メガバンク・地方銀行によるJコイン
日本国内のメガバンクや地方銀行が組んで、共通の仮想通貨を発行することを検討しているらしい。
その名も「Jコイン」。
この速報だけ聞いた時、「これは来るのではないか!! ICOに向けて資金を準備しなければ」なんて思ったりしました。
しかし、その内容を詳しく聞いてみると、前時代的で非常に残念なアイデアでしかないことが分かりました。
Jコインについての詳しくはこちらの動画をご覧ください。
注意しなければいけないのは、「Jコインは、価値が変動せず、日本円と完全に連動する」ということです。
いやいやいや、これって、単にSUICAの劣化版みたいなものではないですか。
だれがわざわざ、手間をかけて流動性の高い日本円から流動性の低いJコインに変えるというんですか。
個人間の送金で手数料がかからないという点で、一定の需要があるのはわかりますが、そういうことをしたいなら単に、銀行の日本円送金手数料を0円にすればいいだけで。なんで人と時間を割いて、新しいシステムを作ろうとするのでしょうか。
こういうニュースを聞くと、みずほ銀行ですら、暗号通貨についての理解が全然足りていないということが分かります。
ビットコインなどの仮想通貨の強みは、①世界的な流通性と②非中央集権性にあるわけです。
要するに、これまで国を超えて決済をする際には両替をして手数料という無駄なコストを支払わなければならなかったところを、世界共通の通貨を用いることでコストを削減するというのが、①世界的な流通性という強みでありました。
また、通貨の発行主体である政府の信頼が低く、また、中国のように政府によって通貨の価値の操作が行われる国の通貨と対照的に、政府からの規制を受けることもなく、また、特定の政府に依存しない通貨というのが、②非中央集権性という強みでした。
日本は、島国であって海外に行く機会も少なく、さらに、日本円自体が安定してしまっているので、こういう強みが分かりにくいんですよね。
こういった事情があるにも関わらず、日本円と完全に連動するJコインは、完全に日本政府依存ではないですか。しかも、流通するのも日本国内だけとなるでしょう。
こんな意味のないことをするよりも、銀行がビットコインやその他のアルトコインを保管する業務を行ったほうが、前進的であり生産的であるように思います。
ケータイ業界におけるガラパゴス化の失敗も踏まえて、世界に目を向けなければ、日本の未来は本当に暗くなってしまいます。