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【テロ等準備罪】共謀罪法案が批判されるのはなぜ?条約との関係性と問題点について解説【組織的犯罪処罰法】

共謀罪を語る

目次

テロ等準備罪(共謀罪法案)における問題の本質

 先日、こちらの記事において、テロ等準備罪を創設する組織的犯罪処罰法改正案(いわゆる共謀罪法案)が平成29年通常国会(第193回国会)で「強行採決」される可能性について言及しました。

 その中でも申し上げたとおり、2017年3月21日に閣議決定された、組織犯罪処罰法改正案は、国会で十分な審議・討論がなされないまま可決されてしまう可能性が高いでしょう。

 政府の側の説明と、共謀罪に反対する論者の意見は、上手く噛み合っていないため何が本質的な問題であるのか十分に理解されていませんし、テレビのワイドショーや雑誌は、森友学園等のスキャンダラスな話題ばかり報道していてテロ等準備罪・共謀罪について大々的に取り扱っていません。このことによって、本当に大事な法案の内容に国民の感心が寄せられないまま、国会の日程が進んでしまうのです。

 また、そもそもテロ等準備罪・共謀罪に関する議論をするには、前提となる知識が多く必要で、法案を提出した政府からきちんと説明がされない現状においては、国民が問題を正確に理解できないということも、本件法案への無関心を助長しています。

 そこで、この記事では、本件について議論するために必要な前提知識を紹介した上で、本件法案の何が問題なのかを中立的な立場から整理しました。

 可能な限り分かりやすく記述することを心がけていますが、御不明な点などがございましたら、お問い合わせフォームTwitterから御連絡をお願いします。

 

前提知識

共謀罪・共謀罪法案とは

 まず、「共謀罪」「共謀罪法案」という言葉の意味について説明します。

 一般に犯罪は、次のような流れで行われます(下図は殺人の場合)。

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(引用元:http://www.asahi.com/articles/DA3S12776818.html

計画→準備行為→予備→未遂→既遂

という流れです。

 このうち、犯罪を完了した「既遂」はもちろん、犯罪の実行行為に出たものの結果が発生しなかった「未遂」や、凶器の準備等の「予備」については、現行の刑法で既に規定されています。

 ただし、刑法には次のような規定があり、「未遂罪」や「予備罪」はあくまでも例外とされ、既遂犯の処罰が原則になっています。

刑法

第44条 未遂を罰する場合は、各本条で定める

 一方、「計画」の段階で処罰する規定は基本的に存在せず内乱陰謀罪(刑法77条、78条)、外患誘致陰謀罪(81条、88条)、私戦陰謀罪(93条)という、国家の転覆や外交に関係する極めて重大な犯罪のみ、2人以上の者が、謀議をした時点での犯罪の成立を認めています。

 このような刑法の体系を変えて、犯罪の多くを計画段階で「共謀罪」として処罰する法案のことを、「共謀罪法案」と呼んだりします。

 今回内閣で閣議決定された「組織的犯罪処罰法」は、実際には「計画」段階ではなく「準備行為」段階で処罰することを規定しているもので、厳密な意味での「共謀罪」を規定したものではありません

 そのことから、政府は「共謀罪」という悪い響きを回避するためにも、今回新たに処罰対象とする犯罪を「テロ等準備罪」と呼称を変更しています。

 しかし、277という多数の犯罪(強盗や殺人といった重大犯罪から窃盗や特許権侵害まで)について、これまでの刑法等が処罰していたよりもかなり早い段階で処罰することになることから、野党などは本法案を「共謀罪法案」と呼んでいます。

 

閣議決定とは

 「組織的犯罪処罰法が閣議決定された」と聞いて、その重大性に気付くことができるのは、ある程度政治・行政に詳しい一部の国民だけでしょう。

 なぜこれが重大かというと、閣議決定されたということは、法律案が可決される可能性が高いということを意味するためです。

 日本では、三権分立の制度が採られていて(憲法41条、65条、76条1項)、立法権国会に属しています。

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 しかし、日本では国会の与党のトップが内閣総理大臣(行政権のトップ)になることからも分かる通り、議院内閣制がとられていて国会(立法権)と内閣(行政権)との結びつきが強いです。また、法律の発案自体は国会の議決権を拘束するものではなく三権分立に反さず、さらに、憲法72条(内閣の職権)の議案提出権の中には法律案の提出も含まれていると解されることから、国会議員だけでなく、内閣も、国会に法律案を提出することができます

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 そして、内閣が法律を提出するための最終決定を行うことを「閣議決定」と呼ぶのです。

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(引用元:https://allabout.co.jp/gm/gc/293938/

 内閣が提出した法案は「内閣提出法律案」、国会議員が提出した法案は「議員立法」と呼ばれます。

 その前提で、次の表をご覧ください。

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(引用元:http://www.clb.go.jp/contents/all.html

