民事訴訟法に引き続き、刑事訴訟法について、予備試験の択一終了後、急いでそれぞれの科目を仕上げるために有用だった基本書や参考書を紹介したいと思います。
刑事訴訟法の基本書
有斐閣アルマ
刑事訴訟法の基本書は、何がいいのか正直わかりません。いちおう手元に、有斐閣アルマを置いて、たまーに参照していましたが、欲しい情報を的確に入手できたかというと、微妙…。
川出先生の連載
川出先生が、警察官僚向けの雑誌である「警察学論集」で連載されていた記事をまとめたのがこちらの本。
私は川出先生の大ファンなので、通読しました。刑事訴訟法の学習者というよりは、警察行政担当者向けに書かれているため、多少勉強しにくいかもしれませんが、判例・通説の立場からの解説が手厚く、ロースクール生にとっても非常に有用なのではないかと思います。
惜しむらくは、「捜査・証拠篇」しかないこと。公判篇もあったら嬉しいのですが、警察学論集のバックナンバーを調べても、今のところ公判篇はないみたいです。でも、学習はまず捜査・証拠から始まりますから、この本から手を付けて、刑事訴訟法の魅力を知るのも充分アリだと思います。
刑事訴訟法の演習書
事例演習刑事訴訟法(古江先生)
司法試験受験生なら誰しもが持っている古江先生の演習書。
先生と生徒の対話形式で進んでいくため読みやすく、また、学生が誤解しやすいポイントも適宜取り上げて解説があるので、初学者にとっても非常に有用な本となっています。
正直、基本書を読む前にこの本を通読するのもありなのではないかと思います。実際私も、予備試験論文試験前の刑事訴訟法の学習は、この本を5回くらいリピートして読んでいました。
難しい部分もありますが、そういうところは読み飛ばして何回か読むと、いつの間にか全ての文章の意味が分かるようになると思います。
内容も網羅的なので、刑事訴訟法のポイントを満遍なく押さえるためにもオススメです。
その他で役に立ったもの
入門刑事手続法
学習を始める前に刑事訴訟法の全体像を知りたいという方は、同志社大学の三井先生らによる「入門刑事手続法」がオススメです。
学説や判例について詳しい解説があるわけではありませんが、判例についてコンパクトに言及しながら、実際の刑事手続の流れについてわかりやすく記述されています。
イメージとしては、潮見先生の「民法(全)」の刑事訴訟法版。
また、公判における手続の流れや公判前整理手続の流れ等についても、図を用いてわかりやすく記述されているため、裁判を傍聴する際に持っていくと役に立つと思います。