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3年でエリート公務員辞めた結果…

月間30万PV以上!元国家公務員(総合職・旧1種)による備忘録。通称「さんエリ」

民法

第1部 総則

第1章 民法総論

第2章 契約の主体

2-2 意思能力・行為能力

9条ただし書

※日用品の購入その他日常生活に関する行為については、成年被後見人本人も単独で法律行為をすることができ、その法律行為を取り消すことはできない

98条の2

※意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示をしった後は、この限りでない

☆ AがBから契約解除の意思表示を受けた時にAが成年被後見人であった場合、Aの成年後見人CがBの契約解除の意思表示を知るまで、当該契約解除の効力は生じない

97条2項 

※隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力は妨げられない

☆Aが隔地者に対し契約解除の通知を発した後、Aが行為能力を喪失した場合、Bがその事実を知っていたとしても、当該契約解除の効力は生じる 

525条

※97条2項の規定(隔地者に対する意思表示)は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。 

☆Aが隔地者Bに対し契約申込みの通知を発した後、Aが行為能力を喪失した場合、Bがその事実を知っていれば、当該契約申込みの効力は生じない

 

526条1項

※隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。

☆Aが隔地者Bに対し契約承諾の通知を発した後、Aが行為能力を喪失した場合、Bがその事実を知っていたとしても、当該契約は成立する

 

 

第3章 法人

第4章 権利の客体(物)

第5章 契約の成立

第6章 契約の有効性

最判昭44.5.27

・自ら仮装行為をした者が、かような外形を除去しない間に、善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入った場合においては、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、右仮装行為者としては、右第三者の登記の欠缺を主張して、当該物件変動の効果を否定することはできないものと解すべきである

・民法94条が、その1項において相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効としながら、その2項において右無効をもって善意の第三者に対抗することができない旨規定しているゆえんは、外形を信頼した者の権利を保護し、もって、取引の安全をはかることにあるから、この目的のためにかような外形を作り出した仮装行為者自身が、一般の取引における当事者に比して不利益を被ることのあるのは、当然の結果といわなければならない

最判昭55.9.11

※民法94条2項の「善意」かどうかの判定時期につき、判例は、第三者がその地位を取得したときである

最判昭42.4.20(百選Ⅰ26) 

※代理人が本人の利益のためでなく自己の利益を図るために代理権を濫用している場合、相手方が代理人の意思を知り、又はこれを知ることができた場合は、民法93条ただし書を類推適用して、相手方は、本人に対し代理の効果を主張することができない

☆Aの代理人であるBは、その代理権の範囲内でAを代理してCから1000万円を借り入れる旨の契約を締結したが、その契約締結の当時、Bは、Cから借り入れた金銭を着服する意図を有しており、実際に1000万円を着服した。この場合において、Cが、その契約締結の当時、Bの意図を知ることができたときは、Aは、Cに対し、その契約の効力が自己に及ばないことを主張することができる

最判昭40.9.10 

・表意者自身において、その意思表示に何らの瑕疵も認めず、錯誤を理由として意思表示の無効を主張する意思がないにもかかわらず、第三者において錯誤に基づく意思表示の無効を主張することは、原則として許されないと解すべきである

・民法95条の律意は瑕疵ある意思表示をした当事者を保護しようとするにある

☆相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合において、相手方がその事実を知っていたときには、その意思表示を取り消すことができるが、第三者が強迫を行った場合においては、相手方がその事実を知らなかったときでも、その意思表示を取り消すことができる

最判昭33.7.1

※脅迫による意思表示の取消しに必要な畏怖の程度は、表意者が完全に意思の自由を失ったことを要しない

☆相手方に欺罔された結果、法律行為の要素に錯誤が生じ、その錯誤により意思表示をした場合には、錯誤による意思表示の無効を主張することも、詐欺による意思表示の取消しをすることもできる

☆第三者の詐欺によって相手方に対する意思表示をした者は、相手方が第三者による詐欺の事実を知らなかった場合にも、その詐欺によって生じた錯誤が錯誤無効の要件を満たすときは、相手方に対し、その意思表示の無効を主張することができる

大判昭7.8.9

※詐欺によって連帯債務者の一人が代物弁済した場合の他の連帯債務者は96条3項にいう「第三者」に当たらない

☆連帯債務者の一人であるAが代物弁済をした後、その代物弁済を詐欺を理由として取消した場合、他の連帯債務者は、Aの代物弁済が詐欺によるものであることを知らなかったときであっても、債権者に対し、代物弁済による債務の消滅を主張することはできない

大判明38.5.11(百選Ⅰ5)

・禁治産宣告前の行為たりとも事実上意思能力を有せざりしときはその行為は無効

☆意思能力が欠けた状態で契約を締結した者は、後見開始の審判を受けていなくても、その契約の無効を主張することができる

☆被保佐人が、保佐人の同意を得て、自己の不動産につき第三者との間で売買契約を締結したときは、被保佐人がその売買契約の要素について錯誤に陥っており、かつ、そのことにつき重大な過失がない場合は、その契約の無効を主張することができる

☆被保佐人は、保証契約を締結する前にその行為をすることについて保佐人の同意を得た時でも、自己の判断でその保証契約の締結を取りやめることができる 

14条1項

・民法11条本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判を取り消さなければならない

☆被保佐人と契約を締結しようとする者が、家庭裁判所に対し、利害関係人として、被保佐人に充分な判断能力があることを理由に保佐開始の審判の取消しを請求することはできない

 

 

第7章 代理

117条2項

※無権代理人に対する責任追及の規定は、他人の代理人として解約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていた時、若しくは過失によって知らなかったとき又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない

※相手方に善意・無過失を要求している

☆無権代理行為の相手方は、代理人が代理権を有しないことを過失によって知らなかったときは、民法上のむけん代理人の責任を追及することができない

111条1項2号

※代理権の消滅事由として、代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたことを挙げている

☆代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたときは消滅する

☆代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたときは消滅する

106条

※法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる

107条1項

※復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する

107条2項

※復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う

※相手方の詐欺による取消権は本人に帰属する。代理人が本人の取消権を代理して行使することができるかどうかは、その代理人の代理権の範囲がこれを含むかどうかで決まる 

☆Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、Cとの間で甲土地の売買契約を締結する際に、Bの従業員Dに命じて甲土地の売買契約書に「Aの代理人B」という署名をさせた場合でも、AC間に売買契約の効力が生ずる

101条1項

※意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、脅迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする 

108条

※同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない 

☆Aの代理人として土地を購入する権限を与えられたBが、Cから甲土地を売却する権限を与えられてCの代理人にもなり、A及びCを代理してAC間の甲土地の売買契約を締結した場合、Bが双方代理であることをA及びCの双方にあらかじめ通知しただけでは、AC間に売買契約の効力は生じない

100条 

※代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のために示したものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条1項の規定を準用する

99条

・代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる(1項)

・1項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する

☆代理人に対して意思表示をした者が、本人に対する意思表示であることを示したときは、代理人において本人のために受領することを示さなくても、その意思表示は本人に対して効力を生ずる

 

7-3 代理権―本人と代理人との関係

105条2項

・代理人は、本人の氏名に従って復代理人を選任したときは、復代理人の選任及び監督についての責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない

 

 

7-7 無権代理(113条〜118条) 

☆本人に代わって弁済を受領する権限がない者が本人の有する債権について本人に代わって弁済を受領した後に、第三者が当該債権を差し押さえて転付命令を得た場合において、その後に本人がその弁済受領行為を追認したとしても、当該第三者は、転付命令により当該債権を取得することができる

最判平10.7.17

・本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない

・無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではない

☆本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合であっても、その後に無権代理人が本人を相続したときは、無権代理行為は有効になる

最判昭48.7.3

・民法117条による無権代理人の債務が相続の対象となることは明らかであって、このことは本人が無権代理人を相続した場合でも異ならないから、本人は相続により無権代理人の右債務を承継するのであり、本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあったからといって右債務を免れることはできないと解すべきである

☆無権代理人を相続した本人は、無権代理行為について追認を拒絶することができる地位にあったことを理由として、無権代理人の責任を免れることができない

大判大8.10.23

※民法113条2項は、「追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない」と規定しているが、本人が無権代理人に対してした追認は、本人と無権代理人との間においては効力を生ずる

最判平5.1.21

・無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において、無権代理行為を追認する権利は、その性質上相続人全員に不可分的に帰属するところ、無権代理行為の追認は、本人に対して効力を生じていなかった法律行為を本人に対する関係において有効なものにするという効果を生じさせるものであるから、共同相続人全員が共同してこれを行使しない限り、無権代理行為が有効となるものではない

☆無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において、他の共同相続人の一人が追認を拒絶したときは、無権代理行為は有効にならない 

116条本文

・追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる

 

 

 

7-8 表見代理

最判昭46.6.3

・登記申請行為が公法上の行為であることは原判示のとおりであるが、その行為は右のように私法上の契約に基づいてなされるものであり、その登記申請に基づいて登記がなされるときは契約上の債務の履行という私法上の効果を生ずるものであるから、その行為は同時に私法上の作用を有するものと認められる。そして、単なる公法上の行為についての代理権は民法110上の規定による表見代理の成立の要件たる基本代理権に当たらないと書いすべきであるとしても、その行為が特定の私法上の取引行為の一環としてなされたものであるときは、右規定の適用に関しても、その行為の私法上の作用を看過することはできないのであって、実態上登記義務を負う者がその登記申請行為を他人に委任して実印等をこれに交付したような場合に、その受任者の権限の外観に対する第三者の信頼を保護する必要があることは、委任者が一般の私法上の行為の代理権を与えた場合における床と成るところがないものといわなければならない

☆本人から登記申請を委任された者が、その権限を超えて、本人を代理して第三者と取引行為をした場合において、その登記申請の権限が本人の私法上の契約による義務を履行するために附与されたものであり、第三者が代理人に権限があると信ずべき正当な理由があるときは、委任された登記申請の権限を基本代理権とする表見代理が成立する

最判昭42.4.20

・代理人が自己又は第三者の利益をはかるため権限ないの行為をしたときは、相手方が代理人の右意図を知り又は知ることをうべかりし場合に限り、民法93上ただし書の規定を類推して、本人はその行為につき責めに任じないと解するを相当とするから……、原判決が確定した前記事実関係のもとにおいては、被上告会社に本件売買取引による代金支払の義務がないとした原判示は、正当

☆子が父から何らの代理権も与えられていないのに、父の代理人として相手方に対し父所有の不動産を売却した場合、相手方において、子に売買契約を締結する代理権があると信じ、そのように信じたことに正当な理由があるときは、表見代理が成立する

最判昭36.12.12

・約束手形が代理人によりその権限を愉悦して振り出された場合、民法110状によりこれを有効とするには、受取人が右代理人に振出の権限あるものと信ずべき政党の理由ある時に限るものであって、かかる事由のないときは、たとい、その後の手形所持人が、右代理人にかかる権限あるものと信ずべき政党の理由を有して居ったとしても、同条を適用して、右所持人に対し振出人をして手形上の責任を負担せしめ得ないものであることは、大審院判例……の示すところであって、いま、これを改める要はない

☆本人からその所有する不動産に抵当権を設定する代理権を与えられた者が、本人を代理して当該不動産を売却した場合、売買契約の相手方がその権限の逸脱の事実を知り、又はそれを知らないことについて過失があったときは、転得者が善意無過失であっても、表見代理は成立しない

最判昭44.12.18

・単に夫婦の日常の家事に関する法律行為の効果、とくにその責任のみについて規定しているにすぎないけれども、同乗は、その実質においては、さらに、右のような効果の生じる前提として、夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているものと解するのがそうとう

・夫婦の一方が右のような日常の家事に関する代理権の範囲を超えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権の存在を基礎として広く一般的に民法110上所定の表見代理の成立を肯定することは、夫婦の財産的独立をそこなうおそれがあって、相当でないから、夫婦の一方が他の一方に対しその他の何らかの代理権を授与していない以上、当該越権行為の相手方である第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、民法110条の趣旨を類推適用して、その第三者の保護をはかれば足りる

☆夫が、日常の家事の範囲を越えて、妻を代理して法律行為をした場合、相手方において、その行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき政党の理由があるときは、権限外の行為についての表見代理に関する規定の趣旨が類推され、妻は夫がした法律行為によって生じた債務について、連帯してその責任を負う