 この表からも分かる通り、内閣提出法案は、その殆どが国会で成立します。国会の多数派である与党が内閣を構成していますから、当然の帰結でもあります。

 つまり、今回閣議決定されて国会に提出された組織的犯罪処罰法改正案(いわゆる共謀罪法案)は、成立する可能性が非常に高いのです。

前回の記事でも書いたように、現在の自民党は公明党とあわせて衆議院の議席の3分の2を占めており、また、参議院でも過半数を占めていますから、野党と十分な議論・検討をしなくても、多数決の力だけで法案を可決させることもできるのです。

 

条約の締結プロセス

 今回の組織的犯罪処罰法の改正にあたっては、条約に関する知識も必要です。

 というのも、政府法改正の主な理由を「国際組織犯罪防止条約の締結のため」と説明しているからです。

 そこで、次に、条約の締結プロセスについて見ていきましょう。

 下の図は外務省のHPから引用したものですが、一般に、条約交渉→採択・署名→国会の承認→締結というプロセスを辿ります。

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(引用元:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/pdfs/tpp03_03.pdf

 条約の締結権限は、行政権である内閣に属します(憲法第73条第3号)。

憲法

第73条  内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
三  条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

 実務的には、条約締結プロセスが開始すると、内閣が作成する全権委任状を付与された全権委員が、内閣を代表して相手国と交渉し署名をします。この署名の時点ではまだ条約の効果は発生していません

 条約は、法律と同様に、国民に多大な影響を及ぼすものですから、国民の代表者から構成される国会で、条約を締結することの承認を得なければ、内閣が独断で条約を締結することができない仕組みになっているのです。(なお、緊急時等の例外的な場合には、条約締結後に国会の承認をすることもありますが、この場合であっても、国会の承認が得られなければ当該条約は国内法的にも国際法的にも無効であると考えられています。)

 国会の承認を得た後は、上の図にある通り、条約で指定された締結方法(批准等)により、条約の締結が完了することになります。

国際組織犯罪防止条約の場合

 それでは、今回の組織的犯罪処罰法の改正理由として政府が掲げる国際組織犯罪防止条約締結プロセスの進行状況について、具体的に見てみましょう。

 国際組織犯罪防止条約は、複数の国で締結する多数国間条約ですから、上図の右側のルートを通ります。

 日本では、国際組織犯罪防止条約について、2000年に署名を行い、2003年に国会の承認を得ました(参考:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/soshiki/boshi.html)。

 国際組織犯罪防止条約では、締結の方法として、「批准・受諾・承認・加入」のいずれかが要求されていますので(第36条3,4)、現時点で国会の承認を得ている以上、条約の締結権限を有している内閣が批准等を行えば、締結手続が完了することになりますが、内閣はいまだに条約の締結を行っていません(15年間も条約締結をせずにいる理由についての政府の説明と、それに対する反論については後述)

国際組織犯罪防止条約

第36条 署名、批准、受諾、承認及び加入

3 この条約は、批准され、受諾され又は承認されなければならない。(後略)

4 この条約は、すべての国又は地域的な経済統合のための機関であってその構成国のうち少なくとも一の国がこの条約の締約国であるものによる加入のために開放しておく。(後略)

 条約の締結を行っていない以上、日本は現時点において、国際組織犯罪防止条約に拘束されることはありません

 

国際組織犯罪防止条約の内容

 さて、条約の締結手続については以上ですので、次は具体的に、国際組織犯罪防止条約の内容について見ていきましょう。

※条約の全文については、和訳が外務省のHPに、原文が国連のHPにそれぞれ掲載されていますので、必要に応じてご覧ください。

 国際組織犯罪防止条約は、グローバル化の進展によってマフィア等による国際的な組織犯罪が深刻化していることから、国際的な組織犯罪の防止のために協力することを目的とした条約です。

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 国際組織犯罪防止条約においても、第1条で次のように目的が述べられています。

国際組織犯罪防止条約

第1条 目的

 この条約の目的は、一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し及びこれと戦うための強力を促進することにある 

 そして、その目的を達成するための具体的な内容が「第5条 組織的な犯罪集団への参加の犯罪化」「第6条 犯罪収益の洗浄の犯罪化」 「第7条 資金洗浄と戦うための措置」「第8条 腐敗行為の犯罪化」などとして、条約内に個別に規定されています。

 特に、今回の組織的犯罪処罰法改正案の議論で問題となっているのは、第5条です。具体的に見てみると、次のような規定になっています。

国際組織犯罪防止条約

第5条 組織的な犯罪集団への参加の犯罪化

1 締約国は、故意に行われた次の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる

(a) 次の一方又は双方の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)

 (i) 金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって、国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの

(中略)

(b) 組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の実行を組織し、指示し、ほう助し、教唆し若しくは援助し又はこれについて相談すること。

(後略)

 要するに、条約の「締約国」は、「重大な犯罪」が組織的に行われることについて「合意」・「相談」することを犯罪とするために、立法措置等をとらなければならないということを言っています。

