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国家公務員試験における人事院面接を廃止すべき理由

そういえば、人事院面接ってありましたね

 人事院面接について言及されていたこちらの記事を読んでいて思い出したのですが、国家公務員試験の中には人事院による面接があります。この記事の中にもある通り、AからEの5段階で評価されるこの面接にも結構な配点がなされており、評価が1段階違うと試験の順位が100位も前後すると言われています。平成27年度国家総合職試験の法律職の合格者は377人ですから、これは大きいです。

 なお、こちらの記事には1点誤りがあります。人事院試験は出身大学を一切伏せて行うため、学歴が面接試験の結果に結びつくことはありません(面接中に大学名を口にすると問答無用でE評価がなされます)。

 

国家公務員試験における人事院面接を廃止すべき理由

 さて、本記事では、この人事院面接を廃止すべき理由を説明していきたいと思います。

 大きな理由は次の2つです。

  1. 人物面での評価は官庁訪問で十分になされている
  2. 人事院面接のせいで、公務員試験の順位による評価が困難になっている

人物面での評価は官庁訪問で十分になされている

 公務員試験を合格しただけでは、国家公務員になることはできません。国家公務員になるためには、試験合格後に、「官庁訪問」と呼ばれる各省庁独自の面接を突破する必要があります。この面接は、2週間にも及び、十数人もの面接官(各省庁の職員)と会うことになります。

 つまり、公務員に就職する前提としての人物面での評価は、人事院による15分程度の面接なんかよりも何十倍も十分に、官庁訪問で行なわれているのです。

人事院面接のせいで、公務員試験の順位による評価が困難になっている

 人物面での評価が官庁訪問で十分になされているという前提で、公務員試験が評価すべきものは何でしょうか。

 それは、受験者の能力です。法律職の試験であれば法律に関する能力がどれくらいあるのか、経済職の試験であれば経済に関する能力がどれくらいあるのか、それを試験で測るべきです。能力に基づいて、試験の順位が出る。本来はそうあるべきではないでしょうか。

 しかし、現在の制度はそうなっていません。能力に基づいた試験結果を、人事院面接が混ぜ返すからです。前述の通り、人事院面接により、筆記試験では一桁台の順位だった人が三桁台になったり、200番台だった人が高順位になったりします。「法律や経済等の特定の分野についての評価」を、「人事院面接による人物面での評価」というノイズが乱すのです。

 このことにより、最終的な試験結果は、その人物の特定分野における能力を純粋に反映したものではなくなります。

 これで困るのは、各省庁の官庁訪問担当者です。その人物が、特定の分野に関しての能力が高いために高順位なのか、それともコミュニケーション能力だけで高順位についたのか、見分けがつかないからです。

 官庁の業務を遂行していくためには、特定の分野での能力も、コミュニケーション能力も、どちらも重要です。

 人事院の試験で特定の分野の能力を測り、各省庁の官庁訪問でコミュニケーション能力を測る。そのような採用プロセスを採れば、能力面と人物面の両面から評価することができます。

 しかし、今は純粋に「特定分野における能力」を測った指標がありません。極端なことを言えば、コミュニケーション能力だけで国家公務員になることも可能だということです。

 

優秀な人物が国家公務員として採用されるために

 過去行われた官僚バッシングやアベノミクスによる好景気を受けて、優秀な人物が国家公務員を目指さなくなっているといいます。そして、一部の不人気省庁ではその影響が出てきていると思います。

 そんな時代だからこそ、公務員を目指す人たちの中から優秀な層をすくい上げるために、人事院面接は廃止すべきではないかと、私は考えます。