フランクフルトモーターショーでの方向転換
世界最大のモーターショーであるフランクフルトモーターショー2017が2017年9月12日にドイツで開催されました。
世界的にガソリン車規制の流れが強まる中、自動車大国であるドイツも経済の危機に瀕しているかのように思われていましたが、ドイツ勢の勢いは衰えそうにありません。
今回のモーターショーでは、世界最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンと、ベンツが、いずれも、現在製造している車種について、今後、すべて電気自動車モデルを販売する意向を示したのです!
さらに、既にi8(アイエイト)というプラグインハイブリッドのスポーツカーを販売しているBMWも、BMW i Vision Dynamicsという電気自動車のコンセプトを発表し、今後一層の注力が期待できそうです。アメリカのテスラ・モーターズはまだまだ新しい企業なので、これまで何十年と積み上げがあるドイツの自動車メーカーが電気自動車の開発に全力を注げば、自動車業界における覇権を譲ることはないでしょう。
車の乗り心地や性能は、エンジンだけで決まるものではなく、重量バランスや空力、ステアリング性能や制御技術など、諸要素の積み上げで決まるものですから。
一方で、日本の自動車メーカーのフランクフルトモーターショーでの発言は、非常に残念なものでした。それは、「これまで培ってきたハイブリッド技術で電気自動車に対抗する」というもの(ホンダ担当者談)。
ハイブリッド自動車は、あくまでもガソリンが主な動力となるものです。ハイブリッドの良さももちろんありますが、しかし、世界的なEV化の流れの中で、ハイブリッド自動車という既存の技術にとらわれてしまうのはいかがなものかなと思います。
これまで多くの資金を投じてきたから今更方向転換できないということであれば、それはサンクコスト(潜在的な損失)に縛られて悪い方向に進んでしまいそうで心配です。
日本の自動車メーカーも、現在製造中の自動車について、全て、電気自動車モデルを生産する方向で動き出せればいいと思うのですが。もちろん、技術的にかなり難しいということなのでしょうけれど、ドイツのメーカーがやろうとしている以上、不可能ではないはずです。