 なお、「組織的な犯罪集団」や「重大な犯罪」については、第2条で定義規定が置かれています。

国際組織犯罪防止条約

第2条

 この条約の適用上、

(a) 「組織的な犯罪集団」とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ、金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう。

(b) 「重大な犯罪」とは、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪を構成する罪をいう。

 また、「締約国(原文ではState Party)」という言葉については、定義が置かれていませんが、国連の条約において、「締約国(State Party)」という言葉は、「条約を批准等により締結し、それにより当該条約の規定に法的に拘束される国」の意味で用いられていますから、国際組織犯罪防止条約においても同様に解するべきでしょう。

※条約法に関するウィーン条約(条約法条約)では、「「締約国」とは、条約(効力を生じているかいないかを問わない。)に拘束されることに同意した国をいう。」と第2条1(f)で規定されていますが、条約法条約の原文で「締約国」に該当する言葉は「Contracting State」であり、同条約における「当事国(party。条約に拘束されることに同意し、かつ、時刻について条約の効力が生じている国)」の方が、国際組織犯罪防止条約の「締約国(State Party)」に近いものと考えられます(条約法条約の和文・英文については外務省のHPを参照)。

 また、「締約国(State Party)」という言葉は、「児童の権利に関する条約」でも用いられていますが、国連のHPでは、「State party」という言葉について、「State party: A ‘State party’ to a treaty is a country that has ratified or acceded to that particular treaty, and is therefore legally bound by the provisions in the instrument.(ある条約のState partyとは、当該条約を批准・加入し、それにより当該条約の規定に法的に拘束される国のことである)」と説明しています(児童の権利に関する条約の和文については外務省のHPを、英文については国連のHPを参照)。

 このように、必要な立法措置等を義務付ける国際組織犯罪防止条約ですが、同条約は「組織的な重大犯罪の共謀」のすべてを全面的に犯罪化することは求めていません

 というのも、当該条約は国際的な組織犯罪を防止することを目的とした条約であることから、その対象を国際的な犯罪に限定しているのです。

国際組織犯罪防止条約

第3条 適用範囲

1 この条約は、別段の定めがある場合を除くほか、次の犯罪であって、性質上国際的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与するものの防止、捜査及び訴追について適用する。

 (a) 第五条、第六条、第八条及び第二十三条の規定に従って定められる犯罪

 (b) 前条に定義する重大な犯罪

2 1の規定の適用上、次の場合には、犯罪は、性質上国際的である。

 (a) 二以上の国において行われる場合

 (b) 一の国において行われるものであるが、その準備、計画、指示又は統制の実質的な部分が他の国において行われる場合

 (c) 一の国において行われるものであるが、二以上の国において犯罪活動を行う組織的な犯罪集団が関与する場合

 (d) 一の国において行われるものであるが、他の国に実質的な影響を及ぼす場合

 

組織的犯罪処罰法改正案の内容

 条約について必要な知識は以上ですので、次は今回問題となっている「組織的犯罪処罰法改正法案(いわゆる共謀罪法案)」の中身を見てみましょう。

 全文は法務省のHPで見ることができますが、当該法案において最も問題となっているのが、改正後の「組織的犯罪処罰法第6条の2」という条文です。

組織的犯罪処罰法(案)

第6条の2

第1項 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を2人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金または物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、または免除する。

 一 別表に掲げる罪のうち、死刑または無期もしくは長期10年を超える懲役もしくは禁錮の刑が定められているもの 5年以下の懲役または禁錮

 二 別表に掲げる罪のうち、長期4年以上10年以下の懲役または禁錮の刑が定められているもの 2年以下の懲役または禁錮

第2項 (略)

※第2項は、第1項に準じる規定なので、第1項について理解できれば問題点の把握には十分です。

 第1項では、「死刑」「無期懲役」「4年以上の懲役・禁錮」に該当する犯罪を、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として」、「計画」し「準備行為」を行った時点で、処罰する旨を規定しています。

 懲役・禁錮について、「4年以上」としているのは、国際組織犯罪防止条約が「長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪を構成する罪」を「重大な犯罪」と定義していたことによるものですね。

※具体的にどのような犯罪が対象となるかについては、別表で細かく記載されていますが、全部で277の犯罪が対象となっていて数が非常に多いため、対象となる犯罪はこの記事の最後に羅列しています。

 また、条約国際的な組織犯罪への対策に向けられたものであることを受けて、組織的犯罪処罰法改正案では、処罰の対象を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動」として行った場合に限定しています。

 しかし、条約と異なり組織的犯罪処罰法改正案処罰の対象「国際的な」犯罪に限定しておらず国内のみで行われるものであったとしても組織的な犯罪であれば処罰の対象としていることには注意が必要です。

