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シャトー・カロン・セギュール【ソムリエ(甲斐谷忍)第2巻20話】
前回は、シャブリの飲み比べを紹介しましたが、今回は、無理してでも恋人と一緒に飲みたいワインNo.1の「シャトー・カロン・セギュール」を御紹介します。
シャトー・カロン・セギュールが出てくるのは、「ソムリエ」第2巻第20話(ワインの時間)。
ソムリエ佐竹城が務めるレストランに、険悪の雰囲気の夫婦がやってきます。特に奥さんの方がカンカンに怒っていて、食事もワインも楽しめるような雰囲気ではない。そんな時に佐竹城が出したのが、シャトー・カロン・セギュールでした。
佐竹城は、ワインを出しながら、「このワインは香りが開くまでかなり時間がかかりますので抜栓したままお待ちください」と語ります。
待つこと数十分。カロン・セギュールの香りが開いている頃には夫婦もお互い冷静になって、相手に思いやりを持てるようになっていました。
なんていうのが今回のお話です。
シャトー・カロン・セギュールの特徴は何よりもラベルにあります。ボルドー左岸サンテステフの3級ワインですが、当時その畑を持っていたド・セギュール伯爵は、この畑の他にボルドー5大ワインのシャトー・ラフィットやシャトー・ラトゥールも持っていました。しかし、どのワインを最も愛しているかと尋ねられたセギュール伯爵は、「私の心はいつも「カロン」にある」と答えました。それに由来してラベルにハートマークを書くようになったのです。
ハートマークのラベルから、「ソムリエ」だけでなく、「ソムリエール」や「神の雫」においても、このワインは恋人に告白したり、夫婦の愛情を示すためのワインとして使われています。
まあでも、現実世界でこのワインを使って口説いてくる男性がいたら、女性はどう思うんでしょうね、というのがいつも気になるところです。あくまでカロン・セギュールはボルドーワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロー20%、カベルネフラン15%からできており、渋みの強いカベルネ・ソーヴィニヨンが主体のワインなわけです。時間をおいてどんなに香りが開いたとしても、果実味が強くて飲みやすいピノ・ノワールのワインとは違って、ワインを飲みなれていない人にはちょっとキツイワインなのかもしれません。
しかし、渋いと感じるワインでも笑顔で美味しいと言いながら男性の気遣いを受け止めてくれるような女性こそ、その男性が生涯をともにすべき女性なのかもしれませんね。もちろん、男性も相手の気遣いに気づいて、独りよがりにならないように気をつけなければなりません。
ちなみに、 カロン・セギュールを含むボルドー左岸の当たり年は、近いところだと2005年、2009年、2010年です。今なら2005年のカロン・セギュールがAmazonで手に入ります。長命で熟成すべきボルドーワインですが、10年も置いていればかなり飲みやすく、飲み頃になっています。
香りが固いワインを開くために、デキャンタージュ(デキャンタに移すこと)をする場合もありますが、大事な人とカロン・セギュールを飲む時は、そのラベルを眺め、会話をしながらワインが開くのを待ってもいいかもしれませんね。
このワインが高すぎてどうしても手が届かない方は、2013年からカロン・セギュールのセカンドワイン「ル・マルキ・ド・カロン・セギュール」がラベルにハートマークを描くようになり、手ごろな値段で手に入るので、そちらをオススメします。
「ソムリエ」は週刊少年ジャンプ公式アプリで無料で全巻試し読みできるので、ストーリーの中身を詳しく知りたい方はどうぞ。iPhoneの方はこちらから。