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3年でエリート公務員辞めた結果…

月間30万PV以上!入省3年で総務省(総合職・旧1種)を退職した元国家公務員のブログ。通称「さんエリ」

下剋上受験がドラゴン桜と違って面白くないのはなぜか

ドラマ

下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!

「下剋上受験」が「ドラゴン桜」くらい面白かったらよかったのに 

 2017年1月から始まったTBSドラマ「下剋上受験」。

 中卒の両親の下に生まれた成績のいまいちよくない子どもが父親と一緒に勉強をして、桜蔭学園的な名門女子中学校を目指すというドラマです。

 阿部サダヲ、深田恭子、風間俊介といった名キャスティングや、子役の山田美紅羽(やまだみくう)の好演もあって、面白そうな雰囲気を纏っているのですが、実際に見てみるとストーリーがいまいち面白くない・・・。

 

 落ちこぼれの生徒が成績をグンと上げて名門校を目指すというと、2005年に放映されていた「ドラゴン桜」と似ているのですが、ドラゴン桜は面白かったのに下剋上受験はいまいちなように感じました。

ドラゴン桜(1) (モーニングコミックス)

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  • 作者: 三田紀房
  • 出版社/メーカー: 講談社
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  • メディア: Kindle版
 

下克上受験とドラゴン桜の違い 

 そこで、なぜドラゴン桜は面白いのに下剋上受験は面白くないのか、両者を比較して考えられる理由を挙げてみたいと思います。

積極的に動いているのは本人ではなく父親

 第1の理由は、下剋上受験で中学受験に向けて積極的に行動しているのが本人ではなく父親であるという点です。

 中学校受験だから仕方ないことではあるのですが、ヤンキー出身の弁護士(阿部寛)に突き動かされつつも自分たちが納得した上で東大受験を決意していくドラゴン桜とは違って、下剋上受験では単に父親(阿部サダヲ)が急に中学受験を思い立って家族を巻き込んでいるだけなのです。

 下剋上受験の娘(山田美紅羽)も、父親に流されて受験に向けた勉強をしているだけのように思えます。もちろん、ドラマの演出上娘自身も勉強をする決意をしているシーンがなくもないのですが、一時的な感情と父親の熱意に流されているだけで、主体性が感じられないのです。

 受験者本人の主体性のなさが、下剋上受験の面白さを半減させてしまっているのではないかと思います。

父親(阿部サダヲ)が抱えるコンプレックス

 次に、下剋上受験の随所で語られる、父親が抱えるコンプレックスによっても、つまらなさが増長されているように感じます。

 というのも、下剋上受験の父親は、自身が中卒であることに非常にコンプレックスを感じていて、自分の境遇が恵まれていないことをすべて中卒のせいにしているのです。

 自分が出世できないのも中卒のせい、マンションが売れないのも中卒のせい、収入が低いのも中卒のせい、上司に認められないのも中卒のせい、みたいな感じです。

 1話でも2話でも、不動産会社に務める父親は一切契約までこぎつけられず成績をあげることができていませんでしたが、それはいずれも「中卒」が原因となっているのではなく、ふざけすぎた態度やお客さんのことを考えなかった営業姿勢に問題があるように思います。

 そうした根本的な問題に目を向けず、すべて自分が中卒であることを理由だと考えて、娘には自分と同じ想いをさせないようにと中学校のお受験を目指させる。

 この構図が下剋上受験を下品でつまらないストーリーにしてしまっているように感じさせているのです。

 恐らく下剋上受験の娘は最終的に桜蔭学園的なトップの進学校には受からず中堅的な中学校に進学するのでしょうが、コンプレックスばかりの父親の下で育った娘は、将来的に「自分がもっと早くから勉強してトップの進学校に受かっていればまた違う人生になったのに」などと考えるような、屈折した性格になってしまうのではないかとも感じます。

 はたまた、万が一トップの進学校に受かり、その後東京大学等に進学したとしても、その後就活や社会人生活の中で「自分は学歴があるから大丈夫」という勘違い野郎になってしまうようにも思います。

 負の感情に突き動かされて受験に励むのではなく、ドラゴン桜において阿部寛が学校再建のために進学成績をあげようと東大受験を生徒に促し、生徒も自分の道を自分で切り開こうと決意したような、ポジティブな姿勢で受験に望むのであれば、主人公一家をもっと応援しやすかったのになと思うのです。

最終的に志望校に受かるイメージが一切ない

 これが致命的と言えるのかもしれませんが、「下剋上受験」においては、娘(山田美紅羽)が最終的に受験で成功するイメージが一切ありません。

 上述のように、中堅校には受かるのかもしれませんが、トップの進学校に受かる気配が一切ないのです。

 塾で競争相手と切磋琢磨させることもなく、中学受験の経験もない父親が娘に指導するだけ。

 これで本当に桜蔭学園のようなところに入れるのであればそれはそれですごい話だとは思いますが、恐らくそんな都合のいいストーリーにはならないのでしょうね。

 有名講師を外部から引っ張ってきて、面白い授業でスポ根的に生徒に知識と技術を叩き込んでいったドラゴン桜では、「もしかしたら東大に受かるかも!」という期待を寄せながら見ることができ、ハラハラドキドキしながらその世界に引き込まれましたが、「下剋上受験」にはそういう魅力がないのです。

 「努力したけど結局は中堅校。まあそれでも、何もしなかったよりは得るものがあってよかったね」

 そんなエンディングが、はなから予想できるため、「下剋上受験」にはおもしろさがないのです。

 せめて主人公が男の子だったら、一時期話題になっていた「ビリギャル」が現実に慶応に合格したように、早慶くらいの適度(難しすぎず、それでいて知名度が髙井)な目標校もあったのでしょうけれどね・・・。

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  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2015/04/10
  • メディア: 文庫