 また、条約が、国際的で組織的な「重大な犯罪」について「合意」又は「相談」することを犯罪化することを求めていたことから、組織的犯罪処罰法改正案では「計画」し「準備行為」をした時点で処罰することとしています。このことが、野党などによって「共謀罪法案」と呼ばれる理由となっています。

 

組織的犯罪処罰法改正案の作成者

 前提知識の最後に、今回の組織的犯罪処罰法改正案の条文が、どのようなプロセスで作成されたかについても確認しておきましょう。

 上述の通り、組織的犯罪処罰法改正案は、内閣提出法案です。しかし、実際にその法律の細かな条文案自体を内閣総理大臣や各省大臣が起草しているかというと、そうではありません

 内閣提出法案の細かな条文作成作業は、各中央省庁において行われます

 組織的犯罪処罰法改正案は法務省の所管であることから、実際には法務省の職員が条文案を作成し、作成された条文案を内閣総理大臣や各省大臣がチェックして閣議決定を行ったというプロセスになっています。

 ここで注意すべきが、「法務省」の職員の特殊性です。

 法務省の幹部は、検察官によって構成されています。

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 検察官について、木村拓哉主演のHEROのドラマ等でいいイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、検察官というのは、犯罪を立件する、公権力の側の存在であって、時にはその公権力が国民の自由を不当に制約しうる立場であるということを忘れてはなりません。

 今回の組織的犯罪処罰法改正案が、これまで処罰対象としていなかった行為を新たに犯罪とするように、犯罪として処罰できる範囲を拡大し、犯人処罰の根拠が増えるということは、検察官にとっては望ましいことなのです。

 そのような利害関係を有した検察官が要職を占めている法務省において起草された改正案であるということを、前提知識として有しておくと、見方が変わるのではないかと思います。

 

政府の説明と、反対意見

 前提知識については以上になります。

 ここからは、組織的犯罪処罰法改正案に関する政府の説明と、法案への反対意見について概観し、それぞれの主張が適切さについてコメントを加えていきたいと思います。

 

政府の説明

1.組織的な共謀罪を設けるのは、国際組織犯罪防止条約を締結するため

 組織的犯罪処罰法の改正について、政府は、「国際組織犯罪防止条約を締結するために必要である」という説明を一貫して行っています。

 これについては、法律案の提出理由書でも次のように明示されています。

 近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びに国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に伴い、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画等の行為についての処罰規定、犯罪収益規制に関する規定その他所要の規定を整備する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

引用元:法務省:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案

 また、所管する法務省のHPでも、次のように、「組織的な犯罪の共謀罪」を新たに設けなければ国際組織犯罪防止条約を締結できないと説明しています。

 我が国の現行法は、条約第5条の義務を充たしていませんので、この義務を充たすためには、「組織的な犯罪の共謀罪」を新たに設けることが必要であり、これがなければ、国際組織犯罪防止条約を締結することはできないと考えています。

(引用:法務省:現行法のままでも条約を締結できるのではないかとの指摘について

 しかし、この考え方はおかしいです。

 上述したように、「条約第5条の義務」は、国際組織犯罪防止条約の締約国が負う義務です。義務を全て履行した上でなければ当該条約を締結することができないなどとことは、条約のどこにも記載されていませんし、また、そのような旨を定めた他の条約や国際慣習法もありません。条約内に、義務を履行しなかった場合制裁規定ありません

 「当該条約を締結した上で、条約上の義務を履行するために立法措置をとる」というのであれば、納得できます

 日本は、いまだ国際組織犯罪防止条約の締結をしていない以上、締約国ではなく条約上の義務を負っていません

 そうであるにも関わらず、政府は、立法措置をとらなければ、条約に加入することができないと説明しているのです。

 「条約に加入することで負う義務を果たしていないから、そもそも条約に加入することができない」という政府の説明明らかな論理矛盾があります。

 

2.「組織的な犯罪の共謀罪」の対象を国際的なものに限定しなかった理由は・・・

 前述のように、国際組織犯罪防止条約では、対象とする犯罪を、「性質上国際的」でかつ「組織的な犯罪集団が関与する」ものに限定しています。

 一方、組織的犯罪処罰法改正案で新たに設けられるテロ等準備罪(いわゆる共謀罪)の対象は、「組織的な犯罪集団が関与する」ものに限定はされていますが、「性質上国際的」なものに限定されていません

 国際的でなくても、組織的な犯罪集団が関与するものであれば、テロ等準備罪の対象としているのです。

 そうであれば、非国際的な組織犯罪について計画・準備行為段階で処罰することの根拠については、「国際組織犯罪防止条約締結」以外の理由が必要となります。

 確かに、前掲の「組織的犯罪処罰法改正案の提出理由書」では、次の3点が理由として掲げられています。

①近年における犯罪の国際化の状況

②近年における犯罪の組織化の状況

③国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結 

 しかし、「②近年における犯罪の組織化の状況」から、どうして「計画・準備行為」段階で非国際的な組織犯罪を処罰する規定を新たに設ける必要があるのかについては、現時点で十分な説明がなされていません

