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大学生協は強制加入?任意?【入ったほうが絶対に得】

生協の白石さん

大学の生活協同組合に加入すべきか

 新学期ですね。

 私も久しぶりに、大学のキャンパスに戻って、とても懐かしい気持ちです。

 さて、大学の新入生にとっては処理すべき手続が沢山あります。

 今回は、そのひとつである、「生活共同組合への加入」について書きたいと思います。

生活共同組合は強制加入?

 まず、生活協同組合は、民法上の組合契約によって成立した組合の一種です。

民法

第667条第1項 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。

 そして、大学の生活協同組合は、消費生活協同組合法によって、法人格を有することとなっています。

消費生活協同組合法

第4条  消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会(以下「組合」と総称する。)は、法人とする。

 このように、生活協同組合は大学とは独立した存在であることから、原則として、学生に生活協同組合への加入が義務付けられることはありません。

 なぜならば、憲法21条で保障される「結社の自由」は、「結社に加入しない自由」も含むからです。

憲法

第21条第1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

※大学は、国公立であっても私立であっても、社会で大きな役割を果たしていることから、大学が主体となった人権侵害の危険は大きく、また、人権の価値は公法・私法を包括した全法秩序の基本原則であって、すべての法領域に妥当すべきものであることから、憲法の人権規定は、大学と学生の間にも適用されると解されます(いわゆる憲法の私人間効力の話)。

 もちろん、世の中には特定の者に加入を強制する組合もあります。

 その例が、ユニオンショップ協定を締結している労働組合です。

※ユニオンショップ:使用者は労働者を自由に採用できるが、被用者が採用後一定期間内に労働組合院資格を取得しない場合及び雇用中に組合員資格を失った場合は、使用者がこれを解雇しなければならないという旨の労働協約の条項

 しかし、これは、労働者が組合に参加しない自由が認められるとすると、経済的弱者の地位にある労働者を団結によって使用者と対等の地位に立たせようとした憲法28条の趣旨に反することから、労働者には消極的団結権(組合に参加しない自由)が保障されていないという特殊な理由によるものです。

憲法

第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。 

出資金の払戻しについて

 私法上、財産の共同所有の形態には、共有・合有・総有の3種類がありますが、組合の財産は、「合有」として扱われるのが通説です(ちなみに、「共有」の例は共同相続した財産、「総有」の例は権利能力なき社団の財産)。

 「合有」の場合、その対象となる財産について、持分の処分や分割の請求をすることはできません。

第676条

第1項 組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。
第2項 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。

 しかし、組合の脱退の際には、持分の払戻しを求めることができます。

第678条

第1項 組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。
第2項 組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。

第681条

第1項 脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならない。

 681条1項に規定のあるとおり、法律上は、必ずしも組合加入時に支払った出資額全てを払い戻すことを保証しているわけではありません。しかし、大学の生活協同組合の場合、経済状況が著しく悪化することはほぼありえないので、出資額全てが払い戻されるのが通常です。

 ちなみに、東京大学の場合、出資金は16,000円(40口)です。

 「40口」と書いてあるのは、万が一財政状況が悪くなった場合に、口数に応じて払い戻しをするために、一口あたりの金額を定めた上で出資額を算定しているということですね。まあ、16,000円がそのまま払戻されているのが現実ですが。

終わりに

 大学の生活協同組合に加入することで、書籍の1割引や、文具の2割引といったサービスを受けることができるようになります。

 大学生は大量の書籍・文具を購入することになりますから、割引額だけでも、出資額を超えるでしょう。

 確かに、学生にとって1〜2万円の支出は大きいです。

 しかし、キャッシュフローで考えたとしても、割引額ですぐに元をとることはできますし、また、出資額は組合脱退時に払い戻しを受けることができます。

 これは、入らない手はありませんね。

 この記事が、生活協同組合に加入すべきか迷っている新入生の参考になれば幸いです。