「プレップ 法学を学ぶ前に」(道垣内弘人)
3月18日に予定されているロースクールのガイダンス。
それを受講するにあたり事前に読んでおくように指定があったため、「プレップ 法学を学ぶ前に」という本を購入しました。
1,000円くらいとはいえ、1回の授業を受けるためだけに買わされるのもどうかと思いましたが、結果的には1,000円以上の価値のある本でした。
「条・項・号」や「柱書・ただし書・前段・後段」のような超基本的な法律用語や、「及び・並びに・又は・若しくは」といった法制執務用語の解説、さらには「拡張解釈・縮小解釈・反対解釈」といった解釈の方法の違い、「法律・政令・省令」といった規則の種類の違いなども完結に丁寧にわかりやすく解説されているので、まさに法律の初学者が読むのに最適な本だと思います。
正直なところ、この本を読むまで、道垣内先生の印象は「担保物件法(有斐閣)」のイメージしかなくて、「天才すぎて、恐らく正しいことをおっしゃっているのだろうけどこちらの理解が追いつかない」というイメージでしたが、この本を読んで印象が変わりました。
すごく柔らかい口調で、とてもわかりやすく書かれています。
しかも、本文の中で「amazon」という言葉が普通に出てきたり、判例を見るためのツールとして、ウェストロージャパンではなく、裁判所のホームページをURL付きで紹介されていたりと、とても馴染みやすいです。
p.50
実際、矢野輝雄『自動車事故・対応マニュアル』(緑風出版)は、amazonの「商品の説明」によれば、(後略)
このような親しみやすさから、この本からはまるで丁寧に作られた「引継書」のような印象を受けます。
学生時代からずっと法律に関しての研究を続けられ、東大教授の中でも著名な法律学者となられた道垣内教授が、法曹を志す若い世代に対して、どのように法律と接していけば躓かないかということを、丁寧に教えてくれているのです。
主な対象者は法律初学者ですが、一度法律を学ばれた方が呼んでも、気付きを得られる本ではないかと思います。
また、法令用語(法制執務)を始めとする条文の読み方についてより詳しく知りたいという方は、「条文の読み方」もオススメですよ。
実際に法律を勉強する上では必須ではありませんが、さらに詳しく学びたい方は、中央省庁における実際の立法現場でも使われている「ワークブック法制執務」がオススメです。