 犯罪を新たに創設し、処罰範囲を拡大することは、国民の権利自由を制約することになる以上、その理由については政府から合理的な説明がなされる必要があります。 

 

反対意見

 次に、組織的犯罪処罰法改正案に対する反対意見について紹介したいと思います。反対意見は、様々な人が色々なことを主張しているので、ここでは主なものを紹介します。

 

1.共謀罪法案は過去3回も廃案になったからダメ

 一番短絡的な批判が、これまで3回も廃案になった共謀罪を再度持ち出すのはけしからんというものです。

 しかし、国会では、同一の会期に同じ法案を提出することは認められませんが、異なる会期に改めて法案を提出することは認められています

 これまで2003年、2004年、2005年に提出された共謀罪法案がすべて廃案になったとはいえ、当時の共謀罪法案と今国会に提出された組織的犯罪処罰法改正案とは内容も違うのですから、過去の経緯を持ち出すだけでは、今回の法案を否定する根拠にはならないでしょう。

 

2.共謀罪を認めるのは刑法の原則を覆すことになるからダメ

 いわゆる共謀罪を認めることが、既遂犯処罰を原則としている日本の刑法の原則を覆すことになるとして、組織的犯罪処罰法改正案を批判する人もいます。

 しかし、①そもそも組織的犯罪処罰法改正案で規定するテロ等準備罪の対象は、組織的なものに限られるのであり、②計画だけでは処罰せず準備行為の段階で処罰するとしていることに加え、③対象となる犯罪も別表で限定列挙されているのですから、本件改正が日本の刑法の原則を覆すとまでは言えないでしょう。

 ただし、限定列挙された犯罪が、本当に計画・準備行為段階で処罰すべきものであるのかについては、特に予備・未遂の処罰規定が置かれていない犯罪について、個別に議論される必要があるのは確かです。

 

3.日本では犯罪の法定刑の幅が非常に広いから、長期 4 年以上の懲役・禁固刑の犯罪をひとまとめに共謀罪の対象としてしまうのはダメ 

 日本では、刑罰の決定にあたって、裁判官の裁量が広く、法定刑の幅が広く定められています。このことから、長期4年以上の懲役・禁固刑の犯罪をひとまとめに新たに共謀罪の処罰の対象としてしまうと、対象となる犯罪が多くなりすぎるというのも確かです。

 しかし、今回の組織的犯罪処罰法改正案では、長期4年以上の懲役・禁固刑の犯罪をひとまとめに共謀罪の対象とはしておらず、対象となる犯罪が別表で限定列挙されている以上、この批判は当を得ていないと言えるでしょう。

 

4.市民運動団体や労働組合、会社などの団体の活動も処罰が可能になるからダメ

 テロ等準備罪が、テロリズム集団だけを対象とするのではなく、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」としてテロリズム集団以外の団体に適用される余地を残していることから、労働団体や単なる家族経営のペーパーカンパニーなどの活動が不当に弾圧されるとして、組織的犯罪処罰法改正案に反対する人もいます。

 確かに、日本国の歴史の中で、公権力が法律を強引に解釈して、国民の人権を不当に弾圧した例は多くあります

※たまたま柵が倒れたことで数メートル米軍基地内に入ってしまったことだけを理由として起訴された「砂川事件判例」の端緒となる事件や、学生のデモ活動を警察が検問や暴力によって妨害した「博多駅テレビフィルム提出命令事件判例」の端緒となる事件など、枚挙に暇がありません。

 しかし、組織的犯罪処罰法改正案においては、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と規定されているのであって、「テロリズム集団その他組織的犯罪集団」と規定されているわけではありません。

 細かい話になりますが、法制執務的には「その他の」は例示列挙を示します。例示列挙を示す「その他の」が用いられていて、並列的に列挙する「その他」が用いられていないことから、テロ等準備罪が対象とする「組織的犯罪集団」は、テロリズム集団に類するものに限定されるものと解釈されます。

 これを、単なる労働組合等も「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」に含めると強引に解したとしたら、それは強引な解釈運用をしている警察等の公権力に問題があるのです。

 法律文の中ではある程度「組織的犯罪集団」の対象が限定されているのですから、法律自体に問題があると主張するのはあまり効果的ではないように思われます。

 

5.共謀罪のために室内盗聴、 潜入捜査等の新たな捜査手法が導入される可能性があるからダメ

 また、計画・準備行為段階で処罰するためには、現在認められていない違法な捜査を必要とし、違法捜査によってプライバシーが侵害される恐れがあるとして組織的犯罪処罰法改正案を批判する方もいます。

 確かに、計画段階で積極的に処罰するための証拠収集は現在認められた捜査手法では非常に困難なものと思われます。また、現実問題として現に盗聴や潜入捜査といった違法な捜査活動が警察によって行われているという事実は問題だと思います。