 

 

第8章 契約の効力発生時期―条件・期限・期間

8-1 条件・期限

131条2項

・条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする

☆条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合、その条件が解除条件であるときは無条件の法律行為となり、その条件が停止条件であるときは無効な法律行為となる

132条

・不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする

129条

・条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる

☆条件の付された権利は、その条件の存否が未定である間も、相続することができる 

140条

・日、週、月又は年によって木観を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その機関が午前零時から始まるときは、この限りでない

最判昭57.10.19

・民法724条所定の3年の時効期間は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から進行するが、右の時効期間の計算についても、同法138状により同法140条の適用があるから、損害及び加害者を知った時が午前0時でない限り、時効期間の初日はこれを算入すべきものではない

☆判例によれば、不法行為による損害の賠償を請求する債権の消滅時効の期間の計算については、被害者が損害及び加害者を知ったときが午前0時でない限り、初日は算入しない

大判明45.5.4

※期間を定めて契約履行の催告をすると同時に、その期間内に履行されないときは契約を解除する旨の意思表示をなした場合には、その期間の経過により契約の解除権が発生すると同時に、契約は解除されたものとする

☆契約の一方当事者に債務不履行があった場合において、催告期間内に履行しなければ契約を解除する旨の意思表示を他方当事者がしたときは、その催告期間内に履行がなければ、改めて解除の意思表示をしなくても、解除の効果は発生する

 

 

 

 

 

第9章 時効

9-3 取得時効

※取得時効の要件である、自主占有、平穏・公然、善意については推定される(186条1項)が、無過失については推定されない

☆外形的客観的に見て占有者が他人の所有権を排斥して専有する意思を有していなかったと解される事情を証明すれば、所有の意思を否定することができる

☆時効期間を計算する際には、その機関が午前零時から始まるときを除き、期日の初日は参入しない

大連判大14.7.8

※時効完成後に現れた第三者との関係では、二重譲渡されたのと類似の関係となることから、時効による不動産所有権の取得を第三者に対抗するためには登記が必要である

※自主占有と言えるためには、直接占有(自己占有)だけではなく、間接占有(代理占有)でも足りる

☆他人が所有する土地を自己所有の土地として第三者に賃貸した者は、善意無過失であれば10年間、それ以外であれば20年間、その第三者がその土地を占有すれば、取得時効によりその土地の所有権を取得することができる 

 

 

9-4 中断・停止

156条

※時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力があることを要しない

☆時効期間が経過する前に、被保佐人である債務者が保佐人の同意を得ることなくその債務を承認した場合、その債権の消滅時効は中断しない

☆時効期間が経過する前に、債権者が第三者に債権を譲渡し、債務者がその債権の譲渡について債権の譲受人に対し承諾をした場合、その債権の消滅時効は中断する

☆時効期間が経過する前に、債務者が債権者の代理人に対し支払猶予の申入れをした場合、その債権の消滅時効は中断する

最判平7.3.10

・他人の債務のために自己の所有物件につき根抵当権等を設定したいわゆる物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反し、許されないものと解するのが相当である

☆時効期間が経過する前に、債務者が債権者に対し債務の承認をした場合、被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を、その債権の物上保証人が否定することは許されない

 

 

9-5 時効の効果(援用・放棄)

最判昭48.12.14

☆抵当不動産の第三取得者は、その抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる

最判平11.10.21(百選Ⅰ41)

※高順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない

・先順位抵当権の被担保債権が消滅すると、後順位抵当権者の抵当権が上昇し、これによって被担保債権に対する配当額が増加することがありうるが、この配当額の増加に対する期待は、抵当権の順位の上昇によってもたらされる反射的な利益にすぎないというべきである。そうすると、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当するものではない

最判平10.6.22

・詐害行為の受益者は、詐害行為取消権行使の直接の相手方とされている上、これが行使されると債権者との間で詐害行為が取り消され、同行為によって得ていた利益を失う関係にあり、その半面、詐害行為取消権を行使する債権者の債権が消滅すれば右の利益喪失を免れることができる地位にあるから、右債権者の債権の消滅によって直接利益を受ける者に当たる

最判平11.2.26

※譲渡担保目的物の第三取得者は、清算金支払請求権の消滅時効を援用することができる

・第三者は、所有権に基づき、目的物を占有する譲渡担保権設定者に対してその引渡しを求めても、譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張したときには、無条件でその引渡しを受けることができず、また、留置権に基づく競売がされたときにはこれにより目的物の所有権を失うことがあるという制約を受けているが、清算金支払請求権が消滅することにより目的物の所有権についての右制約を免れることができる地位にあり、清算金支払請求権の消滅によって直接利益を受ける者に当たる

☆譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に譲渡担保の目的物を第三者に譲渡したときは、その第三者は譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対し有する清算金支払請求権の消滅時効を援用することができる

最判昭44.7.15

※敷地上の建物賃借人は、建物賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することができない

・上告人らは、本件係争土地の所有権を時効取得すべき者またはその承継人から、右土地上に同人らが所有する本件建物を賃借しているにすぎない

・取得時効の完成によって直接利益を受ける者ではない

 

 

 

 

 

第2部 物権

第10章 物権法序説 

 

 

 

 

第11章 物権変動

11-4 不動産物件変動における対抗要件主義

※強迫による取消しは、取消前に現れた善意の第三者にも対抗できる

※取消後の第三者には、民法177条により登記をしなければ対抗することができない

最判昭39.3.6

・本件不動産につき遺贈による移転登記のなされない間に、亡Bと法律上同一の地位にあるC(亡Bの相続人の1人)に対する強制執行として、Cの前記持ち分に対する強制競売申立が登記簿に記入された前記認定の事実関係のもとにおいては、競売中立をした被上告人は、前記Cの本件不動産持分に対する差押債権者として民法177条にいう第三者に該当し、受遺者は登記がなければ自己の所有権登記をもって被上告人に対抗できないものと解すべきであり、原判決認定のように競売申立記入登記後に遺言執行者が選任せられても、それは被上告人の前記第三者たる地位に影響を及ぼすものでないと解するのが相当である

・不動産の所有者が右不動産を他人に贈与しても、その旨の登記手続きをしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、所有者は全くの無権利者とはならないと解すべきところ……、遺贈は遺言によって受遺者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限とするものではあるが、意思表示によって物権変動の効果を生ずる点においては贈与と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じないものと解すべきである。そして、民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもって対抗要件としているところから見れば、遺贈をもってその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもって物権変動の対抗要件とするものと解すべきである

最判昭41.11.22

・事項による不動産所有権取得の有無を考察するにあたっては、単に当事者間のみならず第三者に対する関係も同時に考慮しなければならないのであって、この関係においては、結局当該不動産についていかなる時期に何人によって登記がなされたかが問題となるのである。そして、時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては事項による権利の取得を対抗することができないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもってこれに対抗することができるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであって……、これを変更すべき必要を認めない

☆AがB所有の乙土地を専有し、取得時効が完成した場合において、その取得時効が完成する前に、Cが乙土地をBから譲り受けると同時に乙土地の所有権移転登記をしたときは、Aは、Cに対し、乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができる

最判昭42.7.21

・時効取得者はその時効取得を登記なくして上告人(不動産の取得時効完成前に現所有者から所有権を取得し、時効完成後に移転登記を経由した者)に対抗できる筋合いであり、このことは上告人がその後所有権登記を経由することによって消長を来さないというべきである

☆AがB所有の乙土地を占有し、取得時効が完成した場合において、その取得時効が完成する前に、Cが乙土地をBから譲り受け、その取得時効の完成後にCが乙土地の所有権移転登記をしたときは、Aは、Cに対し、乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができる

最判昭25.12.19

※土地の譲受人が不法占拠者に対し、その土地所有権を対抗することに、登記は必要ではない

最判平8.10.29

・所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、丙が当該不動産を甲から二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、たとい丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができる

・(一)丙が背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないとされる場合であっても、乙は、丙が登記を経由した権利を乙に対抗することができないことの反面として、登記なくして所有権取得を丙に対抗することができるというにとどまり、甲丙間の売買自体の無効を来すものではなく、したがって、丁は無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならないのであって、また、(二)背信的悪意者が正当な利益を有する第三者に当たらないとして民法177上の「第三者」から排除される所以は、第一譲受人の売買等に遅れて不動産を取得し登記を経由した者が登記を経ていない第一譲受人に対してその登記の欠缺を主張することがその取得の経緯等に照らし信義則に反して許されないということにあるのであって、登記を経由した者がこの法理によって「第三者」から排除されるかどうかは、その者と第一譲受人との間で相対的に判断されるべき事柄である 

最判昭38.2.22(家族法百選73) 

・相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人中の乙ならびに乙から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者丙に対し、他の共同相続人甲は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである

・けだし乙の登記は甲の持分に関する限り無権利の登記であり、登記に公信力なき結果丙も甲の持分に関する限りその権利を取得するに由ないからである

☆Aは、A所有の甲土地をBに売却したが、AからBへの所有権移転登記をする前に死亡した。Aの法定相続人は、子C及び子Dの二人であり、その相続分は各2分の1であったが、遺産分割協議が調う前に、Cが勝手に甲土地について単独で相続した旨のAからCへの所有権移転登記をした上、甲土地をEに売却し、CからEへの所有権移転登記をした場合、Bは、Eに対し、2分の1の限度で甲土地の共有持分の取得を主張することができる

11-5 動産物権変動における対抗要件主義 

183条、200条

☆Aは、Bから動産甲を買い受け、占有改定の方法で引渡しを受けたが、その後、Bは動産甲をCに奪われてしまった。この場合、Aは、所有権に基づいてCに対して動産甲の返還を請求することができるのみでなく、Cに対して占有回収の訴えを起こすことができる

182条2項

・譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる

184条

・代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する

☆Aは、Bが第三者に寄託している動産甲をBから買い受け、自ら受寄者に対し、以後Aのために動産甲を占有することを命じ、受寄者がこれを承諾したときでも、Aは、動産甲の占有権を取得しない

☆Aは、Bに対する債権を担保するため、Bとの間で、B所有の動産甲に質権の設定を受けた。この場合、指図による占有移転により動産甲の引渡しを受けたのみで、質権の効力が生じる

 

 

 

 

 

11-7 公信の原則―動産物権変動における取引安全保護

192条

・取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する

☆未成年者との間で売買契約を締結して同人所有の動産を購入した者は、その後に当該売買契約が行為能力の制限を理由に取り消された場合に、売主が未成年であることについて善意無過失であったとしても、即時取得を理由としてその動産の所有権の取得を主張することはできない

☆Aは、Bから動産甲を買い受け、占有改定の方法で引渡しを受けたが、その後、Bは、動産甲をCにも売却し、現実に引き渡した。この場合、Cは、BのAに対する動産甲の売却について善意無過失でなければ、動産甲の所有権取得をAに対抗することができない

193条

※192条(即時取得)の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

※回復請求権者は、被害者又は遺失者であって、所有者に限らない。賃貸又は寄託された物が、盗まれたり遺失した場合には、賃借人も受寄者も回復請求することができる

※回復請求の相手方は、直截的善意取得者に限らず、直接的善意取得者以降の特定承継人も含まれる

194条

※占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない 

最判昭57.9.7

・指図による占有移転を受けることによって民法192条にいう占有を取得したものであるとした原審の判断は、正当として是認することができる

 

 

第12章 占有権

12-4 占有権の効力

196条1項

※占有者が占有物を変換する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する

☆占有者は、占有物について通常の必要費を支出した場合であっても、果実を取得したときには、回復者にその償還をさせることはできない

 

12-5 占有訴権

200条2項

・占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない

203条

・占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない

 

最判昭44.12.2

・203条はいわゆる犠牲的占有権(物権)を認めて占有者の保護を図ったもの

・203条本文によれば、占有権は占有者が占有物の所持を失うことによって消滅するのであり、ただ、占有者は、同条ただし書により、占有回収の訴えを提起して勝訴し、現実にその物の占有を回復したときは、右現実に占有しなかった間も占有を失わず占有が継続していたものと擬制される

☆留置権者が目的物の専有を奪われた場合、留置権者が占有回収の訴えを提起して勝訴し、現実の占有を回復すれば、留置権は消滅しない

 

