ポケモンGO「ラプラス騒動」をきっかけにマスコミが「不正ツール」に着目
昨日、なぜか次の記事へのアクセスが急増するという現象が…。
記事の内容は、「「POKEVISIONを1週間にわたって放置してしまった上で削除」すると、先に不正をした者勝ちで、プレイヤー間に不公平が生じてポケモンGOの運営に支障を来すよね。」というものだったのですが、どうやら、朝の情報番組「めざましテレビ」が、お台場で起きたラプラス騒動(ラプラス出現位置に人が押しかけ、湾岸署がNiantic社に協議を申し入れたもの)の原因として、ポケモンの出現位置が分かるP-GO Searchなどのアプリを取り上げていたことによるようです。
めざましTVでの取り上げ方自体は、不正アプリの存在とその利用の実態について聞き込み調査をするという程度で特筆に値しないのですが、ひどいと思ったのは、この特集を受けて書かれた毎日新聞の記事(http://mainichi.jp/articles/20160924/k00/00m/040/017000c)です。
この記事では、「マナー違反の根底にある「不正ツール」の存在」と章立てしながら、次のような記述をしています。
背景には、出現する場所と時間を秒単位でスマホの地図上に正確に示すサイトやアプリが普及し、遊び方がすっかり変わってしまったことがある。運営する両社が開発したものではなく、非公式のもので、両社はこれを「不正ツール」と断じている。
(中略)
不正ツールが絡むと、迷惑行為につながってしまう。表面的にはマナーの問題だが、不正ツールの普及でゲームの仕組みそのものがトラブルを誘発するように変わってしまったことが根底にあると考えている。
これは完全な、議論のすり替えです。
P-GO Searchなどの、ポケモンの出現情報がわかるアプリは、たしかに、ポケモンGO開発元のNiantic社が開発したものではありません。
しかし、これを「不正ツール」と断じているのはいったい誰なのでしょうか。
それは、Niantic社に他なりません。
ポケモン出現に係る位置情報アプリは、どこの国でも司法機関が動いておらず、システムの仕組みを推測する限りにおいても、違法な行為をしているわけではなく、客観的に「不正」と言い切れないものを、ゲーム開発元であるNiantic社が「不正」と呼んでいるだけなのです。
ここで、P-GO Searchなどの出現位置がわかるアプリが存在しない場合を想定してみましょう。
その場合でも、多くのポケモンGOユーザーは、レアなポケモンの出現位置を知るための方法を模索することでしょう。模索した結果、例えば特定の人物が、LINEやTwitterなどを使って、レアポケモンの出現位置を通知するサービスを開発したとしましょう。
そのサービスをNiantic社が「不正」と称するか否かは別として、その場合であっても、高速道路付近などの危険な地域場所にレアポケモンが出現したとしたら、当該サービスを通じて情報を得たポケモンが危険な場所に押し寄せる事態は生じ、結局「ラプラス騒動」と同様の問題が生じることになります。
つまり、ポケモンGOに関連するトラブルは、それに関連する「ツール」を運営元が「不正」と称されているか否かではなく、危険地帯や信仰施設などにポケモンを登場させている運営側の根本的なシステムに起因しているのです。
確かに利用者も他人に迷惑をかけないよう十分にマナーに気をつける必要があります。しかし、「マナー違反の根底」を突き詰めると最終的に運営側に行き着くにも関わらず、それを「不正ツール」を使用するユーザー側に求めようとするマスコミには、何らかの力が働いているのでしょうか。
万が一、「自分は不正をしていないのに、他のプレイヤーはズルしてポケモンを集めていてズルい」なんて考える人が記者をやっているとしたら、それは公私混同に他なりません。
影響力の大きいメディアには、それ相応の責任がつきまとうことを自覚して、冷静で公正な情報発信をしていただきたいものです。