 しかし、違法な捜査は、違法な捜査自体が問題とされるべきであって、違法な捜査を誘発する可能性があるというだけで法律案を否定するというのは、十分な説得力を持つことはできないでしょう。 

(参照:http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/committee/list/kokusai_keiji/data/kyobozai_leaflet_5.pdf等)

 

個人的な見解

 さて、ここまで、テロ等準備罪を含む組織的犯罪処罰法改正案について、政府の側の説明と反対意見を概観してきましたが、最後に個人的な考えを述べたいと思います。

 私としては、今回の組織的犯罪処罰法改正案が、完全に否定されるべきではないと思います。

 というのも、現に187カ国が加盟している国際組織犯罪防止条約に日本は加盟すべきだと思いますし、当該条約に加盟したならばその実施のために「国際的で組織的な犯罪の共謀罪」は国内法で処罰対象とする必要があるからです。

 しかし、非国際的な犯罪について共謀罪を創設することについては、納得できる理由がない以上、認めるべきではないと思います。

 ですから、テロ等準備罪の対象を国際的な犯罪に限るべく法案を修正した上で可決するべきだと思います。

 そうすれば、内乱陰謀罪・外患誘致陰謀罪・私戦陰謀罪といった外交関係に重大な悪影響を及ぼす犯罪について陰謀(計画)段階で処罰することを規定している現行の刑法との整合性もとることができます

 おそらく、政府の側は、「国際組織犯罪防止条約の締結」を旗印に、非国際的な組織犯罪にも共謀罪を制定することで処罰範囲を広げたいというのが本音なのでしょう。

 本来であれば、法整備をしなくとも条約を締結できるにも関わらず、理屈になっていない理屈を立てて「組織的犯罪処罰法改正をしなければ国際組織犯罪防止条約を締結できない」と言い続けているのがその証拠です。

そのように説明しなければ、2003年に国会の承認を受けて条約を締結できる状況になったにも関わらず、その締結を放置して国際的な貢献をしてこなかったことへの謗りを受けてしまうということから、「組織的犯罪処罰法改正が国際組織犯罪防止条約締結の条件」と政府が主張しているという側面も否定できません。

 しかし、いくら与党自民党や政府が処罰範囲を広げたいとしても、その根拠が十分に説明されないのであれば、それは認めるべきではありません

 根拠を筋立てて説明できずに法律案が可決してしまうのであれば、「民意の反映」と「民意の統合」という国会の機能が十分に果たされていないことになるからです。国会の機能不全は、民主主義自体の否定につながり、国会の立法権の正統性すら否定してしまうことになります。

 条約の実施に必要な法改正をスムーズに行って国際貢献に向けて必要な法整備をするためにも、合理的な説明がつかず、不要な批判を招く部分は法案から削除すべきではないでしょうか。

 

終わりに

 長文を最後までお読み頂き、どうもありがとうございました。

 政府は、国民の政治行政への無知・無関心に乗じて権力側に有利な法整備を行う可能性を常に抱えています

 一方、与党に対抗すべき野党は、与党のやることにすべて端から端まで批判をして脚を引っ張ろうとするため、一体どれが本当に反対すべきでどれが賛成すべき事項なのか国民には非常に分かりにくくなってしまっています。

 また、国会の外においても、「共謀罪」という言葉にアレルギー的に反応して必要な検証をしない知識人や、政府の主張や法律案の内容をよく理解せずに自分の妄想だけで政策を批判する有識者も多く存在しています。

 そうした状況の中で、日本国民がすべきことは、必要な知識を集め各自が思考し、問題の本質をとらえ、自分が正しいと考える意見を外部に発信していくことです。

 そのことが、自分たちの権利や自由を守ることだけでなく、国際社会における日本の存在を支えることにもなるのです。

 私の意見は上で述べたとおりですが、それとは違う考えを持つ方もいらっしゃることでしょう。

 それはそれで構いません。多くの人間が意見を戦わせることによってよりよい考えが生まれるものでしょうから。

 この記事が、多くの方にとって、本件に関する議論のたたき台になれば幸いに思います。

 

「テロ等準備罪」の対象となる法律と罪名一覧

【刑法】

内乱等幇助(ほうじょ)

加重逃走

被拘禁者奪取

逃走援助

騒乱

現住建造物等放火

非現住建造物等放火

建造物等以外放火

激発物破裂

現住建造物等浸害

非現住建造物等浸害

往来危険

汽車転覆等

あへん煙輸入等

あへん煙吸食器具輸入等

あへん煙吸食のための場所提供

水道汚染

水道毒物等混入

水道損壊及び閉塞(へいそく)