 

 

 

第13章 所有権

最判平6.2.8(百選Ⅰ49)

・土地所有権に基づく物上請求権を行使して建物収去・土地明渡しを請求するには、現実に建物を所有することによってその土地を占拠し、土地所有権を侵害している者を相手方とすべきである

・他人の土地上の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由した場合には、たとい他に譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保有する限り、土地所有者に対し、右譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない

・建物は土地を離れては存立し得ず、建物の所有は必然的に土地の占有を伴うものであるから、土地所有者としては、地上建物の所有権の帰属につき重大な利害関係を有するのであって、土地所有者が建物譲渡人に対して所有権に基づき建物収去・土地明渡しを請求する場合の両者の関係は、土地所有者が地上建物の譲渡による所有権の喪失を否定してその帰属を争う点で、あたかも建物についての物権変動における対抗関係にも似た関係というべく、建物所有者は、自らの意思に基づいて自己所有の登記を経由し、これを保有する以上、右土地所有者との関係においては、建物所有権の喪失を主張できない

最判昭49.3.19

・被上告人は本件宅地につき所有権移転登記を経由したうえではじめて、上告人に対し本件宅地の所有権者であることを対抗でき、また、本件宅地の賃貸人たる地位を主張し得る

・本件宅地の賃借人としてその賃借地上に登記ある建物を所有する上告人は本件宅地の所有権の得喪につき利害関係を有する第三者であるから、民法177上の規定上、被上告人としては上告人に対し本件宅地の所有権の移転につきその登記を経由しなければこれを上告人に対抗することができない

☆Aがその所有する甲土地をBに賃貸し、Bが甲土地を自動車の駐車場として利用していたところ、甲土地の賃借権の登記がされない間に、AがCに対し甲土地を売却した場合において、CがAからの甲土地の所有権移転登記を経由していないときは、Bは、Cからの甲土地の明渡請求を拒むことができる

大判昭12.11.19

※所有権の円満なる状態が他より侵害せられたるときは所有権の効力としてその侵害の排除を請求しうるべきと共に所有権の効力として危険の防止を請求しうる

大判大5.6.23

※物権的請求権は、物権とは独立して消滅時効にかからない

13-2 所有権の効力―物権的請求権

大判大5.6.23

※所有権に基づく所有物の返還請求権は、所有権自体と同じく消滅時効によって消滅することはない

大判昭12.7.10

☆建物の賃貸借契約が終了した時、建物の所有者である賃貸人は、賃借人に対し、賃貸借契約の終了に基づいて建物の返還を求めることができるが、所有権に基づいて建物の返還を請求することもできる

大判昭13.1.28

※間接占有者である賃貸人に対しても、返還請求権を行使できる

☆Aは、B所有の土地に何らの権原なく建物を建て、この建物をCに賃貸した。この場合、建物を占有しているのはCであるが、Bは、Aに対して、建物を収去して土地を明け渡すことを請求することができる

最判平成10.3.24

・他の共有者は、各自の共有持分権に基づいて、右行為の全部の禁止を求めることができる

・共有者は、自己の共有持分権に基づいて、共有物全部につきその持分に応じた使用収益をすることができるのであって(249条)、自己の共有持分権に対する侵害がある場合には、それが他の共有者によると第三者によるとを問わず、単独で共有物全部についての妨害排除請求をすることができ、既存の侵害状態を排除するために必要かつ相当な作為又は不作為を相手方に求めることができると解されるところ、共有物に変更を加える行為は、共有物の性状を物理的に変更することにより、他の共有者の共有持分権を侵害するものにほかならず、他の共有者の同意を得ない限りこれをすることが許されない(251条)からである

☆畑として使用されてきた土地をA、B及びCが持分3分の1ずつで共有していたところ、第三者が、Aの承諾を得て、その土地を造成して宅地にしようとした。この場合、Cは、単独で、その第三者に対し、共有持分権に基づく物権的請求権の行使として、土地全体について造成行為の禁止を求めることができる

大判昭12.11.19(百選Ⅰ46)

※隣地の土砂が自己の所有地内に崩壊する危険があるため、隣地所有者に対し所有権に基づく妨害予防請求権を行使した事案において、危険の発生について隣地所有者の故意・過失の有無を問わない

☆AがBに対して所有権に基づく妨害排除請求権を行使するには、妨害状態が発生したことについてBに故意又は過失は必要ない

 

 

13-3 所有権の取得

246条1項

※他人の動産に工作を加えた者があるときは、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超える時は、加工者がその加工物の所有権を取得する。

☆他人の動産に工作を加えた物がある時の加工物の所有権について、加工前に所有者と加工者との間で民法の加工に関する規定と異なる合意をすれば、その合意の効力が生じる

243条前段

※所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する

 

244条

※付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有する

 

 

13-4 共同所有関係

最判昭51.97

☆AとBが各2分の1の割合で共有する甲土地について、Aは、甲土地の不法占拠者に対し単独で不法行為に基づく損害賠償を請求することができるが、Aの請求することができる損害賠償の額は、Aの持分割合に相当する額に限られる

AとBが各2分の1の割合で共有する甲土地について、AB間の合意により甲土地をAが単独で使用する旨を定めた場合、Aは、甲土地を単独で使用することができ、その使用による利益についてBに対し不当利得返還義務を負わない

最判平元.11.24(百選Ⅲ55)

※共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する

254条、253条1項

※各共有者は、その持ち分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。そして、共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる 

☆AとBが各2分の1の割合で共有する甲土地について、Aが甲土地の管理費用のうちBが負担すべき分を立て替えて支払った後、Bが甲土地の自己の持分をCに譲渡した場合、Aは、Cに対し、その立替金額の支払を請求することができる

最判平11.11.9

・境界の確定を求める訴えは、隣接する土地の一方又は双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴え、又は訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解される……。したがって、共有者が右の訴えを提起するには、本来、その全員が原告となって訴えを提起すべきであるということができる。しかし、共有者のうちに右の訴えを提起することに同様治しない者がいるときには、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と共に右の訴えを提起することに同調しない者を被告にして訴えを提起することができるものと解するのが相当である

☆共有地について筆界の確定を求める訴えを提起しようとする場合に、一部の共有者が訴えの提起に同調しないときは、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と訴えの提起に同調しない共有者とを被告として、上記訴えを提起することができる

最判平8.10.31(百選Ⅰ76)

・法は、裁判所の適切な裁量権の行使により共有者間の公平を保ちつつ、当該共有物の性質や共有状態の実状に合った妥当な分割が実現されることを期したものと考えられる。したがって、右の規定は、すべての場合にその分割方法を現物分割又は競売による分割のみに限定し、他の分割方法を一切否定した趣旨のものとは解されない

・共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、現物分割をするに当たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることができる……のみならず、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払い能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許される

最判昭38.4.19

※共有物を目的とする賃貸借契約の締結は、管理行為(252条本文)にあたり過半数の持分を有する共有者によって可能

 

最判昭39.2.25

・共有者が共有物を目的とする賃借契約を解除することは民法252条にいう「共有物の管理に関する時効」に該当し、右賃借契約の解除については544条1項の規定の適用が排除されると解すべき 

最判昭31.5.10

・ある不動産の共有権者の一人がその持分に基づき当該不動産につき登記簿上の所有名義者に対してその登記の抹消を求めることは、妨害排除の請求にほかならずいわゆる保存行為に属するものというべく、従って、共同相続人の一人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる

☆ABが所有する土地につき、Cが無権限で自己への所有権移転登記をした場合、Aは、単独で、Cに対し、抹消登記手続を請求することができる 

最判昭63.5.20

・第三者の占有使用を承認しなかった共有者は、共有者の地位部から共有物の占有使用することを許された第三者に対して当然には共有物の明渡を請求することはできないと解するのが相当である 

※限にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有する

☆ABが各2分の1の持分で甲土地を共有している場合に、Bは、AB間の協議に基づかずにAの承認を受けて甲土地を専有するCに対し、単独で、甲土地の明渡しを求めることはできない

 

 

 

第14章 用益物権

14-3 地役権

284条1項

☆土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する

 

 

 

第3部 債権の発生・効力

第15章 債権法序論

428条

※債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合において、数人の債権者があるときは、各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる

☆金銭債権は、当事者の意思表示によって、不可分債権とすることができる

大判大8.12.25

※持参債務の場合においては、債務者は債権者の住所において履行の提供をしなければ、給付をするのに必要な行為を完了したものとはいえない

※持参債務の場合において、債務者が債権者に目的物を発送したのみで給付をするのに必要な行為を完了したものとすると、民法484条の規定に反し債権者の不利益になる 

429条1項前段

※不可分債権者の1人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる

☆不可分債権者の1人が債務者に対して債務を免除した場合であっても、他の不可分債権者は、債務者に対し、債務の全部の履行を請求することができる

466条1項

☆生命又は身体が侵害されたことによって生じた不法行為に基づく損害賠償請求権は、第三者に譲渡することができる

406条

※債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する

 

 

第16章 債権の効力

16-2 債務不履行

419条1項ただし書

※約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による

☆消費貸借の約定利率が法定利率を超える場合、借主が返済を遅滞したときにおける損害賠償の学派、約定利率により計算される額であり、貸主は、約定利率により計算される額を超える損害が生じていることを立証しても、その賠償を借主に請求することはできない

最判昭41.6.24

・家屋の賃借人が賃貸借契約の終了後もその家屋を賃貸人に変換しない場合、賃貸人は債務不履行に基づく損害賠償請求(415条)をすることができるが、この場合における「損害額」は、「当該土地を他に賃貸することにより通常得べかりし賃料相当額」である

最判平21.1.19(百選Ⅱ6)

・事業用店舗の賃借人が、賃貸人の債務不履行により当該店舗で営業することができなくなった場合には、これにより賃借人に生じた営業利益の損失の損害は、債務不履行により通常生ずべき損害として民法416条により賃貸人にその賠償を求めることができると解するのが相当である

・民法416条1項にいう通常生ずべき損害の解釈上、本件において、被上告人が上記措置を執ることができたと解される時期以降における上記営業利益相当の損害のすべてについてその賠償を上告人らに請求することはできないというべきである

・被上告人がカラオケ店の営業を別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を何ら執ることなく、本件店舗部分における営業利益相当の損害が発生するにまかせて、その損害のすべてについての賠償を上告人らに請求することは、条理上認められない

☆営業用店舗の賃貸人が修繕義務の履行を怠ったために賃借人がその店舗で営業をすることができなかった場合、賃借人は、これにより生じた営業利益の喪失による損害の賠償を、債務不履行により通常生ずべき損害として請求することができるが、賃借人が営業をその店舗とは別の場所で再開するなどの損害を回避又は現象させる措置を何ら執らなかったときは、そのような措置を執ることができた時期以降に生じた損害の全ての賠償を請求することはできない

421条

☆当事者が損害賠償の方法について金銭以外の物による旨の合意をすれば、その効力が認められる

民事執行法173条1項

※代金支払債務については間接強制の方法によることはできない

☆賃貸人が賃借人に対して賃貸建物を引き渡さないとき、賃借人は、賃貸人に対し、遅延の期間に応じ、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を自己に支払うべき旨を裁判所に請求することができる

 

 

 

第17章 契約総論

17-3-1 履行上の牽連性―同時履行の抗弁権(533条)

最判昭47.9.7

・右売買契約は、Cの詐欺を理由とする上告人の取消の意思表示により有効に取り消されたのであるから、上告人、被上告人の右各義務は、民法533条の類推適用により同時履行の関係にあると解すべきであって、被上告人は、上告人から100万円の支払を受けるのと引き換えに右各登記手続をなすべき義務があるとした原審の判断は、正当としてこれを是認することができる

468条2項

※譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた自由をもって譲受人に対抗することができる

468条1項前段

※異議をとどめないで承諾をした場合は譲渡人に対抗することができた事由であっても、これをもって譲受人に対抗することができない 

大判昭13.3.1

※同時履行の抗弁権が付着している債権を自働債権とする相殺は、一方的な意思表示により相手の抗弁権を消滅させることになるため認められず、相殺をするためには、理工の提供をすることにより相手の同時履行の抗弁権を消滅させていることを必要とする

