されていることを除いて)、「自分の学歴では希望する業界には就職できない」と諦めていた頃もありました。

 こんな感じで、現代社会の就職難を背景に、とてもシュールな家族像を描いているこのドラマですが、見ていて思うのは「これこそがサラリーマン社会の弊害なのではないか」ということです。

 父親は、長年大企業に勤め上げてきましたが、クビになった途端企業の後ろ盾も資格もないタダの人となり、自分のことを拾ってくれる企業を求めて、他社依存的な就職活動をします。

 母親も、学校の仕事を辞めたら他の仕事を始めようということは考えず、父親に頼りながら生きていくことを考えているようです。

 長女も、転職先の上司との人間関係に悩んだ末、現在の仕事を辞めた上で、ソリの合う上司を求めて他の企業への就職をしようと考えています。

 長男も、会社へ就職してサラリーマンになることが一番の幸せだと考えて、内定先がブラック企業だと分かってもその会社に就職するつもりでいます(出版業界に進みたいという夢を追いかけてそちらの道も残しているのがまだマシですが・・・)。

 これら全て、「サラリーマン」以外の道も考慮したら、もう少し未来が開けるように感じるのです。

 父親や母親は、これまでの経験やコネクションを活かして、自ら事業を起こせば、他社依存的な就職活動をしないで済みます。

 長女も、理不尽な人間関係に悩みたくないのであれば、会社に頼らずに生きていく方法も視野に入れるべきです。

 長男も、学歴が壁となって就職活動が難しいのであれば、自ら事業を興すことを考えてもいいと思います(もちろん、難しいだけで可能性がゼロではないため、自分の希望する業界への就職活動を続けるのもありだと思います)。

 こんなことを言うと「サラリーマンの方が安定している!」なんて思われるかもしれませんが、この家族の場合、安定していると思ってサラリーマンをしていた父親が急に会社をクビになったりしていますからね。

 別に、「サラリーマンになるべきではない!」と主張するつもりは一切ありませんが、「企業に就職してサラリーマンになる=社会で働く」という考えに取り憑かれてしまって視野が狭まっているから、将来の選択肢も狭まってしまって、明るい展望が開けないのではないかなと思ったわけです。

 「就活家族」はドラマですからハッピーエンドで終わるのでしょうが、どのような道筋でエンディングを迎えるのかとても楽しみですね。