通貨偽造及び行使等

外国通貨偽造及び行使等

有印公文書偽造等

有印虚偽公文書作成等

公正証書原本不実記載等

偽造公文書行使等

有印私文書偽造等

偽造私文書等行使

私電磁的記録不正作出及び供用

公電磁的記録不正作出及び供用

有価証券偽造等

偽造有価証券行使等

支払用カード電磁的記録不正作出等

不正電磁的記録カード所持

公印偽造及び不正使用等

偽証

強制わいせつ

強姦(ごうかん)

準強制わいせつ

準強姦

墳墓発掘死体損壊等

収賄

事前収賄

第三者供賄

加重収賄

事後収賄

あっせん収賄

傷害

未成年者略取及び誘拐

営利目的等略取及び誘拐

所在国外移送目的略取及び誘拐

人身売買

被略取者等所在国外移送

営利拐取等幇助目的被拐取者収受

営利被拐取者収受

身の代金被拐取者収受等

電子計算機損壊等業務妨害

窃盗

不動産侵奪

強盗

事後強盗

昏酔強盗

電子計算機使用詐欺

背任

準詐欺

横領

盗品有償譲受け等

【組織的犯罪処罰法】

組織的な封印等破棄

組織的な強制執行妨害目的財産損壊等

組織的な強制執行行為妨害等

組織的な強制執行関係売却妨害

組織的な常習賭博

組織的な賭博場開張等図利

組織的な殺人

組織的な逮捕監禁

組織的な強要

組織的な身の代金目的略取等

組織的な信用毀損・業務妨害

組織的な威力業務妨害

組織的な詐欺

組織的な恐喝

組織的な建造物等損壊

組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等

不法収益等による法人等の事業経営の支配を目的とする行為

犯罪収益等隠匿

【爆発物取締罰則】

製造・輸入・所持・注文

幇助のための製造・輸入等

製造・輸入・所持・注文(第1条の犯罪の目的でないことが証明できないとき)