大判明44.12.11

※同時履行の抗弁権が認められる場合につき引き換え給付判決をする 

最判昭29.7.27

・本件においては、売買の残代金支払と所有権移転登記、建物明渡並びに動産引渡とは同時履行の関係にあるものと言うべきであり、反対給付の提供なき上告人の右残代金支払の催告は被上告人を遅滞に陥らしあるに足らず、従ってこの催告に基づく解除は効力を生じえないものである

17-7 有償契約の問題(担保責任)

562条1項

※売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる

☆他人の土地の売買において、売主がその土地を取得して買主に移転することができない場合であっても、契約の時に売主がその土地が自己に属しないことを知らなかったときは、売主は、契約の解除をすることができる

565条、563条1項

※物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその滅失を知らなかったときは、買主は、その滅失していた部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる

☆売買の目的物である建物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその滅失を知らなかったときは、買主は、その滅失していた部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる

最判平13.11.27

・数量指示売買において数量が超過する場合に、565上の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である

・同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎない

・数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認めうる時に売主が追加代金を請求しうることはいうまでもない

☆判例によれば、数量を支持してした土地の売買において数量が超過する場合には、売主は、数量が不足する場合の代金の減額に関する民法の規定の類推適用はできず、代金の増額を請求することはできない

566条

※売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が損しなかった場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は契約の解除をすることができる(2項、1項) 。

※この場合において、契約の解除は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない(3項)

☆売買の目的物である土地のために存すると称した地役権が損しなかった場合における買主の契約の解除は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない

568条1項、566条

・強制競売における買受人は、561条から567条までの規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる(568条1項)

 ☆強制競売の目的物である土地が留置権の目的物である場合において、買受人は、そのことを知らず、かつ、そのために買受けをした目的を達することができないときであっても、契約の解除をすることができない

 

 

第18章 債権債務の移転

467条1項、2項

※債権譲渡における債務者対抗要件は譲渡人からの通知又は債務者の承諾である(1項)

※債権譲渡における第三者対抗要件は確定日付ある譲渡人からの通知又は債務者の承諾である(2項)

大連判大8.3.28

※確定日付のない通知を受けた第一譲受人は、確定日付のある通知を受けた債務者に対し自らが債権者であることを対抗できない

※第一譲受人が債務者との関係においては債権者であるが、第三者に対する関係では債権者ではないとすることが奇観を呈すること、第一譲受人が弁済を受けた後、これを飛翔して無視力となってしまった場合に、確定日付を備えた第二譲受人の救済手段がないこと 

最判昭49.3.7(百選Ⅱ30)

※債権の二重譲渡があった場合、譲受人相互の優劣は、確定日付ある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある承諾の日時の先後によって決する

 

最判昭55.1.11

※確定日付ある通知が債務者に同時に到達した場合、各譲受人はさいmすはに対し譲り受け債権の全額を請求することができ、債務者は単に同順位の譲受人が他に存在することを理由として弁済を拒むことはできない

 

 

第19章 債権の消滅

19-2 弁済(474条以下)

最判昭37.8.21(百選Ⅱ35)

※受領権限一般への信頼の保護という趣旨から、債権者の代理人と称する者(訴訟代理人)への弁済についても、478条(債権の準占有者に対する弁済)の適用がある

最判昭48.3.27

※預金証書等の所持人にその預金債権と相殺する予定で貸付を行った場合にも、478条(債権の準占有者に対する弁済)の適用がある

☆AがB銀行に対する定期預金債権を有していたところ、Cが、Aと称して、B銀行に対し、その定期預金債権を担保とした貸付けの申込をし、B銀行は、CをAと誤信したため貸付に応じた。その後、貸付金債権の履行期に弁済がなかったため、B銀行がその貸付金債権を自働債権としてその定期預金債権と相殺をした場合において、貸付けの際に、金融機関として負担すべき相当の注意義務を尽くしていたときは、B銀行は、その相殺をもってAに対抗することができる

※債務者の弁済が、債権の準占有者に対する弁済として有効になる場合、真の債権者は、弁済を受領した債権の準占有者に対して、不当利得返還請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることができる 

※取立債務等、債務の履行についてまず債権者の協力を必要とする場合には、債権者が取立等、必要な協力をしなければ、確定期限が到来したとしても、遅滞とはならない

最判昭49.3.7(百選Ⅱ30)

・債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の間の優劣は、通知又は承諾に付された確定日付の先後によって定めるべきではなく、確定日付のある通知が債務者に到達した日時又は確定日付のある債務者の承諾の日時の先後によって決すべきである

最判昭61.4.11

・二重に譲渡された指名債権の債務者が、民法467条2項所定の対抗要件を具備した他の譲受人……よりのちにこれを具備した譲受人…… に対してした弁済についても、同法478上の規定の適用が有るものと解すべきである

・債務者において、劣後譲受人が申請の債権者であると信じてした弁済につき過失がなかったというためには、優先譲受人の債権譲受行為又は対抗要件に瑕疵があるためその効力を生じないと誤信してもやむを得ない事情があるなど劣後譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当な理由があることが必要である

最判昭63.7.1(百選Ⅱ34)

※借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有すると解するのが相当である

☆判例によれば、土地の賃借人がその土地上の建物を賃貸している場合において、建物の賃借人は、その土地の賃料について、土地の賃借人の意思に反しても弁済をすることができる

496条

・債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣言した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り消すことができる(1項前段)

・前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない(2項)

☆弁済の目的物が供託されたことによって抵当権が消滅した場合には、その供託をした者は、債権者が供託を受諾する前であっても、供託物を取り戻すことができない

☆弁済者が弁済による代位により取得した原債権を行使して訴訟においてその給付を請求するためには、原債権の発生原因事実のほか、求償権の発生原因事実も主張立証しなければならない

最判昭60.1.22

・代位弁済した保証人は、当該担保権が根抵当権の場合においては、501条本文の規定により債権者が債務者又は物上保証人に対し有していた根抵当権を行使することができるが、弁済による代位があっても、右根抵当権の被担保債権が保証人の債務者に対する求償権に変更されるものではなく、右根抵当権は従来通り原債権を担保することに変わりはないから、担保不動産の競売手続において保証人が優先弁済を受けるのは、右の原債権であって、債務者に対する求償権ではない

☆弁済による代位が生じた場合、弁済者が代位により取得する担保権の被担保債権は、求償権ではなく原債権である

438条

・連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済したものとみなす

☆連帯債務者の一人がその連帯債務に係る債権を相続により取得し、当該債権が混同によって消滅した場合、その者は、他の連帯債務者に対して有する求償権の範囲内で、代位により連帯債務に係る債権を取得する

500条

※弁済をなすについて、「正当な利益を有する者」は、弁済によって当然に債権者に代位することができる

☆物上保証人が抵当権の実行を受けた場合、債権者の承諾がなくても債権者に代位することができる

最判昭60.2.12

・主たる債務者から委託を受けて保証をした保証人が、弁済その他自己の出捐をもって主たる債務を消滅させるべき行為……をしたことにより、民法459条1項後段の規定に基づく主たる債務者に対して取得する求償権……は、免責行為をしたときに発生し、かつ、その行使が可能となるものであるから、その消滅時効は、委託を受けた保証人が免責行為をした時から進行するものと解すべき

・事前求償権は事後求償権とその発生要件を異にするものであることは前示のところから明らかであるうえ、事前求償権については、事後求償権については認められない抗弁が付着し、また、消滅原因が規定されている(461条参照)ことに照らすと、両者は別個の権利であり、その法的性質も異なるものというべきであり、したがって、委託を受けた保証人が、事前求償権を取得しこれを行使することができたからといって、事後求償権を取得しこれを行使しうることとなるとはいえない

☆弁済者が弁済による代位により取得した原債権と求償権とは別個に消滅時効にかかる

 

 

 

 

 

 

 

 

19-4 相殺(505条以下)

511条

※支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない

最判昭32.3.8

☆賃貸にが賃料の不払いを理由として賃貸借契約を解除した後、賃借人が解除後に存在を知った賃貸人に対する債権と賃料債務を相殺により消滅させたとしても、賃貸借契約の解除の効力には影響がない

506条1項後段

・この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない

※相殺の意思表示には、条件を付することができない(506条1項後段)が、合意に基づく相殺においては、将来、一定の事由が生じた時に、当然に相殺の効力が生じることにする合意(停止条件付き相殺契約)が認められている

 

最判昭42.11.30

・民法509条は……不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権とし不法行為による損害賠償債権以外の債権を受働債権として相殺をすることまでも禁止する趣旨ではないと解するのを相当とする

・民法509条は、不法行為の被害者をして現実の弁済により損害の店舗をうけしめるとともに、不法行為の誘発を防止することを目的とするものである

☆債権が不法行為によって生じたときは、その債権者は、その債権を自働債権として相殺することができる

最判昭53.9.21

※請負人の注文者に対する報酬金債権と注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権とは、相殺することができる

・請負契約における注文者の工事代金支払い義務と請負人の目的物引渡義務とは対価的牽連関係に立つものであり、瑕疵ある目的物の引渡しを受けた注文者が請負人に対し取得する瑕疵修補に代わる損害賠償請求権は、右法律関係を前提とするもので、実質的・経済的には、請負代金を減額し、請負契約の当事者が相互に負う義務につきその間に透過関係をもたらす機能を有するのであって……しかも、請負人の注文者に対する工事代金債権と注文者の請負人に対する瑕疵修補に代わる損害賠償債権は、ともに同一の原因関係に基づく金銭債権である。以上のような実質関係に着目すると、右量債権は同時履行の関係にあるとはいえ、相互に現実の履行をさせなければならない特別の利益があるものとは認められず、両債権のあいだで相殺を認めても、相手方に対し抗弁権の喪失による不利益を与えることにはならないものと解される。むしろ、このような場合には、相殺により精算的調整を図ることが当事者双方の便宜と公平にかない、法律関係を勘弁ならしめるゆえんでもある 

最判昭32.2.22

※催告並びに検索の抗弁権の付着する保証契約上の債権を自働債権として相殺することをみとめるときは、相殺者一方の意思表示をもって、相手方の抗弁権行使の機会を喪失せしめる結果を生ずるのであるから、かかる相殺はこれを許さないものとした原判決の判断は正当である

☆判例によれば、債権者が保証人に対して有する保証契約上の債権を自働債権とする相殺は、保証人が検索の抗弁を有するときは、双方の債務が弁済期にあったとしても、することができない

19-6 免除(519条)

519条

・債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する

☆債権者は、債務者の承諾がなくても、その債務を免除することができる

 

 

 

第20章 契約各論

20-1 贈与

549条

※贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによってその効力を生ずる。

☆贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによってその効力を生ずるから、贈与を受ける者が贈与の申込みをし、相手方がこれを承諾すれば贈与の効力が生ずる

20-2 売買

572条

※売主は、560条から571条までの規定による担保の責任を追わない旨の特約としたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない

☆売買契約において瑕疵担保責任を免除する特約がある場合であっても、その当時売買の目的物について瑕疵があることを売主が知りながらその瑕疵があることを告げなかったときには、売主は瑕疵担保責任を免れない

大判昭2.12.27

※574条(売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは、その引渡しの場所において支払わなければならない)の規定は既に売買の目的物の引渡しを了した後においては適用がない。買主は売主の現在の住所において代金を支払うべきことになる

大判昭7.3.3

※代金の支払を受けながらも引き渡すべき目的物を引き渡さず占有している売主は、その目的物より生じる果実を取得することはできない

☆売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、引渡しまでは、これを使用し果実を取得することができるが、買主が代金を支払った後は、果実を取得することはできない

577条1項本文、2項

☆買主は、買い受けた不動産について抵当権、先取特権又は質権の登記があるときは、買主は、抵当権等の消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができる

最判平6.3.22

・民法557条1項により売主が手付の倍額を償還して契約の解除をするためには、手付の「倍額を償還して」とする同条項の文言からしても、また、買主が同条項によって手付を放棄して契約の解除をする場合との均衡からしても、単に口頭により手付の倍バクを償還する旨を告げその受領を催告するのみでは足りず、買主に現実の提供をすることを要するものというべきである

最判昭47.3.9

・賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、その売主は買主に対し建物の所有権とともにその敷地の賃借権をも譲渡したものと解すべきであり、そして、それに伴い、……特別の事情のない限り、建物の売主は買主に対しその敷地の賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものとすべきである

・建物の所有権は、その敷地の利用権を伴わなければ、その効力を全うすることができないものであるから、賃借地上にある建物の所有権が譲渡された場合には、特別の事情のないかぎり、それと同時にその敷地の賃借権も譲渡されたものと推定するのが相当であるし、また、賃借権の譲渡は賃貸人の承諾を得なければ賃貸人に対抗することができないのが原則であるから、建物の所有権とともにその敷地の賃借権を譲渡する契約を締結した者が右賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得ることは、その者の右譲渡契約にもとづく当然の義務であると解するのが合理的である

☆賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合、売主は、その建物の敷地を目的とする賃借権の譲渡につき賃貸人の承諾を得て、敷地の賃借権を買主に移転する義務を負う

 

 

20-5 使用貸借(593条)

595条1項、608条1項

※使用貸借において、借主は、借用物の通常の必要費を負担する

※これに対し、賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる

594条1項、616条

※使用貸借の借主及び賃貸借の借主は、契約又はその目的物の声質によって定まった用法に従いその者の仕様及び収益をしなければならない

599条

※使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う

※使用貸借は、貸主の死亡によってはその効力を失わない

※賃貸借においても貸主が死亡した場合、契約は当然に終了しない

598条、616条

※使用貸借の借主及び賃貸借の借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる

 

 

20-6 賃貸借

最判昭50.4.25

・所有権ないし賃貸権限を有しない者から不動産を賃借した者は、その不動産につき権利を有する者から右権利を主張され不動産の明渡を求められた場合には、賃借不動産を使用収益する権原を主張することができなくなるおそれが生じたものとして、559条で準用する576条により、右明渡請求を受けた以後は、賃貸人に対する賃料の支払いを拒絶することができる

☆判例によれば、AがB所有の甲建物を賃貸権限を有しないCから賃借している場合において、BがAに甲建物の明渡を求めたときは、Aは、甲建物を使用収益することができなくなるおそれが生じたものとして、Cに対し、それ以降の賃料の支払を拒絶することができる

613条1項前段

※転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う

※賃貸人は、転借人に対し、原則として、賃借物を使用収益させる義務を負わず、賃貸物の修繕義務も負わない

615条

※賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない

☆賃借人は、賃貸借の目的建物が修繕を要する状態になった場合、賃貸人が既にこれを知っているときを除き、目的建物が修繕を要する旨を遅滞なく賃貸人に通知しなければならない

606条2項

※賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない

608条1項

※賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる

☆賃借人は、賃貸借の目的建物の保存のために必要な費用を支出した場合、賃貸借が終了する前であっても、直ちにその費用の償還を賃貸人に請求することができる

608条2項

※賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、民法196条2項の規定に従い、その償還をしなければならない

☆賃借人は、賃貸借の目的建物の改良のために工事費用を支出した場合において、その価格の増加が現存するときは、その工事について賃貸人から了解を得ていないときであっても、賃貸人の選択に従い、その支出した費用の額又は目的建物の増加額について、賃貸借の終了時にその償還を賃貸人に請求することができる

借地借家法26条2項

※建物の賃貸借について期間の定めが有る場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知をした場合(借地借家法26条1項)であっても、建物の賃貸借の機関が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす

大判昭9.3.7

※賃貸人と賃借人との間との合意をもって転貸借を消滅させる理由のないことは信義の原則よりしても当然

☆土地の賃借人が賃貸人の承諾を得て当該土地を転貸したときは、原賃貸借の賃貸人と賃借人との間で原賃貸借を合意解除しても、これをもって転借人に対抗することができない

最判昭36.12.21

最判平9.2.25(百選Ⅱ62) 

※賃借人の債務不履行によって賃貸借が解除されると、転貸借はその根拠を失うので終了する。このときには、賃借人と転借人との契約の効力が当然に消滅するわけではないが、賃貸借の解除によって転貸人の義務が履行不能となるので、転貸借は終了する

※終了の時期は賃貸人が転借人に返還を請求したときである

☆建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て当該建物を転貸した場合において、原賃貸借が賃借人(転貸人)の賃料不払を理由とする解除により終了したときは、転貸借は、原賃貸借の賃貸人が転借人に対して当該建物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する

借地借家法19条

※地主に不利となるおそれがないにもかかわらず、地主が借地権の譲渡・転貸を承諾しないときは、借地権者は、地主の承諾に代わる許可を裁判所に求めることができる

☆建物所有を目的とする土地賃貸借の賃借人がその土地上に建築した建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が土地の転借をしても原賃貸借の賃貸人に不利となるおそれがないにもかかわらず、当該賃貸人がその転貸を承諾しないときは、裁判所は、原賃貸借の賃借人の申立てにより、承諾に代わる許可を与えることができる

大判昭8.12.11

※宅地の賃借人が借地の上に所有する建物を第三者に賃貸し、その借地をこれに使用させても、借地を転貸したことにはならない

☆建物所有を目的とする土地賃貸借の賃借人が、当該土地状に建物を建築士、土地の賃貸人の承諾なくして当該建物を第三者に賃貸し、使用収益させることは、土地の無断転貸に該当しない 

最判昭62.10.8

※賃貸土地の無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除権は、その消滅時効については、債権に準ずるものとして民法167条1項が適用され、その権利を行使することができる時から10年を経過したときは時効によって消滅する

・賃貸土地の無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除権は、賃借人の無断転貸という契約義務違反事由の発生を原因として、賃借人を相手方とする賃貸人の一方的な意思表示により賃貸借契約関係を終了させることができる形成権である

・消滅時効は、右使用収益開始時から進行する

・右解除権は、転借人が、賃借人(転貸人)との間で締結した転貸借契約に基づき、当該土地について使用収益を開始した時から、その権利行使が可能となったものとうことができる

☆無断転貸を理由とする解除権は、転貸借契約に基づき転借人が使用収益を開始した時から10年を経過したときは、時効によって消滅する

 

 

 

20-8 請負(632条)

634条1項本文

※同項本文における「瑕疵」は、売買契約における瑕疵担保責任の規定とは異なって、「隠れた」瑕疵であることが明文条要求されていない

☆仕事の目的物の引渡しを要する場合において、その引渡しのときに目的物の瑕疵が明らかであったときでも、請負人は瑕疵担保責任を負う

634条2項前段

※注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる

☆仕事の目的物に瑕疵がある場合、注文者は、その瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる

636条

※前2条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない

☆仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた場合、請負人は、その材料又は指図が不適当であることを知りながら注文者に告げなかったときを除き、瑕疵担保責任を負わない

635条

※仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない

☆仕事の目的物に瑕疵がある場合において、その瑕疵を修補することが不能であるときでも、注文者は、請負契約を解除することができない

637条2項

☆仕事の目的物の引渡しを要しない場合、請負人の瑕疵担保責任の存続期間は、その仕事が終了した時から起算する

 

 

 

 

20-9 委任(643条)

651条1項

・委任は、各当事者がいつまでもその解除をすることができる

 

652条、620条

※委任の解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる

643条

※委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

最判昭47.12.22 

・委任者は、受任者が……650条2項前段の規定に基づき委任者をして受任者に代わって第三者に弁済をなさしめうる権利を受働債権とし、委任者が受任者に対して有する金銭債権を自働債権として相殺することはできない

※代弁済請求権が受任者の負担した債務の免脱を請求するものであり自己に対して一定金額の支払を請求する権利ではないという性質を有するため、代弁済請求権が通常の金銭債権とは異なる目的を有し相殺の「同種の目的」の要件を欠く

☆受任者がその委任事務処理の必要上負担した債務を委任者に対し受任者に変わって弁済することを請求する権利については、委任者がこれを受働債権として相殺することはできない

653条1号

※委任は、委任者又は受任者の死亡によって終了する

655条

・委任の終了事由は、これを相手方に通知した時、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない

☆委任者が死亡した場合でも、委任者の相続人がこれを受任者に通知せず、かつ、受任者が委任者の死亡を知らなかったときは、委任者の相続人は、委任者の死亡による委任の終了を受任者に対抗することができない

 

 

648条

※受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない(1項)

・委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる(3項)

☆報酬を支払う旨の特約がある場合において、委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる

645条

☆受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告しなければならない

650条2項前段

・受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求をすることができる(代弁済請求権)

 

 

 

 

20-10 寄託(657条)

666条2項

※消費寄託契約において、返還の時期を定めなかったときは、寄託者は、いつでも返還を請求することができる

☆返還時期の定めのない消費寄託において、寄託者が返還を請求するには、相当の期間を定めて催告をすることは必要ない

657条

・寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる

※有償寄託でも無償寄託でも要物契約

662条

・当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる

☆返還時期の定めがある寄託においても、寄託者は、いつでも目的物の返還を請求することができる

商法593条

※商人がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けない場合であっても善良なる管理者の注意をなすことを要する

☆商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、無報酬のときであっても、善良な管理者の注意をもって寄託物を保管する義務を負う

661条ただし書

・寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない

☆寄託者は、原則として寄託物の瑕疵によって受寄者に生じた損害を賠償する義務を負うが、過失なくその瑕疵を知らなかったときは免責される

 

 

 

20-11 組合(667条)

669条

☆金銭を出資の目的とした場合、組合員がその出資をすることを怠ったときは、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない 

672条

※組合契約で1人又は数人の組合員に業務の執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができる

☆業務執行組合員については、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の全員の一致によって解任することができる

673条

☆各組合員は、組合の業務を執行する権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる

678条2項

・組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる

683条

・やむを得ない事由があるときは、各組合員は、組合の解散を請求することができる 

681条2項

☆脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる  

 

 

 

 

 

第21章 事務管理

21-1 事務管理(697条)

702条2項、650条2項

※事務管理者は、本人のために有益な債務を負担した場合には、本人に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる

☆義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、本人のために有益な債務を負担した場合において、その債務が弁済期にあるときは、本人に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる

☆事務管理によって管理者が本人のために有益な債務を負担した場合には、管理者は、自己に代わってその弁済をすることを本人に対して請求することができる

最判昭36.11.30

・事務管理者が本人の名で第三者との間に法律行為をしても、その行為の効果は、当然には本人に及ぶ筋合のものではない

・事務管理は、事務管理者と本人との間の法律関係を謂うのであって、管理者が第三者と為した法律行為の効果が本人に及ぶ関係は事務管理関係の問題ではない

☆事務管理の管理者が本人の名でした法律行為の効果は、直接に本人に帰属しない 

702条3項

・管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみその費用の償還を請求できる

☆事務管理が本人の意思に反してされた場合には、本人のために有益な費用を支出した管理者は、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、費用の償還を受けることができる

※事務管理者は、報酬の有無にかかわらず、原則として善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う

698条

・管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない 

☆本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした管理者は、これによって本人に損害を与えたときであっても、悪意又は重大な過失がなければ損害賠償の責任を負わない

 

 

第22章 不当利得

第23章 不法行為

最判平13.3.13(百選Ⅱ95)

・本件交通事故における運転行為と本件医療事故における医療行為とは民法719条所定の共同不法行為に当たるから、各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯して責任を負うべきものである。本件のようにそれぞれ独立して成立する複数の不法行為が順次競合した共同不法行為においても別異に解する理由はないから、被害者との関係においては、各不法行為者の結果発生に対する寄与の割合をもって被害者の被った損害の額を按分し、各不法行為者において責任を負うべき損害額を限定することは許されない

・共同不法行為によって被害者の被った損害は、各不法行為者の行為のいずれとの関係でも相当因果関係に立つものとして、各不法行為者はその全額を負担すべきものであり、各不法行為者が賠償すべき損害額を按分、限定することは連体関係を免除することとなり、共同不法行為者のいずれからも全額の損害賠償を受けられるとしている民法719条の明文に反し、これにより被害者保護を図る同条の趣旨を没却することとなり、損害の負担について公平の理念に反することとなる

717条1項

※土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、諸湯者がその損害を賠償しなければならない

☆土地の工作物の設置又は保存に歌詞があることによってAに損害が生じた場合において、その工作物の占有者であるBが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その工作物の所有者であるCが、Aに対し、その損害を賠償する責任を負う。