爆発物の使用、製造等の犯人の蔵匿等

【外貨偽造法】

偽造等

偽造外国流通貨幣等の輸入

偽造外国流通貨幣等の行使等

【印紙犯罪処罰法】

偽造等

偽造印紙等の使用等

【海底電信線保護万国連合条約罰則】海底電信線の損壊

【労働基準法】強制労働

【職業安定法】暴行等による職業紹介等

【児童福祉法】児童淫行

【郵便法】切手類の偽造等

【金融商品取引法】虚偽有価証券届出書等の提出等▽内部者取引等

【大麻取締法】大麻の栽培等▽大麻の所持等▽大麻の使用等

【船員職業安定法】暴行等による船員職業紹介等

【競馬法】無資格競馬等

【自転車競技法】無資格自転車競走等

【外国為替及び外国貿易法】

国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなる無許可取引等

特定技術提供目的の無許可取引等

【電波法】電気通信業務等の用に供する無線局の無線設備の損壊等

【小型自動車競走法】無資格小型自動車競走等

【文化財保護法】

重要文化財の無許可輸出

重要文化財の損壊等

史跡名勝天然記念物の滅失等

【地方税法】

軽油等の不正製造

軽油引取税に係る脱税

【商品先物取引法】商品市場における取引等に関する風説の流布等

【道路運送法】

自動車道における自動車往来危険

事業用自動車の転覆等

【投資信託及び投資法人に関する法律】投資主の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

【モーターボート競走法】無資格モーターボート競走等

【森林法】

保安林の区域内における森林窃盗

森林窃盗の贓物の運搬等

他人の森林への放火

【覚醒剤取締法】

覚醒剤の輸入等

覚醒剤の所持等

営利目的の覚醒剤の所持等

覚醒剤の使用等

営利目的の覚醒剤の使用等

管理外覚醒剤の施用等

【出入国管理及び難民認定法】

在留カード偽造等

偽造在留カード等所持

集団密航者を不法入国させる行為等

営利目的の集団密航者の輸送

集団密航者の収受等

営利目的の難民旅行証明書等の不正受交付等

営利目的の不法入国者等の蔵匿等

【旅券法】旅券等の不正受交付等

【日米地位協定の実施に伴う刑事特別法】

偽証

軍用物の損壊等

【麻薬及び向精神薬取締法】

ジアセチルモルヒネ等の輸入等

ジアセチルモルヒネ等の製剤等

営利目的のジアセチルモルヒネ等の製剤等

ジアセチルモルヒネ等の施用等

営利目的のジアセチルモルヒネ等の施用等

ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等

営利目的のジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の輸入等

ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬の製剤等

麻薬の施用等

向精神薬の輸入等

営利目的の向精神薬の譲渡等

【有線電気通信法】有線電気通信設備の損壊等

【武器等製造法】

銃砲の無許可製造

銃砲弾の無許可製造

猟銃等の無許可製造

【ガス事業法】ガス工作物の損壊等

【関税法】

輸出してはならない貨物の輸出

輸入してはならない貨物の輸入

輸入してはならない貨物の保税地域への蔵置等

偽りにより関税を免れる行為等

無許可輸出等

輸出してはならない貨物の運搬等

【あへん法】

けしの栽培等

営利目的のけしの栽培等

あへんの譲渡し等

【自衛隊法】自衛隊の所有する武器等の損壊等

【出資法】

高金利の契約等

業として行う高金利の契約等

高保証料

保証料がある場合の高金利等

業として行う著しい高金利の脱法行為等

【補助金適正化法】不正の手段による補助金等の受交付等

【売春防止法】

対償の収受等

業として行う場所の提供

売春をさせる業

資金等の提供

【高速自動車国道法】高速自動車国道の損壊等

【水道法】水道施設の損壊等

【銃刀法】

拳銃等の発射

拳銃等の輸入

拳銃等の所持等

拳銃等の譲渡し等

営利目的の拳銃等の譲渡し等

偽りの方法による許可

拳銃実包の輸入

拳銃実包の所持

拳銃実包の譲渡し等

猟銃の所持等

拳銃等の輸入に係る資金等の提供

【下水道法】公共下水道の施設の損壊等

【特許法】特許権等の侵害

【実用新案法】実用新案権等の侵害

【意匠法】意匠権等の侵害

【商標法】商標権等の侵害

【道路交通法】不正な信号機の操作等

【医薬品医療機器法】業として行う指定薬物の製造等

【新幹線特例法】自動列車制御設備の損壊等

【電気事業法】電気工作物の損壊等

【所得税法】

偽りその他不正の行為による所得税の免脱等

偽りその他不正の行為による所得税の免脱

所得税の不納付

【法人税法】偽りにより法人税を免れる行為等

【海底電線等損壊行為処罰法】

海底電線の損壊

海底パイプライン等の損壊

【著作権法】著作権等の侵害等

【ハイジャック防止法】

航空機の強取等

航空機の運航阻害

【廃棄物処理法】無許可廃棄物処理業等

【火炎瓶処罰法】火炎瓶の使用

【熱供給事業法】熱供給施設の損壊等

【航空危険行為処罰法】

航空危険

航行中の航空機を墜落させる行為等

業務中の航空機の破壊等

業務中の航空機内への爆発物等の持込み

【人質強要処罰法】

人質による強要等

加重人質強要

【生物兵器禁止法】

生物兵器等の使用

生物剤等の発散

生物兵器等の製造

生物兵器等の所持等

【貸金業法】無登録営業等

【労働者派遣法】有害業務目的の労働者派遣

【流通食品毒物混入防止法】流通食品への毒物の混入等

【消費税法】偽りにより消費税を免れる行為等

【出入国管理特例法】

特別永住者証明書の偽造等

偽造特別永住者証明書等の所持

【麻薬特例法】薬物犯罪収益等隠匿

【種の保存法】国内希少野生動植物種の捕獲等

【不正競争防止法】

営業秘密侵害等

不正競争等

【化学兵器禁止法】

化学兵器の使用

毒性物質等の発散

化学兵器の製造

化学兵器の所持等

毒性物質等の製造等

【サリン人身被害防止法】

サリン等の発散

サリン等の製造等

【保険業法】株主等の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

【臓器移植法】臓器売買等

【スポーツ振興投票法】無資格スポーツ振興投票

【種苗法】育成者権等の侵害

【資産流動化法】社員等の権利等の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

【感染症予防法】

一種病原体等の発散

一種病原体等の輸入

一種病原体等の所持等

二種病原体等の輸入

【対人地雷禁止法】

対人地雷の製造

対人地雷の所持

【児童買春・児童ポルノ禁止法】

児童買春周旋

児童買春勧誘

児童ポルノ等の不特定又は多数の者に対する提供等

【民事再生法】

詐欺再生

特定の債権者に対する担保の供与等

【公衆等脅迫目的犯罪資金処罰法】

公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者による資金等を提供させる行為

公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者以外の者による資金等の提供等

【公的個人認証法】不実の署名用電子証明書等を発行させる行為

【会社更生法】

詐欺更生

特定の債権者等に対する担保の供与等

【破産法】

詐欺破産

特定の債権者に対する担保の供与等

【会社法】

会社財産を危うくする行為

虚偽文書行使等

預合い

株式の超過発行

株主等の権利の行使に関する贈収賄▽株主等の権利の行使に関する利益の受供与等についての威迫行為

【国際刑事裁判協力法】

組織的な犯罪に係る証拠隠滅等

偽証

【放射線発散処罰法】

放射線の発散等

原子核分裂等装置の製造

原子核分裂等装置の所持等

特定核燃料物質の輸出入

放射性物質等の使用の告知による脅迫

特定核燃料物質の窃取等の告知による強要

【海賊対処法】海賊行為

【クラスター弾禁止法】

クラスター弾等の製造

クラスター弾等の所持

【放射性物質汚染対処特別措置法】汚染廃棄物等の投棄等

(参照元:http://www.asahi.com/articles/ASK3L03D1K3KUTIL05X.html