最判平15.7.11

・複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する1つの交通事故において、その交通事故の原因となったすべての過失の割合を認定することができるときには、絶対的過失割合に基づく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について、加害者らは連帯して共同不法行為に基づく賠償責任を負う

・各加害者と被害者との関係ごとにそのあいだの過失の割合に応じて相対的に過失相殺をすることは、被害者が共同不法行為者のいずれからも全額の損害賠償を受けられるとすることによって被害者保護を図ろうとする民法719条の趣旨に反することになる

☆複数の加害者であるABの過失と被害者Cの過失が競合する1つの交通事故において、その交通事故の原因となった全ての過失の割合を認定することができ、A、B及びCの過失割合が順次5:3:2である場合には、ABは、Cに対し、連帯して、その損害の8割に相当する額を賠償する責任を負う

最判昭34.11.26

・民法722条にいわゆる過失とは単に被害者本人の過失のみでなく、ひろく被害者側の過失をも包含する趣旨と解するを相当とする 

 

 

第4部 債権の履行確保

第24章 責任財産の保全

24-1 債権者代位権

最判昭58.10.6

・具体的な金額の慰謝料請求権が当事者間において客観的に確定したときは……債権者代位の目的とすることができる

☆名誉侵害を理由とする慰謝料請求権は、具体的な金額が当事者間において客観的に確定したときは、債権者代位権の目的となる

423条1項

※債権者は、自己の債権を保全するため、債権者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一新に専属する権利は、この限りではない

※夫婦間の取消権は一身専属権にあたる 

☆夫婦間の契約取消権(754条)は、夫婦の一方の債権者による債権者代位権の目的とならない

※認知請求権は一身専属権にあたる

☆認知請求権は、認知されていない子の債権者による債権者代位権の目的とならない

☆詐欺による取消権は、債権者代位権の目的となる

最判平13.11.22(百選Ⅲ92)

・遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない

・遺留分制度は、被相続人の財産処分の事由と身分関係を背景とした相続人の諸利益との調整を図るものである。民法は、被相続人の財産処分の自由を尊重して、遺留分を侵害する遺言について、いったんその意思どおりの効果を生じさせるものとした上、これを覆して侵害された遺留分を回復するかどうかを、専ら遺留分権利者の自律的決定にゆだねたものということができる。そうすると、遺留分減殺請求権は、前記特段の事情がある場合を除き、格子状の一身専属製を有すると解するのが相当であり、民法423条1項ただし書にいう「債務者の一身に専属する権利」に当たるというべきであって、遺留分権利者以外の者が、遺留分権利者の減殺請求権行使の意思決定に介入することは許されないと解するのが相当である

☆遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位権の目的とはならない

☆AがBに対して有している売買代金債権をAの債権者CがAに代わって行使し、売買代金の支払を求めて訴えを提起した場合において、この請求を任用する判決が確定しても、このAのBに対する売買代金債権が、弁済により消滅したものとみなされるわけではない

最判昭48.4.24

※履行期後に債権者が代位権を行使したときはなおさら、たとえ裁判外の代位でも、債権者がこれを債務者に通知するか、債務者がこれを知った後は、債務者はその権利の処分をすることができなくなる

大判昭9.5.22

※債権者は、債務者の代理人としてではなく、自己固有の資格において、債務者に属する権利を行使するのであるから、さいmすはの名義ではなく、債権者自身の眼意義で代位権行使すべきものとされている。

※代位権を行使する場合、債権者と債務者との間には法定委任関係があるものとして、代位債権者には善良な管理者の注意義務があると解しなければならない

最判昭55.7.11

※離婚の際の財産分与請求権は、具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、これを保全するために債権者代位権を行使することはできない

☆判例によれば、離婚に伴う財産分与請求権は、審判によりその具体的内容が確定したときは、財産分与を受ける者の債権者が債権者代位の目的とすることができる

最判昭44.6.24(百選Ⅱ11)

※被保全債権及び被代位債権がともに金銭債権である場合には、代位債権者の被保全債権の範囲においてのみ代位行使すべき

☆債務者に対して複数の債権者がいる場合において、このうちの一人が債務者の有する金銭債権を代位行使するときは、代位行使する金銭債権の額は、代位債権者の被保全債権の額の範囲内となる

 

 

 

24-2 詐害行為取消権(424条)

最判昭53.10.5

・民法424条の債権者取消権は、究極的には債務者の一般財産による価値的満足を受けるため、総債権者の共同担保の保全を目的とするものであるから、このような制度の趣旨に照らし、特定物債権者は目的物自体を自己の債権の弁済に充てることはできないものというべく、原判決が「特定物の引渡請求権に基づいて直接自己に所有権移転登記を求めることは許されない」とした部分は結局正当に帰する

大判明44.3.24(百選Ⅱ15) 

・訴権の目的として単に法律行為の取消のみを規定し、取消の結果直ちに原状回復の請求を為すと否とを原告債権者適宜の処置に委ねたるを以て、此二者は相共に訴権の成立要件を形成するものにあらず

☆ 債権者Aが、債務者Bから第三者Cへの建物贈与について詐害行為取消権を行使した場合、Aは、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することなく、BC間の贈与契約の取消しを請求することができる

・特に債務者に対して訴えを提起しその法律行為の取消しを求むるの必要なし。故に債務者はその訴訟の対手人たるべき適格を有せざる

債権者Aが、債務者Bから第三者Cへの建物贈与について詐害行為取消権を行使した場合、Aは、詐害行為の取消しを請求するに際しては、Cに対して訴えを提起すればよい

424条1項

債権者Aが、債務者Bから第三者Cへの建物贈与について詐害行為取消権を行使した場合、Aは、BC間の贈与契約の当時Bが無視力であったことを主張・立証すれば足り、詐害行為取消訴訟の口頭弁論終結時までにBの資力が回復したことは、Cが主張立証しなければならない

424条1項ただし書

※債務者の詐害行為についての、受益者又は転得者の悪意は、受益者又は転得者において自ら悪意でなかったことを主張立証しなければならない

最判平11.6.11(家族法百選70)

・共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となりうる

・遺産分割協議は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移行させることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができる

最判昭35.4.26

・詐害行為の成立には債務者がその債権者を害することを知って法律行為をしたことを要するが、必ずしも害することを意図しもしくは欲してこれをしたことを要しない

最判平12.3.9(百選Ⅱ18)

・離婚に伴う財産分与は、民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない

・離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、右特段の事情があるときは、不相当に過大な部分にについて、その限度において詐害行為として取り消されるべき

・離婚に伴う慰謝料を支払う旨の合意は、配偶者の一方が、その有責行為及びこれによって離婚のやむなきに至ったことを理由として発生した損害賠償債務の存在を確認し、賠償額を確定してその支払を約する行為であって、新たに創設的に債務を負担するものとはいえないから、詐害行為とはならない。しかしながら、当該配偶者が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料を支払う旨の合意がされたときは、その合意のうち右損害賠償債務の額を超えた部分については、慰謝料支払の名を借りた金銭の贈与契約ないし対価を欠いた新たな債務負担行為というべきであるから、詐害行為取消権行使の対象となりうる

☆債務超過の状態にある者が離婚に伴う財産分与として配偶者に金銭の給付をする旨の合意は、その額が財産分与として不相当に過大で、財産分与に固くされた財産処分と認められる事情がある場合、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消すことができる

最大判昭36.7.19

・債務者が目的物をその価格以下の債務の代物弁済として提供し、その結果債権者の共同担保に不足を生ぜしめた場合は、もとより詐害行為を構成するものというべきであるが、債権者取消権は債権者の共同担保を保全するため、債務者の一般財産現象行為を取り消し、これを返還させることを目的とするものであるから、右の取消しは債務者の詐害行為により減少された財産の範囲にとどまるべきものと解すべきである。したがって、……本件においてもその取消は、……家屋の価格から……低搭載見学を控除した残額の部分に限って許されるものと解する

・詐害行為の一部取消の場合において、その目的物が本件の如く一棟の家屋の代物弁済であって不可分のものと認められる場合にあっては、債権者は一部取消の限度において、その価格の賠償を請求するの外はないものといわなければならない

☆抵当権が設定されている1個の建物を、その抵当権者に代物弁済として供した債務者の行為が詐害行為となる場合、他の一般債権者は、当該建物の価額から当該抵当権の被担保債権額を控除した残額の範囲で取り消すことができ、その限度において価額の賠償を請求することが許されるにとどまり、当該建物自体を債務者の一般財産として回復することはできない

最判昭39.6.12

・民法424条の詐害行為の取消は訴えの方法によるべきものであって、抗弁の方法によることは許されない

・取消権の行使は相手方に対する裁判外の意思表示によってこれを行うべき場合があり、裁判上の意思表示によってこれを行うべき場合があり、あるいは相手方に対する訴えによってこれを行うべき場合があるが、そのいずれの方法によるべきかは、書く場合における法律の規定を解釈してこれを定めなければならない

・取消しうべき法律行為の取消しについては123条に「相手方に対する意思表示によってする」と規定し……ているのに反し、詐害行為の取消については、424条に「裁判所に請求することができる」と規定している

 

 

 

 

第25章 人的担保―多数当事者の債権債務関係

25-6 保証(446条)

最判平9.11.13

・反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保障の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない

・更新後の賃貸借から生ずる債務についても保障の責めを負う趣旨で保証契約をしたものと解するのが、当事者の通常の合理的意思に合致する

大判昭9.1.30

※建物賃借人の保証人の相続人は、相続開始後に生じた賃料債務についても保証する責任を負う 

☆建物賃貸借契約の存続期間中に賃借人の保証人が死亡した場合において、その相続人は、相続開始後に生じた賃借人の債務についても保証債務を負う

身元保証に関する法律3条1号

※使用者は、被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があって、このために身元保証人の責任の問題を引き起こすおそれがあることを知ったときは、遅滞なく身元保証人に通知しなければならない

☆身元保証契約において、使用者が、被用者に業務上不適任又は不誠実な事跡があって、そのために身元保証人の責任を惹起するおそれがあることを知ったときは、使用者は、遅滞なく身元保証人にその旨を通知しなければならない

465条の3第1項、第2項

※貸金等根保証契約において主たる債務の元本確定期日の定が有る場合において、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の人定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない

※貸金等根保証契約において元本確定期日の定がない場合には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする

☆貸金等根保証契約において元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から6年を経過する日と定められている場合、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日となる

最判平24.12.14(百選Ⅱ26)

・根保証契約の被保証債権を譲り受けたものは、その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても、当該根保証契約の当事者間において被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に対し、保証債務の履行を求めることができる

・根保証契約を締結した当事者は、通常、……被保証債権が譲渡された場合には保証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的である 

☆根保証契約の元本確定期日前に根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債権が譲渡されたときは、その譲受人は、保証人に対し、当該保証債務の履行を求めることができる

447条2項

※保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる

☆AのBに対する金銭債務について、CがBとの間で保証契約を締結した際、AのBに対する債務に関して違約金の定めがなかった場合でも、BC間の保証契約において違約金の定めをすることができる 

449条

※行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する 

463条1項、443条1項前段

※443条の規定は、保証人について準用する(463条1項)

※連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる(443条1項前段)

☆AのBに対する金銭債務について、CがBとの間で保証契約を締結した際、AのBに対する債務の額が500万円であり、CがAの依頼を受けてBとの間で保証契約を締結した場合において、Aが、その後取得したBに対する300万円の金銭債権を自働債権として、Bに対する債務と相殺をしようと考えていたところ、CがAに対して通知することなくBに500万円を弁済したときには、AはCから500万円の求償を受けても、相殺をすることができる地位にあったことを主張して、300万円の範囲でこれを拒むことができる

462条2項前段

※主債務者の意思に反して保証をした者は主債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する

大判大5.12.25 

※主たる債務が消滅時効にかかった場合において主たる債務者が時効利益を放棄したとしても、保証人は主債務の時効消滅の援用をすることができる

457条2項

・保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる

☆主たる債務者の医師に反して保証人となった者は、主たる債務者が債権者に対して有する債権と保証債権との相殺をもって債権者に対抗することができる

458条、434条

※連帯保証人に対する請求は、主たる債務者にその効力を及ぼす

☆主たる債務者の意思に反して連帯保証人となった者が、債権者から保証債務の履行を裁判上請求されたときは、主たる債務についての消滅時効が中断する

大判昭15.12.21

※連帯保証人が債務の承認をしても、主たる債務者の時効には何ら影響を及ぼすものでない

☆主たる債務者から委託を受けて連帯保証人となった者が、債権者に対して保証債務を承認したときも、主たる債務についての消滅時効は中断しない

464条

※連帯債務者の一人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する

☆連帯債務者の一人から委託を受け、その者のために保証人となった者が、債権者に対して保証債務の全額を弁済したときは、この保証人は、その連帯債務者に対しては、全額についての求償権を有する

465条2項

※互いに連帯しない数人の保証に院がある場合において、保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときは、その超過額について、委託を受けない保証人の求償権に関する規定に従って、他の共同保証人に求償することができる

※465条2項は、検索の抗弁(453条)を準用していない

☆共同保証人の一人が債権者に対し保証債務を弁済し、他の共同保証人に対して求償をした場合において、求償を受けた保証人が、主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときでも、債権者に弁済をした保証人は、まず主たる債務者に求償権を行使する必要はない

 

 

第26章 物的担保

※不動産質権と抵当権が競合した場合の優先弁済権の順序は、登記の先後による(361条、373条)

※不動産売買の先取特権と抵当権の順序は、登記の先後による(177条)

※不動産保存・工事の先取特権が登記された場合、登記された抵当権及び不動産質権に先立って行使することができる(339条、337条、338条)

※先取特権、質権、抵当権については物上代位性が認められる(304条1項、350条・304条1項、372条・304条1項)

※留置権について物上代位の規定は準用されていない

☆抵当権者は、目的物が第三者の行為により滅失した場合、物上代位により、その第三者に対して所有者が有する損害賠償請求権から優先弁済を受けることができるのに対し、留置権者は、目的物が第三者の行為により滅失した場合には、損害賠償請求権に物上代位権を行使することができない

304条1項

※先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、債務者の特定の財産でなく惣菜さんを目的とする一般の先取特権については、物上代位性は問題とならない。なぜなら、一般の先取特権にあっては、物上代位が問題となりうるような場合にも、その価値代表物・顕現物は常に債務者の総財産中に包含されており、物上代位の手続を必要とせず、執行の対象となるからである

☆一般の先取特権者は、債務者の財産の中の動産が売却されて買主にその引渡しがされた場合、債務者が取得する代金債権について、その払渡しの前に差押えをしなくても先取特権を行使することができる 

302条本文

留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する

民事執行法195条

※留置権は、民法上優先弁済権が認められていないが、民事執行法においては留置権者に競売権が与えられている

☆留置権者及び抵当権者は、いずれも目的物の競売を申し立てることができる

334条

※動産質権者は、動産の先取特権の第一順位のもの(330条1項1号)と同順位になる

※しかし、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない(330条2項)

303条

※先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。先取特権は、被担保債権が移転すればこれに随伴する(随伴性)

☆動産売買の先取特権者がその代金債権を第三者に譲渡した場合、その先取特権は代金債権とともに第三者に移転する

 

338条1項

☆不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない

 

 

26-2 抵当権

371条

※抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ

378条

※抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する

※代価弁済は、抵当権者と第三者の合意があって初めてその効力を生じさせるものであり、第三者に代価弁済の請求に応じる義務を追わせるものではない

大判大8.10.8

☆第一順位の抵当権者の被担保債権が弁済により消滅した場合、第二順位の抵当権者は、消滅した第一順位の抵当権の抹消登記手続を求めることができる

最判昭33.5.9

・当事者間の合意によって、特定の数個の債権を一定金額の限度で担保する1個の抵当権を設定することも、また将来発生の可能性のある条件付債権を担保するため抵当権を設定することも、有効と解すべき

※将来債権である保証人の求償権を担保するため抵当権を設定することを認めている

大判大14.7.18

※「地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない」と規定する398条を類推適用して、土地賃貸人は合意解除を抵当権者に対抗できないとする

☆土地を賃借し、その土地上に建物を所有している者が、その建物に抵当権を設定した場合、土地の賃貸人が賃借人との合意により賃貸借契約を解除したとき、土地の賃貸人は、その解除による賃借権の消滅を抵当権者に対抗することができない

 

396条

※抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない

179条1項

※同一物について所有権および他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物件は、消滅する。ただし、そのモノまたは当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない 

☆A所有の建物について、Bが第一順位の抵当権を、Cが第二順位の抵当権をそれぞれ有している場合、BがAからその建物を買い受けた場合であっても、第一順位の抵当権は消滅しない 

391条、196条1項

※抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、民法196条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。196条の区別に従うことから、第三取得者が果実を取得した場合には、通常の必要費について他の債権者より先に償還を受けることはできない

26-2 抵当権

394条2項

※抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、他の債権者は、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる

☆抵当権の実行としての競売がされる前に抵当権の被担保債権について抵当不動産以外の財産の代価を配当すべき場合には、当該抵当権者以外の債権者は、当該抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる

398条の22第1項 

※元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる

☆根抵当権の元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するため当該根抵当権を設定した者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、当該根抵当権の消滅請求をすることができる

☆債務者が所有する不動産に抵当権の設定登記がされ、これが存続している場合でも、債務者は継続的に被担保債権に係る債務の存在を承認していることにはならず、その抵当権の被担保債権について消滅時効が進行する 

397条

※債務者又は抵当権者でない者が抵当不動産について消滅時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する

☆債務者が所有する不動産に抵当権が設定され、その登記がされている場合、その債務者が当該不動産を10年間継続して占有したとしても、その債務者は、抵当権者に対し、抵当権の負担のない所有権を事項により取得したとして、抵当権設定登記の抹消登記手続を請求することはできない

民事執行法188条、59条1項

※不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並び抵当権は売却により消滅する(民事執行法59条1項)。当該消除主義は担保執行に準用されている(民事執行法188条)

☆債務者が所有する同一の不動産について、第一順位の抵当権と第二順位の抵当権が設定され、それぞれその旨の登記がされている場合、第一順位の抵当権の実行としての競売の結果、第一順位の抵当権者のみが配当を受けたときでも、第二順位の抵当権も消滅する 

499条1項、500条

※債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。 

☆債務者が所有する同一の不動産について、第一順位の抵当権と第二順位の抵当権が設定され、それぞれその旨の登記がされている場合、第一順位の抵当権の被担保債権に係る債務を債務者が弁済したときでも、債務者が弁済による代位によって第一順位の抵当権を取得することはない

最判昭41.12.20

・反対に解すべき特段の事情のない限り、現債務者と引受人との関係について連帯債務関係が生ずる

☆債務者が所有する不動産に抵当権が設定されている場合、その被担保債権に係る債務について他の者により併存的債務引受がされたとき、当該債務引受によって生じた債権は、特段の事情のない限りその抵当権の被担保債権とならない 

370条本文

・抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ

☆建物が存する土地について抵当権が設定された場合において、その抵当権者と抵当権設定者との特約で、その土地上の建物にも抵当権の効力を及ぼすことができる旨の合意がされたときでも、その土地の抵当権は、土地の上に存するその建物には及ばない

 

 

 

26-3 質権(342条〜366条)

350条、299条1項

※質権者は、質物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる

☆動産質権者は、継続して占有している質物について通常の必要費を支出した場合、所有者にその償還をさせることができる

366条2項

※債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる

346条

・質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない

☆動産質権において、質権者と質権設定者との間で、被担保債権の利息はその質権によって担保されないとの特約がされた場合、利息は、質権の被担保債権に含まれない

☆不動産質権者は、質権の目的物を使用及び収益をすることができるが、質権者と質権設定者との間の特約で、その使用収益権を排除することができる 

 

 

26-4 留置権(295条〜302条)

299条1項

※留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる

☆留置権者は、留置物について通常の必要費を支出した場合には、所有者にその償還をさせることができる

296条

☆留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる 

302条ただし書

※留置権者が、留置物を債務者の承諾を得て賃貸している場合は、留置権は消滅しない

☆留置権は、他人の物の占有者に認められる権利であるが、留置権者が目的物を第三者に賃貸した場合には、目的物の賃貸について所有者の同意を得ていても、留置権は消滅しない

※留置権者には競売権が与えられている 

300条

・留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない

 

 

26-5 先取特権(303条〜341条)

335条1項、4項

※一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない

※不動産以外の財産の代価に先立って不動産のだいかを 配当する場合には、一般の先取特権者は、どの部分からでも配当を受けることができる

☆一般の先取特権者は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価が配当される場合を除き、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない 

333条

・先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない

☆動産の売主と買主との間で、売買の目的物を買主が第三者に転売して引渡したときでも、売主はその目的物に先取特権を行使することができる旨の特約がある場合において、買主がその目的物を転売して転買主にこれを引き渡したときは、売主は、転買主が占有している目的物について、その特約について転買主が悪意であるときでも、先取特権を行使することはできない

 

 

 

第5部 家族法

第27章 親族

27-3 婚姻

751条1項

※夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる

767条1項

※婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する(1項)

※離婚の場合であっても、離婚の日から3ヶ月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる(2項)

728条

※親族関係は、離婚によって終了する(1項)

※夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする(2項)

☆婚姻が離婚により終了した場合には、婚姻関係は当然に終了するが、婚姻が夫婦の一方の死亡により終了した場合には、姻族関係は生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときに限り終了する

819条1項

※父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一報を親権者と定めなければならない

※この定めについて、家庭裁判所の許可を要する旨の規定はない

☆婚姻中の夫婦の間に生まれた子が未成年であるときは、協議上の離婚の際に、父母の一報を親権者と定めなければならず、この定めについては、家庭裁判所の許可を要しない

最決平12.3.10(百選Ⅲ24)

・離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得る 

・内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法768上の規定を類推適用することはできないと解するのが相当である

・脂肪による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産精算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである

最判昭46.7.23

・すでに財産分与がなされたからといって、その後不法行為を理由として別途慰謝料の請求をすることは妨げられないというべきである

・離婚における財産分与の制度は、夫婦が婚姻中に有していた実質上共同の財産を清算分配し、かつ、離婚後における一方の当事者の整形の維持をはかることを目的とするものであって、分与を請求するにあたりその相手方たる当事者が離婚につき有責の者であることを必要とはしないから、財産分与の請求権は、相手方の有責な行為によって離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことに対する慰謝料の請求権とは、そのせいつを必ずしも同じくするものではない 

734条1項

・直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。

☆AがBの父母の養子である場合、A、B、同人らの親族又は検察官は、AとBの婚姻が近親者間の婚姻であることを理由として、その取消しを家庭裁判所に請求することができない

738条

・成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない

最判昭44.10.31

・法律上の夫婦という身分関係を設定する意思はあったと認めうる場合であっても、それが、単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないものであって、前述のように真に夫婦関係の設定を欲する効果意思がなかった場合には、婚姻はその効力を生じない

☆判例によれば、AとBが、両名間の子Cに嫡出である子の身分を得させるための便法として、後日離婚することを合意した上で婚姻の届出をしたにすぎず、真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思がなかった場合には、婚姻の効力は生じない

725条

※配偶者の一方と他方配偶者の血族3親等まで、及び自己の血族3親等までの配偶者を姻族という 

 

 

 

 

27-4 親子 

773条

・再婚禁止期間の規定に違反して再婚をした女が出産した場合において、嫡出の推定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める

☆再婚禁止期間内に再婚をした女性が出産した場合において、嫡出の推定に関する民法の規定によりその子の父を定めることができないときは、父を定めることを目的とする訴えにより、裁判所がこれを定める

777条

・嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない

最判平10.8.31 (家族法百選24)

※母の夫が皆胎時に出征中であった場合、夫が母と性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであることから、このような事情のもとに生まれた子どもについては772条の嫡出推定が及ばない

774条

・772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる

※嫡出否認の訴えの原告適格を夫に限定

☆判例によれば、母の夫が服役していた間に母が懐胎したことが明らかな子は夫の子と推定されないが、母が嫡出否認の訴えを提起することはできない

783条2項

・父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属がある時に限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない

☆父は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができるが、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない

786条

・子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる

☆戸籍法の定めるところにより認知の届出がされた場合であっても、子その他の利害関係人は、認知が真実に反することを理由として認知無効の訴えを提起することができる

 

 

 

 

 

 

 

 

27-4-3 養子

817条の4

※25歳に達しない者は、特別養子縁組の養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合においても、その者が20歳に達しているときは、この限りでない

☆妻が26歳、夫が19歳の夫婦は、特別養子縁組における養親となることができない

797条1項

※普通養子縁組の養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる

797条2項後段

※法定代理人が民法797条1項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者が他にあるときは、その同意を得なければならない

☆A(30歳)B(30歳)夫婦が、婚姻していないC(42歳)とD(42歳)の間の子E(4歳)を養子にする場合において、CはEを認知し、DはEの親権者であることを前提にすると、AB夫婦がEとの間で普通養子縁組をする場合においては、Dの承諾を得るとともに、家庭裁判所の許可を得る必要があるが、Cの同意を得る必要はない

798条本文

※未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない 

817条の3第1項、第2項本文

※特別養子縁組においては、養親となる者は、配偶者の有るものでなければならないとされ、また、夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない

 

 

817条の5

※養親となる者が家庭裁判所に対して特別養子縁組の成立の申立てをした時に6歳に達している者は、養子となることができない。ただし、その者が8歳未満であって6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は、この限りでない

☆養親となる者が家庭裁判所に対して特別養子縁組の申立てをした時点で、養子となる者が10歳であるときは、家庭裁判所は、特別養子縁組を成立させることはできない

818条2項

※養子縁組により養親と養子の間で親子関係が発生することになるが、親子関係が生じることの効果として、養子が未成年の場合には、実親の親権は養親に移転する

791条2項

※父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる

☆16歳の子を持つ母がその子の父との婚姻により氏を改めたため、その子が父母と氏を異にする場合には、その子は、父母の婚姻中に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる

 

※普通養子縁組の効果は、養子と実親及び実方親族との関係に何ら影響しない。したがって、養子は実方と養方との二面の親族関係に立つことになる

817条の9本文

※養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する

 

 

27-4-4 親権

818条3項ただし書

※親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う

☆夫婦において、父が成年被後見人である場合には、未成年の子に対する親権は母が単独で行使する

753条

※未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす

☆夫婦である父と母がいずれも18歳である場合でも、未成年の子に対する親権は、父母が共同で行使する

737条2項後段

※未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならないが、父母の一方が知れないとき、死亡した時、又はその意思を表示することができないときは、他の一方の同意だけで足りる

※実務上、親権喪失者である父母であっても同意権を持つと解されている

☆未成年の子が18歳である場合には、父が死亡し、その後に母の親権が停止されたときでも、子は、母の同意を得れば婚姻をすることができる

☆父Aと母Bが離婚し、母Bが子Cの親権者となった後に、母BとDが再婚し、CがDの養子となった場合には、BとDがCの親権者となる 

最判昭53.2.24(百選Ⅲ49)

・後見人が被後見人を代理してする相続の放棄は、必ずしも常に利益相反行為にあたるとはいえず、後見人がまず自らの相続の放棄をしたのちに被後見人全員を代理してその相続の放棄をしたときはもとより、後見人自らの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえない

 

 

第28章 相続

28-1 相続

959条前段

※前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。

※不動産、動産問わず、国庫に帰属する

 

28-3 相続の効力

最判平元.2.9(百選Ⅲ69)

・共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の1人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときであっても、他の相続人は民法541条によって右遺産分割協議を解除することができない

・遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、しかも、このように解さなければ民法909条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになる

☆共同相続人であるAとBの間で遺産分割協議が成立した場合において、Aがその協議において負担した債務を履行しないときであっても、BはAの債務不履行を理由に遺産分割協議を解除することはできない

最判平2.9.27

・共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるものではない

最判平4.4.10(百選Ⅲ63)

・相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に損した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできない 

最判昭34.6.19(百選Ⅲ62)

・連帯債務は、数人の債務者が同一内容の給付につき各独立に全部の給付をなすべき債務を負担しているのであり、各債務は債権の確保及び満足という共同の目的を達する手段として相互に関連結合しているが、なお、可分なること通常の金銭債務と同様である。ところで、債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきであるから……、連帯債務者の一人が死亡した場合においても、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる

最判昭50.11.7

・第三者が右共同所有関係の解消を求める歩法として裁判上とるべき手続は、民法907条に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割訴訟である。

・共同相続人の一人が特定不動産について有する共有持分権を第三者に譲渡した場合、当該上と部分は遺産分割の対象から逸出するものと解すべきであるから、第三者がその譲り受けた持分権に基づいてする分割手続きを遺産分割審判としなければならないものではない

☆A、B及びCが共同相続した甲土地の共有持分権をCから譲り受けたDが、A及びBとの共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である

最判平8.12.17(家族百選72)

・共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のないかぎり、被相続人と右同居に相続人との間において、被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるのであって、被相続人が死亡した場合は、この時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人等が貸主となり、右同居の相続人を借主とする右建物の使用貸借契約関係が存続することになる

・建物が右同居の相続人の居住の場であり、同人の居住が被相続人の許諾に基づくものであったことからすると、遺産分割までは同居の相続人に建物全部の使用権原を与えて相続開始前と同一の態様における無償による使用を認めることが、被相続人及び同居の相続人の通常の意思に合致するといえる 

☆共同相続人の一人であるAが相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である甲建物において非相続人と同居してきたときは、相続が開始した時から遺産分割が終了するまでの間、引き続きAに高建物を無償で使用させる旨の合意があったものと推認され、被相続人のちいを承継した他の相続人らが貸主となり、Aを借主とする甲建物の使用貸借契約関係が存続することになる

最判昭52.9.19

・共同相続人が全員の合意によって遺産分割前に遺産を構成する特定不動産を第三者に売却したときは、その不動産は遺産分割の対象から逸出し、各相続人は第三者に対し持分に応じた代金債権を取得し、これを個々に請求することができる

☆共同相続人が全員の合意によって遺産分割前に遺産である土地を第三者に売却した場合において、その売買に係る代金債権は、不可分債権である

最判平14.6.10(家族百選77)

※「相続させる」趣旨の遺言による権利の取得については、登記なくして第三者に対抗できる

・「相続させる」趣旨の遺言による権利の移転は、法定相続分又は指定相続分の相続の場合と本質において異なるところはない

・法定相続分又は指定相続分の相続による不動産の権利の取得については、登記なくしてその権利を第三者に対抗することができる

☆被相続人が所有し、その名義で所有権の登記がされている甲土地を相続人の一人であるAに相続させる旨の遺言が遺産分割の方法の指定と解される場合、Aは、登記をしなくても甲土地の所有権の取得を第三者に対抗することができる

☆Aが、その所有する不動産を相続人Bに相続させる旨の遺言をし、相続が開始した後に、他の相続人Cの債権者Dが、その不動産につき代位による共同相続時をして持分を差し押さえた場合、Bは、Dに対し、登記をしなくても上記以後んによる所有権の取得を対抗することができる

最判昭54.3.23

※母の死亡による相続につき遺産の分割その他の処分後に共同相続人である非嫡出子の存在が明らかになった場合について、民法910条(相続開始後に認知された非嫡出子が存在し、かつ、既に遺産分割が終了していた場合には、当該非嫡出子は他の共同相続人に対し価額のみによる支払の請求権を有する)を類推適用することはできず、遺産の再分割が行われる

911条

・各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

☆遺産分割後に遺産である建物に隠れた瑕疵があったことが判明した場合であっても、当該建物を遺産分割により取得した相続人は、他の相続人に対し、瑕疵担保責任を追及することができない 

最判昭42.1.20(家族法百選75)

・「民法が承認、放棄をなすべき期間(915条)を定めたのは、相続人に権利義務を無条件に承継することを強制しないこととして、相続人の利益を保護しようとしたものであり、同条所定期間内に家庭裁判所に放棄の申述をすると(938条)、相続人は相続開始時に遡って相続開始がなかったと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記なくしてその効力を生ずる」

☆法定相続人としてBCがいる場合において、Bが相続放棄した後に、Bの債権者Dが、相続財産である未登記建物につきBも共同相続したものとして代位による所有権保存登記をした上、その建物のBの持分について差押えをしたときは、Cは、Dに対し、登記をしなくても相続による当該建物の取得を対抗することができる

最判昭46.11.16

・被相続人からの受贈者らは、本件贈与をもって受遺者に対抗することができず、また、原判決が適法に確定した事実関係に徴すれば、上告人が本件贈与の登記の欠缺を主張するのは権利の濫用である旨の被上告人らの主張が理由のないことは明らかである

・ 被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始が合った場合、右贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもって決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあっても、このことは右の理を左右するに足りない

☆Aが、子BCのうち、Bに対してはA所有の不動産を贈与し、Cに対してはこれを遺贈する旨の遺言をし、その後に相続が開始した場合、Bは、Cに対し、登記をしなければ贈与による所有権の取得を対抗することができない

最判昭38.2.22(家族法百選73)

・相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人中の乙ならびに乙から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者丙に対し、他の共同相続人甲は自己の持分を登記なくして対抗しうる

・乙の登記は甲の持分に関する限り無権利の登記であり、登記に公信力なき結果丙も項の持分に関する限りその権利を取得するに由ない

☆AからBCが共同相続した不動産について、Cが単独で相続した旨の不実の登記をし、Dに売却して所有権移転登記をした場合、Bは、Dに対し、登記をしなくても、自己の持分の取得を対抗することができる

最判昭46.1.26(家族法百選74)

・不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177上の適用が有り、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利を対抗することができない

・遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいったん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならない

・民法909条ただし書の規定によれば、遺産分割は第三者の権利を害することができないものとされ、その限度で分割の遡及効は制限されているのであって、その点において、絶対的に遡及効を生ずる相続放棄とは、同一に論じえないものというべきである。遺産分割についての右規定の趣旨は、相続開始後遺産分割前に相続財産に対し第三者が利害関係を有するにいたることが少なくなく、分割により右第三者の地位を覆すことは法律関係の安定を害するため、これを保護するよう要請されるというところにあるものと解され、他方、相続放棄については、これが相続開始後短期間にのみ可能であり、かつ、相続財産に対する処分行為があれば放棄は許されなくなるため、右のような第三者の出現を顧慮する余地は比較的乏しいものと考えられるのであって、両者の効力に差別を設けることにも合理的理由が認められるのである。そして、さらに、遺産分割後においても、分割前の状態における共同相続の外観を信頼して、相続人の持分につき第三者が権利を取得することは、相続放棄の場合に比して、多く予想されるところであって、このような第三者をも保護すべき要請は、分割前に利害関係を有するにいたった第三者を保護すべき前示の要請と同様にm止められるのであり、したがって、分割後の第三者に対する関係においては、分割により新たな物権変動を生じたものと同視して、分割につき対抗要件を必要とするものと解する理由がある

☆AからBCが共同相続した不動産について、遺産分割の協議により所有権を取得した相続人Bは、遺産分割後にCの法定相続分に応じた上記不動産の持分をCから買い受けたDに対し、登記をしなければ法定相続分を超える所有権の取得を対抗することができない

 

 

 

 

 

 

28-7 遺言

961条

☆15歳に達した者は、遺言をすることができる

☆遺贈は、相続人に対してもすることができる

990条

※包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する

☆包括遺贈を受けた者は、相続財産に属する債務を承継する

994条

※遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない

992条

※受遺者は、遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得する

☆遺言者が遺言において別段の意思を表示していない限り、受遺者は、遺贈の履行を請求することができる時から果実を取得する

989条1項 

☆遺贈の承認又は放棄は、撤回することができない 

28-8 遺留分

1036条

・受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求が合った日以後の果実を返還しなければならない 

1039条

・不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、これを贈与とみなす。この場合において、遺留分権利者がその減殺を請求するときは、その対価を償還しなければならない

☆不相当な対価をもってした建物の売買契約で、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものについて遺留分権利者がその減殺を請求するときは、遺留分権利者は、相手方に対し、その対価を償還する必要がある 

1043条1項

・相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けた時に限り、その効力を生ずる

☆相続の開始後における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を得なくても効力を生じる

1034条

・遺言は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う

 

1035条

・贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする

☆遺贈は、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き、その目的の価額の割合に応じて減殺し、贈与は、後の贈与から順次前の贈与に対して減殺する

1043条2項

☆共同相続人の1人が遺留分を放棄しても、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない